【今年から大変化!!9/14更新】iPhone 17シリーズ/iPhone Airの中国本土/香港版SIM仕様詳細まとめ【たぶんどこよりも詳しい】

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日本時間2025年9月10日未明から公開されたApple新製品発表イベント動画で発表された、新型iPhone「iPhone 17」シリーズ及び「iPhone Air」。

Appleのイベント動画や公式サイト、更に多くの他のメディアでスペックなどは紹介されているので、当ブログの読者層が最も気にしていると思われるiPhone 17シリーズ3機種(iPhone 17/iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Max)及びiPhone Air(ナンバリングなしの初代)の中国本土/香港版のSIMに関するSIMカードや電波関連詳細仕様調査と日本版との価格比較をしてみたいと思います。

なお、iPhone XS/XS Max/XR時代から、iPhoneで物理デュアルSIMデュアル待受版(DSDS版)が出ているのは世界広しといえども中国版(iPhone 16までは香港/マカオ版含む)のみです。

そして、なんと今年のiPhone 17シリーズから、香港版/マカオ版から物理デュアルSIMデュアル待受版(DSDS版)が廃止されてしまいました!そして、日本版は全てデュアルeSIMになってしまい、物理SIMが廃止されてしまいました!

iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Max
iPhone Air
iPhone 17 (無印)

ちなみに現在私が使っているのもiPhone 15 Pro Max 中国本土版物理デュアルSIM版デュアル待受版(物理DSDS版)のため、当ブログならではのiPhone 2025年新モデル「iPhone 17」シリーズ及び「iPhone Air(初代、ナンバリングなし)」の中国本土/香港版SIM仕様特集をします。恐らく、この中国・香港・日本版SIM仕様に関しては他のどこよりも詳しいのではないかと思います。少々長くなりますが、お付き合いください。

iPhone 17シリーズの物理デュアルSIM対応版とは

まず、物理デュアルSIMが実現するのは今回発表されたiPhone 17シリーズのうち、iPhone 17とナンバリングされている3機種全てとなります。iPhoneの歴史として、物理デュアルSIMには2018年モデルのiPhone XS Max/iPhone XR、及び2019年モデルのiPhone 11 Pro、2020年のiPhone 12シリーズ(iPhone 12 mini以外)以来、2021年のiPhone 13シリーズ(iPhone 13 mini以外)と2022年のiPhone 14シリーズ全機種、2023年のiPhone 15シリーズ全機種、2024年のiPhone 16シリーズ全機種に引き続き対応したことになります。

そしてiPhone 17の物理デュアルSIM版について、対応国は「中国」とされています。ただ、単に「中国」といっても意味は広く、例えば字面通りであれば中華人民共和国と中華民国(台湾)の2つの意味があります。

また、中華人民共和国にも、特別行政区として香港とマカオがあり、iPhoneの広い意味での「中国版」には。。

  • 中国本土(大陸・内地)版
  • 香港(中華人民共和国香港特別行政区)版
  • マカオ(中華人民共和国澳門特別行政区)版
  • 台湾(中華民国)版

の4つのバージョンが存在するといえます。もちろんApple公式ページも、その4つにわかれています。

今回のiPhone 17シリーズで物理デュアルSIMが実現するのは、中国本土(大陸・内地)版のみです。そして今回iPhone 17シリーズから香港・マカオ版は物理デュアルSIMではなくなりました!また台湾版は物理デュアルSIM適用外となりますので記事対象外です。ちなみに香港版とマカオ版は詳細モデル番号の末尾が異なるだけで、内容は同じなので以降マカオ版は割愛させていただきます(価格に違いはありますが、殆ど需要がないと思われますので割愛させていただきます)。

そして世界でも日本版と韓国版だけ、サイレントモードにしてもカメラのシャッター音が出ますが、中国本土(大陸・内地)版及び香港・マカオ版はサイレントモードにするとシャッター音が出ません。それが日本版と韓国を除くその他の国のバージョンのSIM以外の大きな違いといえるでしょう。

中国本土版/香港(&マカオ)版/日本版/台湾版のSIMカード対応状況一覧表

中国本土版/香港(&マカオ)版/日本版/台湾版の、iPhone 17/iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Max/iPhone AirのSIMカードのスペックは、Apple公式サイトのそれぞれのページの情報を整理をすると、以下の一覧表の通りとなります。

iPhone 16までは日本版は物理シングルSIM+デュアルeSIMだったので、物理SIMがなくなってeSIM専用機となりました。iPhone 14シリーズで米国版に導入されたのを、日本版では年後に追随したような形ですね。なお、iPhone 17シリーズ台湾版は物理シングルSIM+eSIM 或いはeSIM+eSIMのデュアルとなっています。日本版と台湾版のスペックに違いが出たのも特徴的ですね。

iPhone 16シリーズと比べて変わったところについては赤い字にしてみました。iPhone Airは新機種のため、全て赤字になりますね。。

機種名 中国本土版 香港版/マカオ版 日本版 台湾版
iPhone 17 物理DSDS 物理シングルSIM+eSIM(eSIMは8つまで保存可能) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能) 物理シングルSIM+eSIM 或いはeSIM+eSIM
iPhone 17 Pro 物理DSDS 物理シングルSIM+eSIM(eSIMは8つまで保存可能) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能) 物理シングルSIM+eSIM 或いはeSIM+eSIM
iPhone 17 Pro Max 物理DSDS 物理シングルSIM+eSIM(eSIMは8つまで保存可能) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能) 物理シングルSIM+eSIM 或いはeSIM+eSIM
iPhone Air デュアルeSIM(ただし中国では聯通のみ) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能) デュアルeSIM(eSIMは8つまで保存可能)

香港版は中国本土版より安い。仕様の違いは?

中国の増値税(付加価値税、VAT)が乗らない香港版は中国本土版に比べて価格が安いのが特徴です。しかも下にも書きますが今回のiPhone 17シリーズ/iPhone Airの香港版は全体的に日本の価格よりも安くなっています。

iPhone 17シリーズの香港版が中国本土版と決定的に違う点は、物理デュアルSIMではなくなったこと、eSIMは8つまで保存可能になっていること。そして機能面では

✅台湾国旗(中華民国旗)の表示ができること

✅FaceTime Audioが使えること

という2点です。

SIMフリー

そして中国本土版及び香港(&マカオ版)は基本的にSIMフリーです。つまり、他国に持ち出しても、他国のどのSIMでも基本的には使えることになります。また、日本のキャリア版も総務省の指導により、昨年2021年10月1日からSIMロックをかけてはいけないという法令の下、SIMフリーとなっています。

ただし、それぞれの国のバージョンはそれぞれの国の電波に最適化されているという事情があり、例えば日本ではドコモ/au/楽天がLTE(4G)の一部に特殊なバンドの電波を使っていて、日本版のみそれに対応していることから、もし海外版を日本に持ち込んで使用したときにそれらのバンドの電波は拾えず、日本版に比べて使える範囲が少し狭くなるなどの現象が発生することがあります。

5G対応の国や地域による違い

今回のiPhone 17シリーズでも、iPhone 12/iPhone 13/iPhone 14/iPhone 15/iPhone 16シリーズと同様、5Gでは米国版(及びプエルトリコ)のみmmWave 5G(ミリ波、5G NR mmWave、具体的にはn258(26 GHz)n260(39 GHz)n261(28 GHz)の3つ)対応で、他の国のバージョンは対応していません(他国はSub-6 5Gのみ)。ただ、その他の国で今後mmWave 5Gサービスが始まったとしても、米国(及びプエルトリコ)のmmWave対応モデルが使えるかどうかは不明です。とはいえ1年以上経ってもまだ他国では採用されていないので、今後も採用されない可能性が高いといえるかもしれません。なお、iPhone 14シリーズから全機種で米国版は物理SIMを廃止しました。そこが大きな違いですね。そして今回日本版が全ての物理SIMを廃止しました。というわけで、米国版iPhone 14/15/16/17シリーズや、日本版iPhone 17シリーズは、中国本土では使い物にならないということになっています(ただし、以下の当ブログ記事で紹介しているように、魔改造をして物理シングルSIM・物理デュアルSIMを入れられるようにしている業者もあったりします)。iPhone 17シリーズの米国版や日本版、或いはiPhone Airに対応するかどうかはまだわかりませんが、中国大陸では需要はありそうなので、すぐにでも登場しそうな気がしますね。

iPhone 17シリーズの無線通信仕様、対応バンドの違い

iPhone 17シリーズでの、日本版と中国本土版と香港版の無線通信仕様全体を比べてみました。

そして、今回のiPhone 17シリーズ/iPhone Airより、これまでのQualcommのチップではなく、Apple独自のモデムチップC1Xが初めて搭載されたためか、国や地域によるモデル分けが従来のiPhone 16までと異なっているのも特徴です(ちなみにWi-FiやBluetooth等を司るワイヤレスチップもApple独自のN1チップに変更となりました)。

具体的には、iPhone 16の時に中国本土版と香港版の通信仕様が統一されていたのが、また中国本土版が独立して別のモデル番号となりました。iPhone Airに至っては世界でも日本版だけモデル番号が違ったりしてかなり特殊です。

【日本版 iPhone 17 シリーズ 通信仕様】

モデルA3519(iPhone 17)、モデルA3522(iPhone 17 Pro)、モデルA3525(iPhone 17 Pro Max)、モデルA3516(iPhone Air)

  • 5G NR(バンド n1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n14、n20、n25、n26、n28、n29、n30、n38、n40、n41、n48、n53、n66、n70、n71、n75、n77、n78、n79)←iPhone 16比で n76 削除
  • LTE(バンド 1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、32、34、38、39、40、41、42、48、53、66、71)
  • UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1700/2100、1900、2100 MHz)
  • GSM/EDGE(850、900、1800、1900 MHz)

【香港版 iPhone 17 シリーズ 通信仕様】

モデルA3520(iPhone 17)、モデルA3523(iPhone 17 Pro)、モデルA3526(iPhone 17 Pro Max)

  • 5G NR(バンド n1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n20、n25、n26、n28、n30、n38、n40、n41、n48、n53、n66、n70、n75、n77、n78、n79)←iPhone 16比で n53 追加、n76 削除
  • LTE(バンド 1、2、3、4、5、7、8、12、13、17、18、19、20、25、26、28、30、32、34、38、39、40、41、42、48、53、66)←日本版にある 11/21 は非搭載
  • UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1700/2100、1900、2100 MHz)
  • GSM/EDGE(850、900、1800、1900 MHz)

【中国本土版 iPhone 17 シリーズ 通信仕様】

モデルA3521(iPhone 17)、モデルA3524(iPhone 17 Pro)、モデルA3527(iPhone 17 Pro Max)

  • 5G NR(n1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n20、n25、n26、n28、n30、n38、n40、n41、n48、n66、n70、n75、n77、n78、n79)←iPhone 16比で n76 削除。Pro系は n53 非対応
  • LTE(1、2、3、4、5、7、8、12、13、17、18、19、20、25、26、28、30、32、34、38、39、40、41、42、48、66)←日本版にある 11/21/29/53/71 は非搭載
  • UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1700/2100、1900、2100 MHz)
  • GSM/EDGE(850、900、1800、1900 MHz)

【比較用:iPhone 16 Plus 通信仕様(主要ポイント)】

モデルA3289(日本)、モデルA3291(中国本土・香港)

  • 5G NR(日本A3289は n76 搭載、中国本土/香港A3291も n76 搭載、ただし n53 なし)
  • LTE(日本A3289は 11/21/29/53/71 対応、中国本土/香港A3291はこれら非搭載)
  • UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1700/2100、1900、2100 MHz)
  • GSM/EDGE(850、900、1800、1900 MHz)

【iPhone 17シリーズ利用に関する各国版電波モデルの違いに関する注意事項】

  • iPhone 17 シリーズはいずれも 5G NSA/SA デュアルモードをサポート(中国国内の都市部の中心地で、iPhone 15〜16シリーズをご利用で電波表示のところに”5GA”と表示されるのをご覧になった方もいるかもしれませんが、それです)。ただし、SA(Standalone)は国内キャリア側の設備が整っている地域でのみ利用可能
  • VoLTE(Voice over LTE)/VoNR(Voice over New Radio)はキャリア認証が必須。未認証SIMを使う場合、音声通話が3Gフォールバックになるケースあり。
  • 日本モデルは LTE Band 11/21/29/53/71 をサポートするため、ドコモ/au/楽天の一部周波数に最適化されている。一方、中国本土/香港モデルはこれら非対応なので、日本国内での利用時は電波利用可能エリアが狭くなる可能性あり。
  • キャリア(特に中国本土)では、SIMカード登録時に身分証確認・IMEI認証・VoLTEオプション申込が必要な場合あり。現地で使う際は契約時に要確認。
  • eSIMオンリーのiPhone Airに関しては、中国本土では中国モデル(モデル番号A3516)のみがアクティベーション可能(つまり中国本土モデル以外は中国のeSIMは使用不能)。なお、公式では中国3大キャリアのうち中国聯通(China Unicom)のみeSIM対応となっているが、中国電信(China Telecom)と中国移動(China Mobile)も2025年9月19日の発売日からのeSIM発行対応を発表している。
  • iPhone 17/iPhone 17 Proの香港モデルはデュアルSIMだが、物理デュアルSIMではなくnano-SIM + eSIMでのデュアルSIMになった。同機種の中国本土モデルは従来と同様、物理SIMが2枚(nano-SIM x2)で、eSIMは非対応となっている。

中国でのiPhone 17シリーズの発売時期について

iPhone 17/iPhone 17 Pro/iPhone Airは中国本土版・香港版は他国と同様2025年9月12日夜8時に予約開始され、9月19日発売開始となっています(商品が事前に店舗や手元に届けられていても、9月19日以前にアクティベーションされると罰せられます)。

※2025/09/14更新 やはり、iPhone Air中国本土版は発売日が延期になったようです。中国内で発売日前に許認可が降りないことが明らかになったと考えられます。現時点では、公式サイトでも「発売日の情報は後ほど更新します」となっていて正式な発売日は不明です。なお、iPhone Air 香港版は予定通りです。

実際の物理DSDSの設定、使用方法

実際のiPhone物理デュアルSIMの使用状況や設定方法などは、ちょっと古いのですが、以前iPhone XSの時代に以下の記事にまとめました。だいぶ前の記事ですが、当時とそれほど変わっていないので、ご参照ください。

気になるiPhone 17シリーズの中国版・香港版のお値段は?

やはり気になるのはiPhone 17/iPhone 17 Pro/iPhone 17 Pro Max/iPhone Airの日本モデルと、中国本土と香港版価格差ですよね。

それぞれの価格は公式発表では以下のようになっています。中国本土版/香港版の価格と、日本版(税込)価格を一覧表にしてみました。

※括弧内の日本円換算価格は記事公開時の為替レート(1人民元=20.70円、1香港ドル=18.89円)によって計算したものです。

※中国本土/香港版価格の下の数字は、日本版価格との比較です。▲は価格が高く、は価格が低いことを表しています。

iPhone 17 Pro Max 中国本土版・香港版・日本版価格

内蔵ストレージ容量 中国本土版 香港版 日本版(税込)
256GB 9,999元(約206,979円)

▲12,179円

10,199HKD(約192,659円)

▼2,141円

194,800円
512GB 11,999元(約248,379円)

▲18,579円

11,899HKD(約224,772円)

▼5,028円

229,800円
1TB 13,999元(約289,779円)

▲24,979円

13,599HKD(約256,885円)

▼7,915円

264,800円
2TB 17,999元(約372,579円)

▲42,779円

16,999HKD(約321,111円)

▼8,689円

329,800円

iPhone 17 Pro 中国本土版・香港版・日本版価格

内蔵ストレージ容量 中国本土版 香港版 日本版(税込)
256GB 8,999元(約186,279円)

▲6,479円

9,399HKD(約177,547円)

▼2,253円

179,800円
512GB 10,999元(約227,679円)

▲12,879円

11,099HKD(約209,660円)

▼5,140円

214,800円
1TB 12,999元(約269,079円)

▲19,279円

12,799HKD(約241,773円)

▼8,027円

249,800円

iPhone 17 中国本土版・香港版・日本版価格

内蔵ストレージ容量 中国本土版 香港版 日本版(税込)
256GB 5,999元(約124,179円)

▼5,621円

6,899HKD(約130,322円)

▲522円

129,800円
512GB 7,999元(約165,579円)

▲779円

8,599HKD(約162,435円)

▼2,365円

164,800円

iPhone Air 中国本土版・香港版・日本版価格

内蔵ストレージ容量 中国本土版 香港版 日本版(税込)
256GB 7,999元(約165,579円)

▲5,779円

8,599HKD(約162,435円)

▲2,635円

159,800円
512GB 9,999元(約206,979円)

▲12,179円

10,299HKD(約194,548円)

▼252円

194,800円
1TB 11,999元(約248,379円)

▲18,579円

11,999HKD(約226,661円)

▼3,139円

229,800円

今年は香港版が日本版よりも全体的に少しだけ安くなっているのが印象的ですね。昔をちょっと思い出します。

そしてiPhone 17 ProとiPhone 17 Pro Max香港版は1TBや2TBモデルが中国本土版よりお得な値付けになっています。これは香港版の大容量が狙い目かもしれません。

過去のiPhone 物理デュアルSIM版の各国版価格比較

これまでのiPhone 12/13/14/15/16シリーズの価格比較について詳細は、過去当ブログで書いた各価格表をご覧ください。

iPhone 17シリーズ 中国本土版物理デュアルSIM版は買いなのか?

iPhone 17シリーズの中国本土版の物理デュアルSIM版は本当に必要なの?という議論もあると思います。このブログをご覧になっている方は、海外、特に中国本土・香港への出張が多かったり、中国本土・香港や海外に実際にお住まいで、国際間での移動が多い方でしょう。

7年前、2018年のiPhone XS/XS Max/XRで初めてデュアルSIM版がiPhoneに導入された時の発表イベントでは、Appleのフィル・シラーSVP(当時、現在はApple Fellowに昇格)が壇上で、中国ではeSIMが使えないので物理デュアルSIMを導入した、としていましたが、実はこれまでApple Watch Series 3以降に搭載されたeSIMバージョン(セルラーモデル)向けに、三大キャリア全てがeSIMを提供しています。

また、香港では携帯電話向けにキャリアがeSIMを発行しているのでこの発言には矛盾があったといえます(もちろん、当時も含め英語圏で普通にChinaといえばHong Kongを含めない意味で言うことが多いですが)。ちなみにキャリアのこの状況は、その7年前の初めてiPhoneにデュアルSIM版が登場したiPhone XS/XRの時代から変わっていません。携帯電話向けのeSIMは中国本土で導入されていないのです。理由は、現在中国本土で使用される中国本土三大キャリアのSIMには全て実名認証が義務づけられていて、eSIMになるとその手順が省かれてしまう可能性が高いためといえます。ちなみに例外的に提供されているApple Watchシリーズ用のeSIMは、あくまで実名認証がされたSIMと同じ番号の付加サービスとして提供されているのです。

しかし、その状況も今年iPhone Air 中国本土版がeSIMのみになったということで、少しずつ変わっていくことになりそうです。

2025年のiPhone 17/iPhone Airシリーズでは中国本土版・香港版・日本版に大きな変化が!!さてどうする?

今回、とうとう中国本土版のiPhone Airで、デュアルeSIMという非常に尖った機種が登場しました。基本的には中国本土の3大キャリアのうち、中国聯通(China Unicom、チャイナユニコム)のみがiPhone AirのeSIM発行に対応するようです。

更に、iPhone 17シリーズ全てで香港版が物理デュアルSIM版を廃止し、物理シングルSIM+eSIMによるデュアル版となりました。そして日本版に至っては物理SIM廃止でeSIMのみとなりました。

しかも、大陸ではeSIMはオープンになるのではなく、iPhone Airの中国本土版のモデル(A3516)のみ、中国聯通の営業所に身分証明書と共に持ち込んでアクティベーションできるという状況で、eSIMしかない日本版のiPhone 17やiPhone Airを中国聯通に持ち込んでも対応してくれない、ということになりそうです。

つまり、中国に比較的長期的に滞在して中国のSIMを使う必要がある人で、今年最新のiPhone 17シリーズまたはiPhone Airを使いたい人は、iPhone 17シリーズの中国本土版(物理デュアルSIM)か香港版(物理シングルSIM+eSIM)或いはiPhone Airの中国本土版を買うしかないということになります。特にiPhone Airは中国本土版ではない海外版については中国内では国際ローミングのみで、中国本土SIMは使えないということになってしまいました。

特に中国に関係ない人で、iPhone 17シリーズの物理デュアルSIMがほしい方は、これまでは香港版という選択肢がありましたが、今回のiPhone 17シリーズからは物理SIMはシングルになってしまったので、中国本土版を買うしかなくなりました。ただし、上にも書きましたが電波仕様の関係で、日本版モデルは LTE Band 11/21/29/53/71 をサポートするため、ドコモ/au/楽天の一部周波数に最適化されています。一方、中国本土/香港モデルはこれらに非対応なので、日本国内利用時はエリアが狭くなる可能性があります。

出張レベルであれば、もう現在は国際ローミングが可能なデータSIMも格安で出ていますし、普通のキャリアの国際ローミングも非常に安くなってきています。という意味では、物理SIMは1枚でもいいといえます。もちろん、公私でSIMを複数使い分けている人や、私のように2カ所以上に拠点を持ってそれぞれSIMを持っている人にとっては、やはりデュアルSIMは多少高いお金を出してでも差し替えの手間がかからないので魅力的です。しかも、SIMの差し替えって面倒なんですよね。特に飛行機や船・電車などで国際間移動をしている時に差し替えると、SIMが地面に落ちたり、見つからなくなってしまったり。。実は私もそんな経験があります。それを防ぐためにも物理DSDS版を使うというのはいい選択かもしれません。特に私は東南アジア(タイ・ベトナム・カンボジア・マレーシア)の出張が多いのですが、東南アジアで空港で現地購入するトラベルSIMは、基本的にeSIMはなく物理SIMによって提供されるので、物理DSDS版が非常に役に立つといえるかと思います。ただ、今後eSIM対応のトラベルSIMも増えると考えられ、そうなると物理DSDSしかない大陸版はどうなのという感じになってきます。とはいえeSIMのない中国で販売されているスマートフォンの100%が物理SIM対応なので、中国人旅行者は今後も物理SIMを使い続けるため、中国旅行者が来るところは今後も物理SIMでのトラベルSIMが提供され続けるはずです。

そもそもiPhone 17シリーズ/iPhone Airは買いなのか?

そもそも、新しいiPhone 17シリーズ/iPhone Airは買いなのでしょうか?という疑問が湧いてきますよね。

性能面でも大きな進化はなし

iPhoneのアップデート・新機種発売は毎年恒例となってきましたが、代が進むにつれ新機能やアップデート内容、つまり目に見える進化が殆どなくなってきたのが事実です。

今回のiPhone 17シリーズも、正直背面のカメラのベース部分が更に出っ張ったデザインになったくらいで、あとは性能的にはそれほど変化がありません。もちろんA19 Proプロセッサは素晴らしいのでしょうけど、普段使いには殆ど影響しません。なお、今回はiPhone 17無印にも同世代のA19チップが搭載され、ProシリーズにはA19 Proチップが搭載され、無印には前世代のチップが搭載されるという異常事態はなくなったのはほっとしましたが、前に戻ったのと一緒です。

Proシリーズでは安いアルミ素材に逆戻り

そしてPro版に限っての話ですが、もう1つの問題がシャーシの素材です。これまでiPhone 12 Proシリーズではステンレス、iPhone 15 Proシリーズではチタンが導入されましたが、どちらも放熱効果がアルミに劣り、熱暴走を生み出すことから評判が悪かったためか、今回のiPhone 17 Proシリーズではまたアルミに戻されています。今回フレームや背面のガラス部品が別だったのも廃止され、アルミ一体成形シャーシモデルとなりました。まるでEVのようですね。。しかしこれでまた曲がりやすい特性が復活したことになり、一体成形物は曲がったり傷ついたときに修理が難しく、シャーシ全交換となる場合はコストが心配になります。そもそも同じ値段でステンレスやチタンだったものがアルミになったというのは何となく解せない気がします。メーカーとしては部品点数が減るだけで調達や品質管理コストも減りますし、設計や製造工程は複雑になっても機械作業が増えるだけなので、メーカー都合ともいえるでしょう。個人的には元金物屋だった身としてもアルミはなあ、、これまでアルミからステンレス、チタン、と進化してきたのに1周回ってまた安いアルミ素材に?という感想しか出てきません。

チタンモデルを大事にしたいのであれば、重量もiPhone 16シリーズより軽いiPhone 15 Proシリーズを持ち続けるのがよいのではないかと思ったりしています(ちょうど現行で使っているのがiPhone 15 Pro Maxなので、これをバッテリー交換しながら使っていこうかなと)。

iPhone Airは軽く薄い代わりに性能がスポイル

もちろんiPhone Airに関しては新製品扱いで、5.64mmというかなりの薄さを実現してきましたが、正直バッテリー駆動時間の低下が気になります。iPhone 17 Pro Maxと比べるとすごくバッテリーが持たない感じがします。無印iPhone 17よりも持たないのです。充電仕様も、iPhone 17 Pro/iPhone 17ではUSB-Cでは最大40W、MagSafeは最大25W対応なのに、Airはどちらも最大20Wまでと劣っています。それでも無印iPhone 17より値段が高いという。。

しかも軽くて薄いと持ちにくくて落としてしまいそうです。更にその薄さは、中国の折り畳みスマートフォンの開いたときの薄さで既に体感済みなので、特に珍しさを感じません。今のスマートフォンの需要としては、カメラの性能とバッテリー駆動時間の長さがかなり重視されます。薄く軽いのはいいことですが、それによって性能やバッテリー駆動時間がスポイルされるのであれば、売れにくいのではないかと思われます。カメラの性能のスポイルはこちらの通りです。レンズが1つだけだからというのもありますが、マクロ使えないとか。。

Appleは強烈な買い替え需要を生み出せるか?

iPhoneの買い替え需要についても考察してみると、iPhoneも10年くらい前までは新型と旧型の性能差が大きかったため、旧型を使っていてもたついたりすることで買い替え需要を生み出していましたが(かつてAppleによる、iOS側で旧機種についてはわざと速度性能を落として買い替え需要を生み出そうとした試みは、消費者による集団訴訟問題にまで発展したため、Appleは諦めざるを得ませんでした)、今はよほど最新の重たいゲームでもぐりぐりと動かさない限り、何年か前の旧型モデルでも十分問題ないレベルで動作します。というわけで、性能による買い替え需要を生み出すのはかなり難しいと言えそうです。

バッテリーが劣化して持たなくなることも買い替え需要の大事なポイントですが、バッテリーを新品に交換することで解決できてしまいます。もちろんバッテリー交換は買い換えよりも断然安くできます。

製品として既に成熟してしまったジャンルになっているというのもありそうですね。他社(特に中国メーカー)も様々な面白いスマートフォンを出してきています。iPhoneが最先端を走っていた時代は終わりました。もちろんiOSとAndroidというエコシステムの違いがあり、AppleとしてはiCloudの売上げだけでも凄まじい規模のエコシステムを築いているので、iOSの忠誠度が高いファンを維持していかなくてはなりません。

というわけで、AppleとしてはiOSがアップデートできなくなることでセキュリティ的な問題が出たり、アプリが使えなくなったりすることで買い換え需要を生み出すしかなさそうな気がしています。あとは、バッテリーの劣化くらいですね。。

iPhone 12までは全ての世代を毎年買い換えていた自分としても、iPhone 17シリーズには惹かれませんでしたので、購入の予定は今のところありません。上記の通り、シャーシがアルミ素材に戻ってしまったことも大きいです。来年以降に発売が噂されている折り畳みモデルなど、何か革新的な変化がない限り、買い換える必要はないと感じています。Appleには頑張ってもらいたいのですけどね。

記事は以上です。

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