Appleは来る3月22日(現地時間3月21日)の2016年最初の”スペシャルイベント”で、正式に新しいiPhone、あの噂の4インチiPhone【iPhone SE】を発表するのではないかとみられている。そして半年後に迫った今年秋には次世代iPhone【iPhone 7】の販売が控えているとみられる。
【iPhone SE】にA9チップが採用されると予測される理由
最近の多くのApple関連の報道はハードウェアにおいてはもっぱらこのiPhone SEに関するもの(一部は9.7インチiPad Pro)で、大多数のメディアはiPhone SEはiPhone 6sをかなり完全な形でiPhone 5sの筐体の中に入れ込んだもの(3D Touchを除く)ととらえている。
その中にはあの強力なSoC、A9チップも当然含まれているが、iPhone SEの画面の大きさに合わせてどのくらいGPU(グラフィックプロセッサユニット)の性能がダウングレードされるかどうかについては未知数だ。
実際、AppleがA9チップをiPhone SEの小さい筐体の中に入れるかどうかについてはもちろん100%確実というわけではないが(というよりiPhone SEという名称も4インチiPhone自体もAppleからの正式発表があるまでは確定情報ではない)、現在のiPhoneの販売状況をみれば、そうなるであろうと言わざるを得ない。
というのも、Appleは次世代のiPhone 7、iPhone 7 Plus、そして噂されるiPhone Pro(デュアルレンズカメラ搭載の上級機種)には更に性能を大幅にアップしたA10チップを搭載するとみられているからだ。そして、そうでもしなければ、2016年度(会計年度)のAppleの売上高は惨憺たるものになってしまうかもしれないのだ。
AppleのA10チップ、自社開発のメリットを十分に生かし切れるか
最近のiPhoneやiPadに搭載されている【AシリーズSoC】はAppleが自主設計したものだ。特にチップアーキテクチャを自社で持っていること、そして長期にわたる開発と製造工程技術の過程で最先端を維持していること、この2つのメリットはAppleがチップの性能と機能を思い通りにコントロールできる基礎となっている。
現在確実にいえることは、A10チップはA9チップに比べチップアーキテクチャにも更に改良が施されるということだ。これはOEM先の問題で恐らく最新の10nmプロセスが採用されないだろうとみられているからだ。そうなると、Appleは自らのマイクロアーキテクチャ設計に何らかのイノベーションが求められることになる。それはひとえにA10チップに、A9チップにはなかった特徴や特性を実現させるためだ。
現在予測されるA10チップでの性能向上レベル
Apple自身のアーキテクチャの進化による性能向上
これまでのメディアの報道ではA10チップはA7チップからA8チップへの性能アップした時と同等のアップデートとなるだろうと伝えられている。まずはCPUのクロック周波数については、A10はA9よりも10〜20%アップし、新しいアーキテクチャによって更に10〜15%の強化が行われ、全体的には30〜40%の性能向上になるのではないかとみられている。
GPUについては、PowerVR 7XTがA10の内部に採り入れられるのではないかとみられており、これに関しては懸念は殆どない。A9チップは6個のUSCと192個のALUコアを持ったPowerVR GT7600 GPUを搭載しており、A10チップの場合はこれらが2〜4個増加されるとみられているが、これに関しては倍増するというような劇的な性能の向上はないと思われる。
OEM先のTSMCの先進的テクノロジーによる性能向上
A10チップのCPUとGPUに大幅な(倍増のような)性能の向上がみられないとなると、殆どA9チップに比べてインパクトのない進化になるのではないか?と思われるかもしれないが、もしかしたらそうとも言い切れないかもしれない。A10チップはAppleと長期のパートナー関係にある台湾のTSMCが100%代理加工製造するとみられており、そのTSMCの18番であるInFO WLP(パッケージ技術)や、Integrated Fan-outパッケージ技術の組み合わせによって、更なる性能向上が図られるかもしれないからだ。
つまり、これらのパッケージング技術の向上によってA10チップの性能が向上するだけではなく消費電力も下げることができ、またAppleのアーキテクチャが更なる進化を遂げれば、CPUのクロック数を更に挙げられるだけではなく、省スペース化で更に多くのGPUのUSCを詰め込むことができるかもしれない。
また今回AppleはA10チップを100%TSMCに発注したのではないかということもあり、もしそれが事実であれば、iPhone 6sやiPhone 6s Plusで発生した14nmと16nmプロセスや性能に若干の違いがあるプロセッサが混在するという”チップゲート”ような事件は発生しないだろう。
A9チップの【iPhone SE】が入門機になれば、フラッグシップでA10チップ搭載の【iPhone 7】には明らかな性能向上が求められる
今年の秋になってiPhone 7/iPhone 7 Plus/iPhone Pro(仮称)がリリースされると、iPhone SEは恐らくAppleにとってスマートフォン市場における”入門レベル”の機種となるだろう。そして現行のiPhone 6s/6s Plusの価格もそれに合わせて下げられることになるだろう。この3種類のiPhoneは販売価格は違えども、A9チップを搭載したiPhoneという意味では同等の性能ということになる。そうなるとやはりiPhone 7シリーズに搭載するA10チップはA9チップよりも大幅な性能向上がない限り、Appleは販売する際に店舗側にも消費者側にも、その端末を買い換える十分な理由を示さねばならなくなるだろう。
更に薄く軽いボディ設計と、更にクオリティと発色のいいカメラモジュールの搭載、そして表示効果が明らかに以前より優れたディスプレイなど、次世代iPhoneには比較的わかりやすいアップデートの要素が採用されるとみられているが、当然ながら処理速度の向上というものも非常に重要な要素の1つだ。
画蛇添足 One more thing…
AppleのA10チップでの更なる飛躍が期待されている。まあ、毎年のことではあるのだが、今回は特に6sから7へというメジャーなナンバリングのアップデートということもあり、やはり6とは違う7ということで大きな変化が自然に期待されてしまうのだ。
ただ、これまではナンバリングのメジャーアップデートでは主に外観の大幅な変更が主体で、そしてその次の年のsのマイナーアップデートでSoCの性能がアップデートされるというこれまでの慣例もあり、iPhone 7のA10チップに関してはそこまでの劇的な性能向上は期待しない方がいいかもしれない。
また、現在iPhone 6sのA9チップで何か処理性能速度に不満があるかというと、よほど大きな映像処理アプリケーション(ゲームを含む)や大きなデータでも扱わない限り、殆どないのではないだろうか。現行最新のiPhone 6sは既に十分に成熟した製品だ。私個人的には更に脱獄して高速化Tweakなどを入れると爆速で正直殆ど何も不満はない。
それよりも、RAMをもう少し増やしてシステムのマルチタスク、特にサードパーティ製のIMEとの互換性を安定させて欲しいというのが正直なところだ。それには恐らくiOS側(iPhone 7にはiOS 10が搭載されるだろうと思われる)の改善も必要となるだろう。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)