本日、Apple(アップル)がiOS7.1.2のSHSH(Signature Hash)認証の発行(署名)を停止した。これでiOS7.1.2への復元は不可能ということになる。
Appleは現在最新のiOS8によってモバイルデバイスの全面アップデートを図っており、iOS7.1.2の認証の発行を停止するのは当然ともいえる。iOS8対応のデバイスとは、iPhone4s以降のデバイスと、iPad2以降、そしてiPad mini(及びRetina Displayモデル)のことを挿す。
デベロッパーのSteve Troughton-Smithが最も早くこのことをTwitterで報告しており、このツイートが出回った後、ニュースが駆け巡った。
iOS7.1.2にダウングレード・アップグレード・復元することが不可能に
AppleがiOS7.1.2の署名を停止したことで、iOS8にアップデートしたユーザはiOS7.1.2にダウングレードできなくなる。また、iOS7.1.1以下の人もiOS7.1.2にすることもできなくなった。
なお、iPhone4や初代iPadなど、iOS8に対応していない古いデバイスではiOS7.1.2での復元が可能だ。
脱獄界にまた暗黒時代が到来
iOS7.1.2は現状完全脱獄(Untethered Jailbreak、紐なし脱獄)が可能な最新のiOSでもある。
ということは、これから脱獄の世界は、iOS8対応の完全脱獄ツールがリリースされるまでは暗黒の時代となる。
例えば、iPhone4s以降・iPad2以降・iPad miniをiOS7.xで脱獄していて、何らかの不具合や問題によって復元しなければならなくなったら、もう入獄してiOS8にするしかなく、脱獄はできなくなる。
iOS8の脱獄ツールについては、中国のiOS7.1.x対応完全脱獄ツール”Pangu(盤古)”の開発チーム”Panguteam”が既に開発に着手していることを示唆している。iOS7.0.x対応完全脱獄ツール”evasi0n”の開発チーム”evad3rs”については沈黙を保ったままだ。
果たしてiOS8対応完全脱獄ツールがいつリリースされるかは、今の段階では全く不明の状態だ。
画蛇添足:今回のiOS7.1.2の認証停止までの時間は異常に長かった
9月17日のiOS8のリリースから本日まで、約10日近くもiOS7.1.2の認証を発行していたのはかなり異例の長さともいえる。
Appleは9月17日にiOS8.0正式版をリリースした後、一昨日未明にマイナーアップデートバージョンのiOS8.0.1をリリースしたが、携帯電波を掴まず圏外になったり、Touch ID関連の不具合が多数報告されたため1時間半という短時間で取り下げるという前代未聞の失態を演じ、慌てて昨日その部分を修正したとされるiOS8.0.2をリリースした。
しかし相変わらず私が使っているiPhone6 Plusではあまり具合がよくない。他でも不具合の報告が散見される。
Appleは少なくともスティーブ・ジョブズがいた時代は「よいものができるまではリリースしない」という姿勢だった。
しかし、iPhone4/4s以降は毎年秋に新しいiPhoneをリリースし、それに合わせてiOSもメジャーバージョンアップするというリリース時期の遵守をするようになってしまった。当然株価を気にしてのことと思われるが、それで完成度が低くてもとりあえずえいやでリリースしてしまうという状況が続いているのかもしれない、と考えるとぞっとする。
このAppleの状況を私は個人的に非常に危惧している。先日iPhone6/6 Plusと共に発表されたApple Watchだって、明らかに発表するタイミングを間違えたと思う。
Appleの現CEO、ティム・クック(Tim Cook)も以前のインタビューで、「Appleは先を競わずによいものができるまでリリースしない」と語っていたのに、なんだかんだいって定期的にWWDCやスペシャルイベントをやっているのは、言行不一致ととられても仕方がないのではないか。
iPhone6 Plusのサイズについて、Apple内部の社員でさえ「果たしてこれが電話として使える大きさなのだろうか」という反対意見もあったという。社員の自社製品に対する絶対の自信のなさをうかがわせるエピソードだ。
iOS7.1.2のSHSHの停止時期が延びたのも、Apple内部の自信のなさを顕著に表した事象だったといえるのではないだろうか。
記事は以上。