iPhone XS/XS Mas/XR搭載のA12 BIONICチップは業界史上最強のスマホ用チップ!ここだけはAndroid勢に負けない?

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Appleは先日、iPhone XS/iPhone XS Max/iPhone XRを発表し、この3つの新型iPhoneには最もスマートで、最も強力なスマートフォン用チップ(=SoC)が搭載されていると豪語しました。確かに、その言い方には何も間違いはありません。新型iPhoneに採用されているA12 BIONICチップは、AppleのAシリーズチップの発展における重要なアップデートの1つとなったからであり、しかも、スマートフォン業界でも現時点ではNo.1のチップだからです。

A12-BIONIC-Chip_iPhoneXS_iPhoneXR

A12チップはニューラルエンジンが大幅にパワーアップ!なんとA11に比べ8倍以上の演算能力に

Appleが新型iPhone発表イベントで発表した、A12 BIONICチップには、6コアCPUと、4コアGPU、そして新しい8コアのニューラルエンジンが内包されているといいます。その中でも特に注目なのは、最後の8コアのニューラルエンジンについてです。一つ前の世代のiPhone X/8/8 Plusに搭載されているA11 BIONICチップには、「M11モーションコプロセッサ」という名前でCPU、GPUの他にチップが搭載されていましたが、このチップはデュアルコア(2コア)にすぎませんでした。そしてその計算能力は1秒間に6000億回という速度でした。しかしA12 BIONICチップの8コアニューラルエンジンではその演算能力が飛躍的に上昇し、1秒間に5兆回となり、なんと8倍以上となっています。

A12は業界初の7nmプロセスで製造され販売されたスマホ用チップ

またA12 BIONICチップは市場に投入されたスマートフォン用チップの中で初めて7nmプロセスによって製造されたチップで、Android勢では8月にファーウェイ(HUAWEI)が7nmプロセスのKirin 980を使用することを発表したものの、実際の製品の登場は10月以降になるといわれています。

A12 BIONICは、CPUパフォーマンスはそれほどアップしていない

A12-BIONIC-Chip_Spec_iPhoneXS_iPhoneXR

AppleはA12 BIONICチップの性能を、A11 BIONICチップと比較して以上のように数値で発表しています。ただ、左の真ん中のちょっと目立たないところに書いている通り、パフォーマンスコアが15%しかアップしていないことは注目に値します。これはいわゆるCPUの性能のことで、GeekBenchやAntutuなどのCPUベンチマークスコアだけみれば(まだiPhone XSシリーズについては100%確証のとれたものは出ていないですが)、A12チップはA11チップよりも飛び抜けて優れるというわけにはいかないようです。ただ、GPU性能(描画性能)は50%パワーアップし、またニューラルエンジンによってARやマシンラーニングの能力が上昇し、結果的にゲームなど様々な負荷が大きいアプリにおいて性能を発揮することになりそうです。逆にいえば、普段使いに関しては、そこまで恩恵を受けるわけではないかもしれません(普段使いですと、どちらかというと内蔵RAMの方が大事かもしれません。今回のiPhone XS/XS Maxは4GBになったといわれています)。

AppleはAシリーズチップを業界最強にすることに意地になっている?

Androidスマートフォンは、Google、サムスン、そして前出のファーウェイがハイエンドスマートフォンとしてのiPhoneの対抗馬で、常にiPhoneよりもいいものを作ろうとしますが、いつもiPhoneの方がSoCの性能については先を行っているのが現状です。やはり、自社でチップを開発し、またチップに最適化したOSとハードウェアが合わさって、一体化の強みで全体的なパフォーマンスがAndroidスマートフォンより優れているのは間違いなく、これはAndroid勢の大多数が逆立ちしてもかなわないところです(例外的に、Googleが出しているスマートフォンは自社でOSを開発している、といえます)。

とはいえ、カメラの性能などはファーウェイのスマホの方が2年以上も早くシングルレンズでポートレートモードを実現し、しかも撮影後の背景ぼかしの調整なども実現していました。iPhone XS/XS MaxやiPhone XRによって世界で初めて実現したものではないことに注意が必要です(Appleもこれらの機能を発表イベントでは強調していたものの、業界初という言葉は使っていませんでした)。他にもAndroid勢の方がハードウェア的に優れているところはいくつもあります。

そんなわけでAppleは、SoCの面だけはAndroid勢に譲れない、というような一種の意地もあるのでしょう。その意地を貫き通すための施策として、ここ2年ほど、AppleはAシリーズSoCを100%台湾TSMC(台積電)で委託生産しており、Appleが同社の製造キャパをがっつり抑えていることから、他社がなかなか優先してもらえないという状況を作っているのもあるかと思います。

iPhone XS Maxの実機を触るのが楽しみ

いずれにせよ、私も購入したiPhone XS Maxが実際に手に入ったら試してみたいとは思いますが、iPhone Xからの劇的な進化は、よほど負荷のかかるARやゲームアプリでも動かさないと感じないのかもしれません。ただ、iPhone 7シリーズを含む以前の機種からの乗換であれば、間違いなくその性能アップを体感することができるのではないかと思います。

記事は以上です。

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