2020年のiPhoneとMacは、TSMC製の5nmプロセスで更に劇的な性能向上か

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iPhone 7を含むそれ以降の全てのAppleのモバイルデバイス用Aシリーズチップを製造しているTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(以下TSMC)は、現行最小微細プロセスの7nmプロセスから、今後更に微細化した5nmプロセスへ移行する準備が整っています。TSMCの技術革新は、来年のiPhoneとiPadに著しい性能向上をもたらすことが期待されます。そして更に5nmプロセスチップを改良した2021年モデルも、更に性能が向上するとみられていて、これらの5nmプロセスはもしかしたらAppleが独自研究開発を進めているといわれているMac用のメインプロセッサに使われるかもしれません。

A12Bionic-2018_Apple
現行のA12 Bionicチップも十分強力ですが。。

AppleはiOSデバイス用に独自のAシリーズプロセッサを開発・設計していますが、台湾のTSMCはそれを実際に製造している会社です。そして、この2社の密接な協力と一定程度の独占的な契約により、iPhoneとiPadは長年、モバイルデバイスとしてはスーパーハイエンドなパフォーマンスを発揮することができているのです。

しかし同時に、サムスンなど独自のファウンドリを持つ会社を除いて、TSMCが世界中のほぼ全てのモバイル用メインプロセッサ(SoC)を製造していると言っても過言ではありません。架空の話ではありますが、機動戦士ガンダムの世界で地球連邦軍であろうがジオン公国であろうが、敵対する陣営が使用している兵器「モビルスーツ」全てをアナハイム・エレクトロニクスが独占して製造している構図と似ています。

プロセスの微細化はチップの性能向上や省電力化と切っても切れない関係

これは当ブログをご覧の皆様にとってはほぼ釈迦に説法になってしまうかもしれませんが、プロセスの微細化をすること、つまりプロセッサコンポーネント間の距離を縮め、より小さいスペースにパッケージングすることで、パフォーマンスが向上し、熱伝導効率が上がることで無駄な熱が発生しなくなり、そして結果的に消費電力が節約できるようになるのです。

現行最新の、去年2018年秋にリリースされたiPhone XS/XS Max/XRに搭載されているApple A12 Bionicチップは、TSMCにとっても、世界にとっても、7nmプロセスで作られた最初の量産製品です。これまで伝えられるところによれば、この7nmプロセスの改良版を使用している2019年のA13チップは既に生産段階にあり、今年販売されると思われる次世代のiPhone XI(iPhone 11、仮称)に搭載される予定です。

以前当ブログでもお伝えした通り、TSMCはすでに5nmプロセスを使用したチップの試作を完了しているということです。5nmにすることで、チップ設計の改善によるその他の向上に関係なく、単純にパフォーマンスが15%向上します。2020年のiPhoneとiPadモデルに搭載予定のA14チップには、ほぼ確実にこの5nmプロセスで製造されたチップが使用されるとみられています。

そしてTSMCは、2021年にリリースする予定のチップにおいて、5nmプロセスの改良版を使用する研究開発も既に進めているといわれています。

MacのプロセッサにもTSMC製5nmチップがいずれ採用か

TSMCの5nmプロセスは、将来のmacOSのノートブック型コンピュータMacBookシリーズや、デスクトップのMacシリーズ(iMac、Mac mini、Mac Pro等)でも採用される可能性があります。Appleはだいぶ前から自社でMac用のプロセッサをARMベースで開発しているという情報が出ていますし、一部のメディアやアナリストは、早ければ2020年には、Macにおいてインテル(Intel)のチップが使われる時代が終わることを予測しています。もしそうなったら、また一つ、Macだけでなくコンピュータの歴史に大きな変化が訪れることになります。

なぜMacにもTSMC製のチップが搭載されると考えられるか?というと、モバイル向けチップによって培われたTSMCの高度なチップ生産能力が、遥かにインテルのものを超えていることが数字でも明らかだからです。インテルはまだプロセッサの製造プロセスは14nmレベルで、現在それを10nmに微細化するための研究をしているところですが、TSMCは14nmや10nmは数年前にとっくに達成していて、現在はインテルの半分の大きさの7nmが現行で、5nm移行のために順調に動いているところをみれば、その差は明らかなのはよくわかりますね。

しかも、プロセスの微細化だけではなく、OSとハードウェアを同時に自社開発しているのはAppleだけで、そのメリットがiPhone/iPadに活かされていることを鑑みれば、Macも同様にそのシナジー効果が望めるのは間違いないでしょう。早ければ来年か、少なくとも2〜3年の間に、Macシリーズの飛躍的な性能向上が望めるかもしれません。

プロセス微細化によって、SoCの省スペース化による機能追加・拡張を達成できる

ところで、現在のプロセッサのスピードは、よほどのVRやAR、または超リアルで動きの速い3Dのゲームなどで酷使をしない限り、一般ユーザにとっては殆ど事足りているというのも事実です。微細化をすることで、上記の通り速度向上や省電力化が図れるのはもちろんですが、プロセッサ用のスペースを縮小して基板の中に空いたスペースに更に別の機能を搭載したり、或いはメインプロセッサの中に更に別の機能を搭載することで、全体の処理速度の向上や機能拡張を図るというのがプロセス微細化のメリットとなりつつあります。実際、iPhone/iPad用の現行最新のA12 Bionicプロセッサには「ニューラルエンジン」というAIの演算をする機能がプロセッサの内部に搭載されていて、これによる補助的な作用によってiPhone/iPadの処理速度が更に向上しているといわれています。デスクトップ型Macシリーズにおいては、省電力を気にすることはないため、プロセッサ内部或いは基板上に追加された付加機能の強化によって更にパワフルな処理ができるようになることが期待されます。

記事は以上です。

(記事情報元:Cult of Mac

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