カリフォルニア州サンバーナーディーノでの銃乱射テロ事件のFBIによる調査はまだ続いているが、あのAppleとさんざんやりあった、犯人のサイード・ファルークの所持していたとされるiPhone 5cは既に解除された。しかしFBIが誰の助けによって解除したのか？というのは未だに明らかにされていない。

現在メディアの見方は、日本のサン電子の子会社でイスラエルのセレブライト（Cellebrite）社の協力を得たという説と、専門の”グレーハット”のハッカーチームに助けを求めたかの2つにわかれている。そして最近のFBI局長による発言が、更にその協力者について更に考察を深めるてがかりになるかもしれない。

ロイター社（Reuters）の報道によると、FBIのJames Comey局長が本日外部に向けて、彼らがサンバーナーディーノの銃乱射テロ事件に関わるiPhone 5cを解除した費用は、Comey局長のFBI局長の身分として将来8年と4ヶ月の報酬よりも多い、と語っていることがわかった。現在のFBI局長の年収が18.3万ドル（約2,003万円）であることから計算すると、FBIはiPhone 5cの解除に少なくとも130万米ドル（約1億4230万円）を使ったことになる。

上記のComeyFBI局長の発言はロンドンのセキュリティ会議の中で司会者の質問に答えたもので、もともとの発言はこうだった。「（費用）は私がこの地位でいられる残りの時間（＝任期）で稼ぐお金よりも多いが、私はその価値があったと思っている」。

CBS Newsの先週のニュースによれば、とある匿名の行政機関の官僚が明かしたところによれば、FBIはテロリストのiPhone 5cを解除しても結局何ら調査に有利になるような情報は得られなかったという。

つまりこれはテロリストのファルークとその妻は第三者と連絡をとった後にあのテロ事件を起こしたわけではなかったことを意味すると同時に、このテロリスト夫妻はテロ組織やマフィアなどの一員として実行したわけではなく、単独犯であった可能性が高いということだ。

そしてもしFBIが払った”解除費用”だけで判断すれば、FBIが協力を求めたのはプロのハッカーチームであると確定することができる。なぜならセレブライト社が毎回の解除で受け取っていた費用はたったの1万ドル（約110万円）前後だったとされているからだ。

画蛇添足 One more thing…

最近某国の首都の知事が最近外遊に大量のお金をかけて批判されているが（もっと前の某有名人の弟知事も相当贅沢旅行をしていたみたいなので伝統のようだが）、今回の局長が口を滑らせてばれてしまったFBIの”無駄遣い”の費用も、当然税金から支払われているわけだ。

局長がいかに「私はその価値があったと思っている」と自分の考えを言っても、その根拠が示されなければアメリカ国民も納得できないのではないだろうか。某知事の「だって、だって、ホテルの格を上げないと向こうの要人のだーれも僕ちんに会ってくれないんだもーん」と言っているのと同じくらい納得できない話かもしれない（最後のはもちろんジョークです）。

そんなわけで、批判を避けたかったFBIはさっさとAppleへの訴訟を取り下げ、幕引きを計ったのかもしれない。しかしこのことが明るみに出た以上、FBIは今後何らかの事件に関わるiPhoneの解除についてAppleに余計協力を強要するようになるのか、それとも今回のことを蒸し返されるのが嫌であまり表沙汰にしないのか、その行動に注目だ。また、James Comey FBI局長の去就問題に繋がらないかも、注目した方がいいかもしれない。

記事は以上。

（記事情報元：Reuters）