Apple次世代モバイル用CPU”A9チップ”の初ロットをSAMSUNGがオースティンで製造開始か

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A8chip

12月14日のフォーブス(Forbes)ネット版での報道によると、Appleは次世代モバイル用CPU”A9″チップをSAMSUNGに発注し、初ロット分がSAMSUNGのオースティン(Austin)にある工場にて製造が開始されたという。またA9チップには14nmプロセスが採用されている可能性があるという。

A9チップは恐らくAppleの次世代スマートフォン、iPhone6s或いはiPhone7に使用されるといわれている。業界内では、A9チップに従来のA8チップに比べ速度が速くなり、高効率で更にエネルギー消費効率も良いという。現在のところこのチップがどの機種に使われるという明確な情報はない。

業界内では、Appleは来年度に2種類のiPhoneをリリースするという。そのうち1種類はApple Watchが台に四半期にリリースされるのと同時にリリースされ、もう1種類はこれまでと同様9月にリリースされるという見方もある。

A8チップが搭載されたiPhone6とiPhone6 Plusがリリースされてから半年でA9チップを搭載したiPhoneがリリースされれば、多くのユーザに不満を抱かせることになるだろう。Appleがその製品リリース周期を短くすることはいい戦略ではないということは多くのアナリストが分析しているところでもある。ティム・クック(Tim Cook)統治下のAppleでは、そのようなミスを犯すことはないとは思われるが。

いずれにせよA9チップの製造がこのような早い段階から行われるということは、Appleは次世代iPhoneに関しては販売前に多くの在庫を持っておきたいという気持ちの表れではないかと思われる。AppleのiPhoneは年々発売当初時期の入手が難しくなっており、特にiPhone6/6 Plusに関しては一部地域(特に中国)では入手不可能となり香港や日本から購入して密輸するという転売行為が大いに行われた。
もう1つの側面としては、初ロット分を次世代iPhoneのテスト機に搭載し、これから全世界でテストを行うということも考えられる。

A9チップがAppleに与える影響はそれほど大きくないだろう。というのもA9チップはあくまでAppleの例年のiPhone新機種リリースの中の一部分(一部品)にすぎないからだ。しかし今回A9チップの製造を受注したSAMSUNGにとってはその影響は非常に大きい。SAMSUNGは10月に、来年に巨額の受注を受けられるだろうと発表している。それは紛れも無くAppleからの受注を暗示していることは誰にでもわかることだ。AppleはAシリーズのCPUの発注をTSMC独占状態からSAMSUNGへの転注を始めており、一部のメディアによればTSMCのA8チップ(現行品)におけるシェアは約60〜70%に下がっているという。

またSAMSUNGが今回初ロットをテキサス州オースティンにて行っているのも興味深い。恐らくSAMSUNGはAppleのMade in USAの品質向上に一役買うかもしれない。

SAMSUNGのチップ業務のトップKim Ki-namは、10月にメディアに対し、Appleに対して最新のチップが供給できれば同社の利益は増加すると明言していた。
肝心のSAMSUNGのスマートフォン業務は低迷が続いており、来年の展望は明るくないが、AppleがSAMSUNGに大多数のチップの製造を委託することになれば、当然ながらSAMSUNGは巨額の増収増益となる。SAMSUNGはその増収増益をもって、Androidスマホのトップへの返り咲きを狙うかもしれない。

なお、A9チップはGlobal Foundriesも受注したとみられる。Appleは今回の転注の原因を明らかにしていないが、TSMCが価格を下げなかったところにSAMSUNGとGlobal Foundriesが低価格で入札したためだともいわれている。

また、次世代iPad用のチップについてはTSMCが受注したともいわれている。
今後もAppleによるCPUのTSMC、SAMSUNG、Global Foundriesの3社への委託生産体制は変わらない可能性があり、それぞれに牽制をかけてできるだけ低価格で安定した調達を図るApple帝国の作戦は今のところ功を奏しているようだ。

記事は以上。

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