Apple、インドの無名メーカーでiPhoneの6つの生産ラインの生産開始か。中国からの生産シフトが進む

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昨今のTikTokの米国での規制はIT業界のみならず、多くの製造業やその他の国際取引に関係のある業界で大きな話題となっています。なぜならこれまでHUAWEI(ファーウェイ)の取引停止に関しては未だに決定的な情報漏洩や情報を中国政府に引き渡している証拠が出てこないこと、そしてHUAWEI自身がそれを否定したり反論したにもかかわらず規制されていること、そしてTikTokに関しては、個人情報を抜き取っていることに対する批判や大統領命令などに対してろくな否定や反論をせず従う方針であること、そして米国は一定の国の商品やサービスを除外するという、非民主主義的な行動に出たことです。これによって、多くの企業が影響を受けることでしょう。そしてグローバルな取引を行っているAppleも例外ではありません。

Apple-India

Appleは中国製品を主に米国やその同盟国を含む海外に輸出できなくなることを念頭に入れ、中国外、特にインドにその生産拠点を少しずつ移転を始めているようです。The Times of Indiaによると、とある無名なAppleとの契約メーカー(組立委託先)が、iPhoneの「6つの生産ライン」をインドにシフトしていると伝えているのです。しかもこのメーカーのiPhoneはインド国内の販売だけではなく、海外への輸出用に50億ドル(約5300億円)相当のiPhoneを製造するというのです。

恐らくこの50億ドル相当のiPhoneの生産はいきなり始まるわけではなく、到達目標であると思われますが、いつその規模が実現するかについては不明です。ただThe Times of Indiaのレポートによると、新工場では次の「1年程度」で55,000人の雇用を創出すると予測されています。またその新工場は最初は「iPhone専用」の工場となるようですが、今後はiPadやMacなどのタブレットやコンピュータデバイスも製造できるようにするということです。

その無名のメーカーとは、バンガロールの北西にあるカルナータカ州で最大の工業地域の1つであるナラサプラ(Narasapura)にある企業で、インドでは3番目のiPhone製造(組立)メーカーということになります。1つ目と2つ目は、これまでiPhoneの組立委託先だったFoxconnとWistronでした(もう1つのPegatronはまだインドでiPhoneの生産をしていません)。

更にThe Times of Indiaは、Appleの中国の主要なサプライヤーからの部品コンテナの積み荷が既にインドに到着したと伝えていますが、インド側が中国との関税紛争のために、コンテナの一部の輸入を拒否していることは記事で触れられていません。

インドは米国と友好関係にあり、中国とはカシミール地方の国境問題で紛争関係にあります。しかしiPhoneの部品の殆どは中国国内で製造されています。中国からの生産シフト先にインドを選択するのは、当然インド国内販売や人件費など様々な面で考慮された結果と思われますが、インドと中国の関係が悪い中ではなかなか厳しそうです。実は中国からの生産移管は非常に難しいのが現状です。中国プラス1と言われて久しいですが、移管先の候補として最も多く選ばれる東南アジア各国でも、原材料や部品などの現地調達率が50%にも満たない国が大半など、殆どが中国メーカーからの輸入に頼っているのです。

特にグローバルな取引を行っている企業にとっては、米中経済戦争は頭痛の種です。そしてトランプ大統領は更にその経済戦争を拡大しようとしています。トランプ大統領の任期はもう少しで終わりですが、次の大統領になるとまた外交方針が変わることもやはりリスクではあります。今後どんなことが起こっても対応できるように、Appleも転ばぬ先の杖で少しずつしかし着実に準備を進めているということになりそうです。

記事は以上です。

(記事情報元:The Times of India via Apple Insider

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