Appleが最大の特許訴訟のターゲットになってしまっているのは、短期的には変えられない現実のようだ。なぜなら、今やアメリカだけではなく、中国の企業までAppleに手を出し始めたからだ。
WSJの報道によれば、3社の中国企業及び中国で営業を展開している企業が、将来的にAppleに対して国際特許訴訟を起こす予定だという。なぜなら彼らの手中にある特許の数は驚くほど多いからだ。その3社とは、ファーウェイ(HUAWEI、華為)、ZTE(中興)、そしてクアルコム(Qualcomm)だ(ご存じの通りクアルコムはアメリカの企業だが、販売先や製造は中国が多い)。
上記のWSJの報道によれば、ファーウェイ、ZTE、クアルコムは2015年に国際特許を出願した数が世界で最も多い3社となっており、そのうちファーウェイがダントツでNo.1で、その特許出願数は3,898個にも上る。ファーウェイは世界で三番目のスマートフォンメーカーで、通信デバイス分野ではNo.1だ。ということで主な業務をモバイルプラットフォームに頼っているAppleにとっては、一部の通信技術においてファーウェイの注意を引いてしまっている。クアルコムとZTEの出願した特許の数はファーウェイほど多くはないものの、この2社が持っている特許もAppleが避けて通れないほどAppleの業務とは関係が深い。
最近、Appleは中国深圳の現在はほぼ無名のスマホメーカー「佰利(Baili)」にiPhone 6/6 Plusが彼らのスマホ100C(100+とも)の意匠権を侵害しているとして訴えられたことも記憶に新しい。当ブログでもお伝えしている通りだ。
この佰利は殆ど破産しているような会社のため、あまりAppleにとっては影響はないかもしれないが、いずれにせよ中国にはAppleを特許裁判の格好の対象として狙っている会社があるということだ。
上記3社はまだ中国においてはAppleを起訴していないが、中国の知財弁護士によれば、その形跡がこれまでなかったとしてもこれからやらないというわけではないという。中国の上海で国際知財コンサルを行っているBenjamin Bai氏によれば、Appleは今後5年以内に中国で多くの企業から起訴されるだけではなく、中国企業から海外において起訴される可能性があるという。
ちなみに起訴される可能性があるのはAppleだけではなく、サムスン(SAMSUNG)もその対象のようだ。
Appleはそろそろ他の会社の追っかけをやめ、イノベーションを起こす方向に持っていかないと、この傾向はますます強くなっていく可能性がある。
記事は以上。