来年のiPhoneに搭載のA13チップもTSMCが独占受注か

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AppleはiPhone用のメインプロセッサ(SoC)のAシリーズチップの設計を自社で行っており、その性能は毎年発表されるたびに商業的に量産され販売されているスマートフォンデバイスの中で世界一の速さを記録しています。先月リリースされたばかりのiPhone XSシリーズ/XRに搭載されているA12 BIONICチップの性能もあっと驚くレベルのものでした。しかしApple自身はAシリーズチップの製造は行っておらず、2016年のA10チップ(iPhone 7シリーズに搭載)以来、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacuturing Company)が独占受注しています。そしてDigitimesの報道によると、来年のA13チップについても、やはりTSMCが引き続き独占受注することになったようです。

TSMCが来年もA13チップを受注独占、ファウンドリとしてのシェアは56%に

Appleはかつて、TSMCが高品質のチップを大量に生産できることについて、称賛の言葉を贈ったこともあります。先月のAppleの新製品発表イベントで、AppleはiPhone XSシリーズ/XRが世界で初めて7nmプロセスで製造されたチップを用いたスマートフォンとしていましたが、これはほとんどの部分でTSMCの能力による貢献が大きいといえます。また、1社で製造することで、かつてiPhone 6sシリーズで発生した、TSMCとサムスン半導体の2種類のプロセッサで微妙に性能が違うことによるクレームやスキャンダルが発生することを避けることもできます。

Digitimesの報道によると、TSMCは2018年前半期の全世界のファウンドリ(高度な半導体チップの受託製造)シェアのうち56%を占めたということで、これはAppleのAシリーズチップを製造しているからに他なりません。アナリストによれば、TSMCの来年の市場シェアは続伸すると予測されています。

次世代iPad Pro用A12XチップもTSMC

次世代のA13チップの詳細についてはまだわかりませんが、製造プロセスについては引き続き7nmプロセスが採用されるのではないかとみられています。

なお、今月末にリリース発表されると噂されている新型iPad Pro(Face ID搭載モデル)にはA12Xチップが搭載されるとされていて、このチップはiPhone XSシリーズ/XRに搭載されているA12 BIONICチップよりも性能が更に優れているとみられています。このA12Xチップも、もちろんTSMCによって製造されています。

TSMCがAppleからのSoCの受注を独占できる理由とは

さて、ここからは私の知り合いのSさん(業界の中の人)からの情報です。書けないこともたくさんあり、かなり強引な書き方になっているところもあるのでご容赦ください。ただ、かなり一般の人にも、明かせる範囲でわかりやすく解説していただいたと思います。

上記のようにTSMCが1強を保てる理由は、やはりTSMCが持っているInFOパッケージ技術があるからなのです。

他社でも所謂プロセスの微細化(7nm以下などでも)はどうにでも追いつくことは可能ですが、パッケージング込みで囲い込まれたSoCは、実装面でも設計面でも2社競購買に持ち込む事が実質的に不可能で、このパッケージングが有る限り、一応今のところはTSMC1強、という状況です。

現在SoCには、各種演算器(CPU、GPU、ニューラルエンジン等)にハードウェア命令セット(マクロ)キャッシュメモリ、電源をはじめとしたアナログ回路等が盛りだくさんくっついていて、かつそれらが設計段階からパッケージアウトまでのレイアウトを一気にできるため、やはりTSMCは最強なのでしょう。

結局、Appleは他社に出したくても出せないわけですね。ただ、今後他社が画期的なパッケージング技術を発明し開発・量産に成功したら話は別かもしれません。

ただし、今後の本命は2020年のA14だということです。なぜならば、現在のコアはARMv8-Aで、来年2019年のA13チップもこのコアは変わらないと思われるからです。このコアがARMv9になったときが、とある業界にとっては本格的な次世代SoCとなります。というわけで、来年の次世代iPhoneに搭載のA13チップではそこまでの性能アップは望めないかもしれません。

今後の趨勢としてはSoCに色々と機能を取り込んで、究極的には1チップ化を目指すことになっているため、ますますTSMCの受注独占は続くことになるのかもしれません。

記事は以上です。

(記事情報元:Digitimes

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