Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited (TSMC)が昨日、コンピュータがウイルスに感染した影響で、出荷の遅れと収入の減少があることを発表しました。
TSMCがコンピュータウイルスに感染したのは先週木曜日の8月2日のこととみられ、そして日曜日の5日にはBloombergによって伝えられていました。当ブログでもお伝えしたとおりです。
そして上記のBloombergによれば、このウイルスは金曜日にはTSMCの設備を初めて破壊したということです。
TSMCはまさに今年秋にリリース予定の新型iPhoneに搭載されるという次世代A12チップの量産を加速していたところですが、直接のAppleへの影響については不透明です。
TSMCの主な顧客はウイルス侵入による出荷遅れの通知は既に受け取っているということです。
TSMCのLora Ho(何麗梅)CFOによれば、ウイルス制圧のための精一杯の対応をしたということですが、具体的にどのような策をとったのかについては明らかにされていません。またHo氏によれば、TSMCのコンピュータがウイルスに感染したのは初めてではないが、生産ラインにまで影響を及ぼしたのは初めて、ということです。
そしてこのコンピュータウイルスは外部のハッカーからもたらされたものではなく、内部から感染し拡大したともされています。どうやらソフトウェアのインストールにおける失敗によるもので、それがネットワークを通じて拡散したということです。証拠なども含めてそれが説明されているため、本当だったのでしょう。そしてこれによって、9〜12月の2018年第4四半期の売上は、元の予測の85億5000万ドル(約9,522億円)から1億ドル減って、84億5,000万ドル(約9,411億円)となるということです。売上総利益率も1%ほど下がるという予測が同社から出されています。
TSMCは、80%もの製造用ツールがウイルスの影響を受けたということで、現在復旧中ですが、完全な復旧は本日中、と昨日発表されていましたが、どうなったかはわかりません。これを受けて、台北株式市場での同社の株価は1%以上下落しました。
TSMCからはどの顧客がどれほどウイルスによる影響を受けたのか、というようなことは発表していませんが、TSMCの世界全体での売上のうち、21%はAppleが占め、またTSMCがAppleの次世代iPhone用メインプロセッサ「A12チップ」を独占的に受注していることから、やはりある程度影響があるのは必至と思われます。
なお、World Economic Forumによれば、サイバー犯罪が世界経済に与える影響は、向こう5年で8兆ドル(約891兆円)にものぼるといわれています。
(追記)
チップメーカー(ファウンダリ)内部事情に詳しい人物の情報によると、それほどの影響はなく、ちょっとメディアが騒ぎすぎのところがあるようです。
記事は以上です。
(記事情報元:iDownload Blog)