Appleの元Safariチーフがスティーブ・ジョブズについて語る

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

jobs_pose-250x354

Don Melton(ドン・メルトン)。
彼はApple(アップル)の共同創始者、前CEOでありカリスマだった故Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)と非常に長い間一緒に働いていた。
NeXT(ネクスト)での勤務の後Appleに転職し、
AppleではSafariとWebKitの開発に尽力したことで知られている。

今年初めのスティーブ・ジョブズの誕生日を祝うために、
メルトンは彼自身のブログ記事「Memories of Steve(スティーブの思い出)」で、
ジョブズとの忘れられない出会いについて詳しく語っているのでかいつまんで紹介したい。

ジョブズとメルトンの関係

メルトンはジョブズの腹心ではなく、
場合によってはジョブズの周囲にいることができる機会がある従業員の一人であった。
ジョブズは恐らくメルトンを”サファリ男(Safari Guy)”ととらえていて、
しかも非常に名誉なことにメルトンの本名をジョブズは覚えていたという。
当時NeXTとPixarの多くの社員の中でジョブズに本名を覚えてもらうことは非常に名誉なことと同時に、
非常に大きな責務を負うことになる羽目になるほどの「恐ろしい」ことでもあったらしい。

メルトンがジョブズが初めて会った日、その印象

メルトンが初めてジョブズに会ったのは、
1988年頃のNeXT(ジョブズが起業したNeXTSTEPの開発会社)で、
不幸にも昼休みの食堂で行われたプレゼンテーションの時だった。
他の多くのジョブズに会ったことのある人と同じように、
メルトンもジョブズの振る舞いについて覚えている。
しかし覚えているのはふるまいだけで、ジョブズの言葉ではなかった。

あの時ジョブズはスーツを着込んで(ジョブズがあのジーンズスタイルを発明するまでには更に多くのことを成し遂げなければならなかった、笑)、
食堂でこれから食事を始めようとするメルトンのすぐ近くを通った。
メルトンはとっさに握手を求めたがこれがかなり気まずいことになった。
ジョブズは食堂に設けられた演説台に上がってスピーチを始めたのだ。
しかしその時殆どの社員はまだ食事中で、まだ食事を始めていない人達もいた。
ジョブズはその時社員達を静粛にさせたかったらしい。
そして何回もその話を止めて、自主的に静粛になるよう暗に勧めた。
しかし食堂は多くの人が食事を飲み込む音など多くの雑音に充ちていた。
ジョブズのすぐ近くに座っていたメルトンは、
相当人目を気にしてやきもきしたという。

メルトンはこの時の情景を思い出し、
「いったい誰があんな昼食時のスピーチを企画したのか、あのまぬけ野郎、あの後外に連れ出して撃ち殺してもいいくらいだった」と回想している。

結局メルトンがジョブズを初めて見たときに思い出せるのはジョブズの真面目さと、
そしてあの日は明らかにイラついていたことだった。
もちろんジョブズが喋ったことなど一言も覚えていないという。

メルトンの目に映ったジョブズ像とは

メルトンはジョブズのことを、
ジョブズを表す言葉としてよく使われる
「気分が変わりやすい鬼、または漫画の中の独裁者」とはとらえておらず、
イエスマンや臆病者だったり自分が何をしているのかわからない従業員のために時間を割く暇などない、
非常に忙しいCEOだったのだとしている。
ジョブズは卓越したものを予期できた。
だからあんなに頻繁に成功を手にすることができたのだろうとしている。

そしてジョブズは何が正しかったかを知ることができたという。
しかしそれが正しくなかったとき、
彼がもともと何を求めていたのかをいつも教えてくれたわけではなかったという。
そして彼は嫌いなものについてははっきりしていたという。
このジョブズの習慣があまりにも他人に批判的すぎると誤解されることもあるが、
しかしこれは明らかに時間節約のための明快さであった。
もちろん場合によっては不快だったけれども。

Safari開発に関する小話も

メルトンはSafariの開発の時のジョブズに関するいくつかの面白いエピソードも語っている。
例えばジョブズがSafariのブックマークについてブラウザ内に独立したウインドウが出るのを嫌がったこと、
またページローディングのパーセンテージを表すプログレスバーをアドレスバーに入れたことなどがある。
後者はゆくゆくはSafariの名声を傷つけていくことになる。
プログレスバーのアドレスバーとの融合はユーザーによってはとろく見える、という悪評のために。

ジョブズの個人的なエピソード

仕事人としてのジョブズ以外にも、メルトンはジョブズの個人的ないくつかのエピソードも語っている。
彼の目の中では、ジョブズは子供を持った、そしてちょっと不機嫌な子犬を飼っている一人の男だった。
メルトンはジョブズが彼を蝕む病魔との取引をする、
そんな晩年の深刻な思い出によって自身のブログの文章を締めくくっている。

原文はもっと面白いよ

他にも沢山の面白いエピソードがメルトンのブログ記事にはちりばめられている。
文章はかなり長いが、簡単な英語がわかる人ならある程度の内容は理解できよう。
メルトンはスティーブ・ジョブズという強烈な会社のリーダーについて深い洞察力を持っていて、
しかも更に実に真実味のある書き方をしていて興味深い。
ジョブズファンでなくとも、ぜひ原文に挑戦して欲しい。

記事は以上。

Visited 115 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人