やはりEVそのものを開発!?Apple、テスラからEVのパワートレイン技術担当副社長を引き入れか

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AppleがEV(電気自動車)に関する技術の開発に取り組んでいることは公然の秘密となっていますが、これまでの情報ではAppleはEVそのものよりも自動運転技術の開発への集中に舵を切ったといわれてきました。しかしelectrekの情報によると、AppleがEV開発・製造・販売元としては世界最先端を走っているテスラ(Tesla)から、パワートレイン技術担当副社長だったMichael Schwekutsch氏を引き抜いてEV関連開発チームに加えたことが判明したことから、やはりEVそのものを開発しているのではないかとみられています。

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AppleのEVのコンセプトイメージ

パワートレインとは、エンジンで発生した回転エネルギーを、効率よく駆動輪に伝えるための装置の総称のことで、具体的にはエンジン・クラッチ・トランスミッション・ドライブシャフト・プロペラシャフト・デファレンシャルギアなどの自動車に使われる部品のことです。テスラでこれらのエンジニアリングのトップを務めていた人がAppleに入社したとなれば、AppleはEVそのものを開発しているとみてもおかしくはないでしょう。

そして今回Appleが引き入れたMichael Schwekutsch氏は、テスラだけではなく、EV業界全体で最先端の電動パワートレインプログラムを市場に送り出した最も経験豊富なエンジニアとして知られていることから、今月初めにテスラを退職したというニュースが流れたときに、テスラにとっては非常に大きな損失だったと外部からは評価されていたほどでした。

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Dr.Michael Schwekutsch

2015年にSchwekutsch氏がテスラに入社したときに、彼の経歴についてはテスラによってこう説明されていました。

Michael Schwekutschは、 BorgWarnerや  GKN Drivelineのような伝説的なサードパーティのパワートレインエンジニアリング会社で20年以上のキャリアを積んだ後、昨年テスラに入社してパワートレイン開発をリードしています。さらに最近では、BMW i8、Porsche 918 Spyder Electric Drive、Fiat 500eV、Volvo XC90などの電気およびハイブリッドパワートレインのプログラムをこれらの人気車種の中で管理していました。

今日、彼は設計とエンジニアリングから製造と検証に至るまでのテスラのドライブユニットを担当しています。そして現在すべての作業はカリフォルニア州フリーモントのテスラファクトリーで行われています。」

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BMW i8
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Porsche 918 Spyder Electric Drive:プリウス並みの33km/lという燃費を誇ります
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Fiat 500eV
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Volvo XC90 EV:Volvoは中国の吉利汽車(Geely)に買収されているので中国車なのですが

テスラにおいて、Schwekutsch氏は「Tesla Roadster IIやTesla Semi / Tesla Truckのような最先端のドライブシステム」の開発に参加していたといわれています。そしてそのSchwekutsch氏が今はAppleのEV開発スペシャルプロジェクト「Project Titan」に参加していることが判明したのです。

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Tesla Roadstar II(2020モデル)
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Tesla Semi(トレーラータイプ)

実はこの「Project Titan」には既にテスラから出たエンジニアが数人参加しており、Schwekutsch氏はその中でも最も最近に参加した人ということになります。パワートレインについては20年以上、そして電気やハイブリッドのパワートレインでは10年以上の経験があるSchwekutsch氏がAppleのProject Titanに加わったことで、Appleが完全なEVそのものを開発し市場に投入することができるようになったともいえるでしょう。

このSchwekutsch氏は、かつてテスラで長年エンジニアリングを担当した後に一昨年Appleに入社し、Appleの元ハードウェアエンジニアリング担当SVP(上級副社長)だったボブ・マンズフィールド(Bob Mansfield)氏と共に”ダブル・フィールド”でEVプロジェクト「Project Titan」を率いているといわれるダグ・フィールド(Doug Field)氏のもとにいるとされています。

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かつてAppleのハードウェアエンジニアリング担当SVP立った頃のボブ・マンズフィールド氏
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テスラで長年エンジニアリングを率いていたダグ・フィールド氏

テスラの創業者でCEOのイーロン・マスク氏は最盛期の2015年、あまりに多くの人がテスラからAppleに引き抜かれていた状況を「Appleは我々テスラが解雇した人物ばかりを雇っている。まるでAppleはテスラの墓場だな」と揶揄したことがありました。しかし最近Appleは明らかにテスラが解雇したとは思えない、テスラ社内どころか業界全体でも重要な役割を担った中心人物とされる人材を引き入れています。もちろん、テスラはここ1年ほどで多くの人を解雇し、そのうちの何人かはAppleに入社してProject Titanに関わっているといわれますし、Apple自身もProject Titanの見直しによってリストラを行い、雇用削減を行ったともいわれています。

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テスラのイーロン・マスクCEO。これだけの重要人物を引き抜かれて、内心穏やかではないでしょうね。

そしてSchwekutsch氏は先月Project Titanの雇用削減(レイオフ)が伝えられた頃に、そのProject Titanに入っているのです。Schwekutsch氏がAppleにとってどれだけ重要な人物ととらえられているかをよく物語っているのではないでしょうか。

Schwekutsch氏がAppleのProject Titanに加わることがどれほど重要な意味を持つかについて、再度確認してみましょう。Appleはこれまで、コンピュータやスマートフォンなどは製造してきましたが、自動車のような駆動する大型で複雑な機械製品を製造したことは一度もありません。その意味では、経験のない企業が自動車を作るということは考えにくく、これまでEVを開発しているという噂や情報については懐疑的な見方があったのです。しかし前出の通りテスラで指導的な立場であったダグ・フィールド氏やSchwekutsch氏が入ることによって、その状況はガラッと変わります。これまであらゆる伝統的な自動車メーカーが販売してきた中でも最高峰のEVを作ってきた幹部エンジニアが加わることで、急激にAppleのEVが現実味を帯びてくるのです。更に、Appleには何百億ドルというふんだんな資金もあり、更に豊富なソフトウェア資源もあります。これらが組み合わさることで、急激にAppleから世界最高峰のEVが産まれてくる可能性が高まってきました。

エネルギーの転換期にある昨今では、EVに対する期待も高まっています。これまで伝統的な自動車としては後れをとってきた中国のメーカーが、巨大市場での大実験場におけるビッグデータをもとにEV市場に入り込んできています。そんな中、Appleがそこに名乗りを上げ、最高峰のEVで売上げをかっさらっていく姿が、もしかしたら10年、いや数年後には見られるのかもしれません。

iPhoneの次にAppleの柱となるのは、もしかしたらEVなのかもしれません。

記事は以上です。

(記事情報元:electrek

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