Appleの次世代プロセッサ、A9チップ搭載のデバイス(iPhone6s)は今年秋にリリースされるといわれているが、そのA9チップがお目見えする前に、既に製造メーカー達は次の次のA10チップのオーダー受注に向けての戦いを始めている。そう、2016年に登場するといわれているiPhone7のために。
TSMCがA10チップのために台湾新竹に10nmプロセス製造設備を開始、6月末には完成?
次世代のA9チップの受注を危うく完全に失注しそうになった台湾のTSMCは、間髪を入れず次々世代のA10チップの受注ができるようにその設備投資を始めたという。
このA10チップのために、TSMCは台湾の新竹にある12の違う工場で10nmプロセスの製造設備を立ち上げる予定で、しかもなんと直近の6月末に完成予定だという。またTSMCは更に半導体知的財産プログラムも開始し、そのサービスを年末までに潜在顧客向けに提供し始めるという。
ここまでTSMCが全ての精力を使ってAppleの注意を引きつけようとしているのは、同じAppleのチップサプライヤーとしてのライバルチップメーカーで、現在TSMCよりも優位にあるSAMSUNG半導体の存在とそのSAMSUNGへのライバル意識によるものだ。SAMSUNGのAppleのチップ受注率は急上昇している。
今年SAMSUNGは、AppleのA9チップの受注を100%独占受注したと伝えられていた。Foxconn(フォックスコン、富士康)のCEOテリー・ゴウ(Terry Gou、郭台銘)がその影響力を使ってTSMCにそのパイの一部(約30%といわれている)を分け与えるまでは。どうやら台湾の製造メーカー達は協力し合ってSAMSUNGと対抗する必要があるようだ。それ以外の全ての仕事を全てキャンセルしてでも。
当然、SAMSUNGもその戦いの場から自ら降りるようなことはないだろう。
画蛇添足 One more thing…
まだiPhone6sも出ていないのにiPhone7の話なんて。。と思うかもしれないが、だいたいAppleは常に2世代先のデザイン・開発から購買を進めているといわれているので、今回の動きも全く不思議ではない。
なお、チップサプライヤーの動向については、当ブログの読者さんで専門家のSAさんからの情報では、製造プロセスルール(10nm、14nm、16nmなど)のみに集中して見ると見誤るようだ。というのも、この製造プロセスルールはたいていトランジスタの製造プロセスのことで、その上のメタル配線のプロセスがもっと太いものであることがあるという。例えばTSMCの16FF+とGlobalFoundriesの14FFは結局上のメタル配線が20nmルールなのでPoP互換、ということらしい。
これらの情報は株価予測に左右されることが多い。注意深く見守る必要があるが、個人的にはAppleの将来のデバイスを占うために大事な情報だと思っているので、引き続きサプライヤーの動向を追っていきたいと思う。
しかしAppleからの受注ってとてつもない利益を生むものなのだな、と感心する。
(記事情報元:Cult of Mac、G for Games)