Digitimesの報道によると、業界筋からの情報として、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)は、ハイエンドスマートフォン向けに設計されたクアルコムのSnapdragon 855プロセッサの量産を間もなく開始するということです。
このSnapdragon 855シリーズは、クアルコム初の7nmプロセスによるSoCで、2019年第2四半期に発売が予定されている新しいハイエンド或いはプレミアムクラスのAndroidデバイスの数々に供給されます。ちなみにAppleのiPhone XS/XS Max/XRに搭載されているSoCのA12 BIONICチップも100%TSMCによる委託生産で、7nmプロセスを採用していて、7nmプロセスSoCとしては、Appleが先んじて出したことになります。
業界筋によれば、TSMCのクアルコムの7nmチップの受注が、iPhoneチップの受注の弱さを相殺すると見込まれているということです。またTSMCは、次世代iPhoneシリーズ用のSoC出荷が開始される7月から収益が大幅に回復すると見込んでいる、と情報筋は述べています。
TSMCは、第1四半期の売上高を73億米ドルから74億米ドルと予測していました。これは、2018年の仮想通貨(暗号通貨)マイニングASICの受注が急増した時期に比べて約14%も減少しました。また、予測として第2四半期には前四半期と比較して約22%の連続的な減少が続くとみられています。
TSMCは、2019年がファウンドリ部門および半導体市場全体にとって「スローな年」になると予想しています。それにもかかわらず、TSMCの7nmノード製造の競争力は、同社が依然として業界平均を上回り、世界最大のチップメーカーであり続けることを可能にすることでしょう。
機動戦士ガンダムで例えれば、さながら地球連邦軍のガンダムもジオン公国のザクも、同じモビルスーツメーカーのアナハイム・エレクトロニクスが製造し提供しているのと同じような構造となります(今回は完成品ではなく、部品レベルではありますが)。
逆にファウンダリが寡占になりすぎて、業界全体の発展に繋がらないことの方が怖いかもしれません。
なお、今年の新型iPhoneに搭載予定のA13チップ(順当にいけば)は、A12チップと同様7nmプロセスになりそうですが、より進んだEUV(極端紫外線)リソグラフィを導入した「N7+」になりそうです。ただ、通常の7nmプロセスに比べて消費電力が10%下がるくらいで、処理速度はそれほどの上昇は望めないということで、iPhone 2019年モデルが現行のiPhone XS/XS Max/XRに比べてどれほどの性能アップになるかは未知数です。もうSoCの速度としてはほぼ十分なので、あとは小型化してA12チップに搭載されているNeural Engine(ニューラルエンジン)のような別の機能を盛り込むというのがトレンドになりそうですね。
記事は以上です。
(記事情報元:Digitimes)