以前、中国の急伸スマートフォンメーカー”シャオミ(小米、xiaomi)”の基板がほぼ保護コーティングされていないという話題で中国で話題沸騰となった。
では、AppleのiPhoneはどうだろうか?中国にあるiPhone修理屋で、新型iPhoneの情報のリークでも有名なGeekBarが面白い記事を書いているので紹介しよう。
電子部品の保護コーティング(coating, dispensing)とは
保護コーティングとは、電気製品では一般的に用いられているチップ(電子部品)を保護するための措置のことだ。BGAパッケージによって基板上に実装されたチップの表面及び端子部分の上にコーティング剤(糊のようなもの)を塗布することで、チップが外気と隔絶され、防水・防塵・遮蔽等の効果をもたらすものだ。このディスペンスによってBGAパッケージングは非常に強固なものとなり、例えば携帯電話を落としたとしても、ハンダ付けした部分に亀裂が入ったりチップが損傷する確率を低くすることができる。
デメリットは、修理がしにくくなるということだ。
iPhone歴代電子部品保護コーティング:iPhone4/4s
もう数年前になるiPhone4/4sの時代には、基板(ロジックボード)上の重要なチップには全てコーティングが施されていた。
iPhone歴代電子部品保護コーティング:iPhone5/5s
そしてiPhone5/5sの時代には、重要なチップの一部がコーティングされていた。
iPhone歴代電子部品保護コーティング:iPhone6/6s
そして現在のiPhone6/6 Plusでは、本当にコアなチップのみコーティングが施されていることがわかっている。つまり、iPhoneは代が進むたびに保護コーティングがどんどん省かれているのだ。
iPhone6/6sは別の部分で保護がなされている
但し、iPhone6/6 Plusのシャーシの開口部、例えばスリープボタンやボリュームボタンなどの場所にはゴムによる密封が施されており、水や雑物の侵入を防ぐ設計となっている。
ただ、地球で最も売れているデバイスを作っている地球で最も市場価値が高い会社としての後光もあることだし、Appleは間違いなく再三利害得失の計算をし、また様々なテストをすることで基準をクリアしているものと思われる。消費者の権益を保証することだろうと信じたい!
こんなんじゃつまらん!なんか面白くて刺激的な画像はないの?
そうだよね。ということでコーティングが施されていない携帯電話に、液体が侵入した後の写真を公開しよう。
携帯電話の基板(ロジックボード)に導電体である液体が侵入した後、基板上の電子部品が電荷を帯び、導電体である液体に触れるとショートや腐食を起こす。かなりひどい結果になることは目に見えてわかるだろう。
チップをコーティングしておけば、液体が基板に侵入しても侵蝕の可能性を減少することができる。ただしコーティングされた電子部品が壊れた時の修理は困難となる。
上の画像はiPhoneの基板から壊れた電子部品を取り除いた時の写真で、ロジックボード上に残ったコーティング剤を見ることができる。コーティング剤は固形化しており綺麗に取り除くのが困難となり、また基板の表層にはパッケージ用の端子部分が露出してしまっており非常に脆弱な状態となっている。
コーティングされた電子部品の交換には熟練したエンジニアによる作業が必要となり、かなり作業時間がかかると思ったほうがよい。
画蛇添足:iPhone6/6 Plusは大事に扱おう
iPhone6/6 Plusに”ベンドゲート(bendgate)”と呼ばれる、機体が薄くなったことから曲がりやすくなった疑惑が持ち上がった時に、機体が折れ曲がるとフロントパネルディスプレイとバックパネル(シャーシ)の間に隙間ができることが指摘されている。
そうなればいくら開口部を防水・防塵保護したところで意味が無いことも容易に想像できる。iPhone6/6 Plusは歴代iPhoneよりも防水・防塵性能が弱いととらえ、大事に扱ったほうがよさそうだ。
なお、もちろんこれまでのiPhoneが防水性能が高いわけではなく、浸水・水没すれば必ず故障するので注意が必要なのは言うまでもない。
記事は以上。