2016Q2財務レポートで明らかになったAppleの苦戦、将来的にイノベーションで逆転を狙えるか

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

Appleが日本時間本日未明に発表した2016年会計年度第二四半期の財務レポートでは、iPhoneの売上げが昨年同期比16%ダウンするなど、大方の予想通りハードウェアの売上げは大幅にダウンするという結果となり、Appleの現状のハードウェアビジネスの行き詰まりとiPhoneの製品としてのピークが過ぎ去ったことを印象づける結果となった。これはAppleにある程度大きなマイナスの影響をもたらすだろう。

2016Q2のAppleの財務レポートで伝えられた、予想通りの苦戦

Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは財務レポートの電話会議で先月販売開始された新型4インチiPhone【iPhone SE】の需要が「非常に高い」と発言したようだが、正直あまりに定性的で具体性に欠ける。実際には売れていないという分析データも出てしまっているため、尚更苦し紛れの発言に聞こえる。

昨日の記事でもお伝えしたとおり、iPhoneのメモリの主要サプライヤーである韓国のハイニクス(Hynix)が大幅減収となったことからも既にiPhoneの苦戦が予想されていたが、結局は予想された20%のダウンの範囲内には収まった形になる。

 

アナリスト達はAppleの将来の展望に楽観的

しかし、一部のアナリストは今でもAppleの将来に楽観的な展望を持っているようだ。なぜなら、彼らはAppleがそれほど遠くない未来にまた「イノベーティブな事件」を起こしてくれるだろうと確信しているからだ。

 

Appleは新規製品の研究開発に更に多くの資金を投入

アナリストだけではない。当然ながらAppleのティム・クック(Tim Cook)CEOも、Appleが新製品が作れることを信じている。同社が企業買収や開発などにかけるリソースはこれまでよりも更に多くなっている。これは明らかに将来の”イノベーション”のための、”クリエイティブ”な業務にかける先行投資をしているといえるだろう。

昨年同期に比べ、Appleの半年の研究開発費の支出は11億ドル(約1,221億円)増えており、またAppleは前四半期(会計年度2016Q2、一般的には2016Q1)に、15社もの企業買収を行っている。Appleはまだ新しく攻めていける製品分野を探しているのだ。(但し、一方でAppleが研究開発にかける金額は利益に比べて少なすぎるという意見もある)

 

Appleが次に起こすイノベーションとは

そしてアナリスト達が期待している「イノベーティブな事件」とは、EV(Apple Car、電気自動車)かVR/ARかの、どちらかのホットな分野になるのではないかとみられている。

 

EV(Apple Car、Project Titan)

apple-car-image-01

当ブログでも書いたとおり、噂ではApple Carに関わるプロジェクト”Project Titan”には既に600名を超える従業員が従事しており、このプロジェクトについてはかなり秘密が保たれていて実態を窺い知ることはできないが、Appleはこれまで自動車業界から多くの”精鋭”レベルの人材を引き抜いていることから、Apple Carプロジェクトは間違いなく存在するとみられている。

 

VR/ARデバイス

article_post_width_VR-3

VR(仮想現実)/AR(拡張現実)のデバイスについても、当ブログで書いたとおりAppleは間違いなく開発を進めているとみられている。Appleは既にこのプロジェクトに数百人の同じく”精鋭”レベルの人材を集めているという。どうやらAppleはOculus RiftやHTC Vive等のVRデバイスと競争をしたいと考えているようだ。ティム・クックCEOもAppleがスタンフォード大学のVR実験室と密接に連携を取っていることを暗示しており、VR/ARデバイスがもしかしたら直近のAppleが起こす”イノベーション”になる可能性もある。

 

その他の極秘開発プロジェクト

Appleは大量の研究開発リソースをまだ明らかにされていない極秘プロジェクトに投じている可能性もある。これまでAppleは大型ディスプレイ、スマート家電、ヘルスケア関連の製品も開発しているという噂が流れており、Appleもそれに関して興味がありそうな動きはしていた。これらの製品の研究開発には今後も資金が投入されていくのではないかと思われる。これ以外の未知の製品については全く想像がつかないところだ。あとは宇宙開発くらいだろうか。。(もうテスラのイーロン・マスクがSpaceXでやってしまっているからやらないか。。)

Appleはまだ資金的にも余裕があるため、長期的な視点でプロジェクトに投資することについてはやぶさかではないのがこれまでのスタイルだ。Apple Carの実現にはあと数年かかるといわれていて、2020年以降になるという説もある。となると現実的にはVR/ARデバイスが最も実現に近い流行の分野かもしれないが、既に競合となる企業がこの分野に乗り出してきており、またAppleもどんなものを作るのかについては一切情報が出ていない状態だ(特許資料を除く)。

 

アナリストが楽観的なのは、Appleがまだイノベーションを起こすと信じているから

これほど情報が少ないにもかかわらずアナリストは比較的楽観的で、このAppleの業績の低迷は長く続かず、今後Appleは次のイノベーションを起こすために準備をしているところだと捉えているようだ。当然ながらアナリストは株価操作が仕事の一面というところもあり(実際自分の意見で株を買った人のために有利な情報を与える義務がある)、その言動には大きなバイアスがかかっていると思わなくてはならないが、長い間のAppleファンとしても同じ気持ちではないだろうか。

Appleはスティーブ・ジョブズのおかげでスタートアップに成功し、そしてジョブズががいなくなって低迷し、倒産寸前までいった。そしてまたジョブズが復帰して奇跡の復活を遂げ、世界最高の市場価値を持つ会社にまで上りつめた。ひとえにジョブズの力であったとしか言いようがないが、奇跡の復活と快進撃を支えた当時のAppleの重鎮達、ティム・クックやジョニー・アイブ(Jony Ive)、フィル・シラー(Phil Schiller)やエディ・キュー(Eddie Cue)といった面々は今でもAppleの上級管理職として残っている。

ティム・クック時代のAppleも、今はまだ成功していないがApple Watch(ウェアラブルデバイス)という新しい分野への挑戦もあり、またサービスの分野ではApple Musicが利用者が1,300万人となりストリーミング音楽業界で利用率1位となるなど席巻している。現在のAppleにもジョブズのDNAが息づいているはずだ、イノベーションの種はまだ残っている。そんな期待がまだまだAppleを支えているのかもしれない。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

Visited 96 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人