EU(ヨーロッパ連合)の監督機関が、長年スマートフォンの充電ポートの規格を統一しようとしていることはこれまでも当ブログでもお伝えしてきたとおりですが、ロイター社が伝えたところによると、そろそろ実際の行動に移そうとしているようです。
EUの担当者によると、スマートフォンの充電ポートを統一しようとしているのは、充電器による5万1千トンを超える電子ゴミを減らすためと、同時に多くの充電アダプタやケーブルがあること自体が消費者にとって不便であるためとしています。EUが実際の統一の行動に入るのは時期尚早と思われますが、しかしEUは法律を通じて、EU市場で販売されるデバイスのメーカーに、充電基準を統一するように強制的に迫る可能性があります。
そうなると、Appleは独自のLightningポートを捨てなければならなくなり、統一規格とされるUSB-Cなどに変更を迫られることになります。また、AppleはEU販売モデルのみ、ポートを変更することも可能です。現在ほぼ全てのAndroidデバイスメーカーがUSB-Cへの転向の意向を示していますが、Appleもその準備を進めているという噂もあります。
2009年に、14社によって基本的にスマートフォンの充電基準を統一するという共同協議書が作成され、その中にはApple、サムスン(SAMSUNG)、ファーウェイ(HUAWEI)などの大きなスマートフォンメーカーも入っていました。当時そこで決定されたのは、microUSBを充電基準にするというものでした。
しかしAppleはmicroUSBを採用せず、それどころかiPhone 5の時代から独自のLightningコネクタを、これまでの30ピンコネクタの代わりに採用しました。そして14社による協議書は2012年に失効しましたが、Appleはその後何も具体的な動きをしませんでした。EUの競争委員会事務局長のMargrethe Vestager氏は、Apple自らが決めた決まりを変更した現状に不満を漏らしています。
8月1日、Margrethe Vestager氏はEUの議員の質問に対し、「このような自発的に参加した方法の発展は満足のいくものではありませんでした。EU委員会としてはすぐにでもその影響評価研究を進め、選択肢が多いことによるコストと収益について評価していきます」と答えています。
つまり、EU委員会は充電規格統一化に向けた研究と、具体的な必要性とそうなった場合の潜在的な影響の分析に入っていくということになります。
AppleはLightningコネクタのMFi(Made For iPhone/iPad/iPod Touch)ライセンスを発行しており、そのライセンス収入もあるため、簡単にLightningは捨てないと思われますが、今年の次世代iPhoneからは電源アダプタをUSB-C(USB-PD)とし、そして来年以降から端末側もUSB-Cにする可能性があることが台湾Digitimesによって報道じられています。劣悪なケーブルなどを使われないように、そして安全性を確保するために、AppleはUSB-Cケーブルにも認証を導入するかもしれませんね。
記事は以上です。
(記事情報元:Reuters)