最近の中国語ニュースソースCommercial Times(經濟時報)の報道によると、台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(以下TSMC)は、2019年第2四半期(4月〜6月期)に今年のApple iPhoneに搭載予定のA13チップ用を含む、7nmのEUVプロセス技術を量産に移行する予定とのことです。
TSMCは、2019年第2四半期にハイシリコン(HiSilicon)の次世代フラッグシップモバイルSoCの製造を開始すると発表していました。そして近日中に発表されるKirin(麒麟)985シリーズのチップは、TSMCの7nmプロセスにEUV(極端紫外線リソグラフィ技術)を組み込んだ「N7+」と呼ばれるプロセス技術を使って製造される、と報じられています。
更にTSMCは、今年2019秋に販売される新型iPhoneシリーズに搭載されるAppleによるカスタム設計のA13チップの製造のために、その「N7+」の拡張バージョン「N7 Pro」をプロセス技術として使用するということで、今年第2四半期の後半に量産開始する準備ができている、とされています。つまり、今年のiPhoneに搭載されるA13チップは、「7nm EUV N7 Pro」プロセスで製造されるということになりそうです。
TSMCの5nmノードに関しては、リスク生産(受注がない状態での、ファウンドリ自費によるテスト生産)はすでに台湾南部サイエンスパーク(South Taiwan Science Park、STSP)内にある新しい工場「Fab 18」で始まったと同ソースは伝えています。TSMCは今年、いくつかの5nmチップ設計を打ち出していくようです。
TSMCの以前の発表によると、5nmプロセス技術は2019年前半にリスク生産の準備ができており、その後2019年末または2020年の初めに量産を開始するとされていました。「Fab 18」が追加されたTSMCは、5nmチップの製造に向けて既に動いていて、Appleの来年2020年のiPhoneにはその5nmプロセスで製造されたA14チップが搭載されるかもしれません。そしてTSMCでは更に3nmプロセス製造施設も今後設置していく予定であることを発表しています。
TSMCは、4月18日に予定されている次回の投資家会議で、EUVプロセスノードに関する最新情報を提供する予定ということで、発表は明後日ということになります。楽しみですね。
プロセスが小さくなっていくことは、高速化と省電力を達成していきますが、その分製造が非常に難しくなり、コストも莫大にかかります。現在7nm、5nm、3nmのプロセスでまともに動くチップを作れるのは技術的にも資金力的にも世界でほぼTSMCだけとなっていて、TSMC自身は受託生産ではありますが、世界のハイエンドのモバイルチップの製造をほぼ独占しているような状態です。
記事は以上です。
(記事情報元:Digitimes)