Siriは登場以来大きな進歩を遂げていますが、しかし多くの人やメディアからは他のボイスヘルパーサービスに比べて遅れていることが指摘されていて、そのイメージが付きまとってしまっています。そしてThe Informationの報道によると、Appleでこれまで7年間Siriを担当していた主管クラスのBill Stasior氏が、最近Siriチームを去ったことが報じられました。
Stasior氏はもともとAmazon.comの検索エンジン「A9.com」の元CEOで、2012年10月に同部門の責任者を務めていました。
2012年にSiriチームに入り、それ以来このチームのリーダーでした。Stasior氏は、Siriの共同創業者のAdam Cheyer氏とDag Kittlaus氏の後にSiriチームに入ったことになります。なお、この2人はAppleにSiriが買収されたことでAppleに入社しましたが、その後長くAppleに留まることはありませんでした。またAppleが2010年に買収したSiriメンバーとして、最後の1人として残っていた、元SiriのCTOだったTom Gruber氏は、2018年7月にAppleを退職しています。
Stasior氏のSiriチームからの離脱は、AppleのJohn Giannandrea SVP(上級副社長)による決定で、Stasior氏は既にSiriチームを離れていますが、Apple社内で別のプロジェクトに入っているということです。なおGiannandrea SVPは、AppleにおいてマシンラーニングやAI戦略の責任者となっています。
Giannandrea SVPは、Siriを過去数年間において増大する要求に対する改善をするよりも、もっと長期的な視点に立った研究を続けるべきだと考えていることを、情報筋は伝えています。そして今でも、Siriチームを率いるリーダーの人選を続けているということです。
Giannandrea SVPは2018年4月にAppleに入ったばかりで、12月にSVP(上級副社長)に昇進が発表された、Appleの中では最も新しい上級幹部ということになります。Giannandrea SVPはSVPになるにあたって、大鉈を振るったという言い方もできるかもしれません。このGiannandrea SVPのリーダーシップのもと、Siriはこれまで以上の発展を遂げるのでしょうか。しかしSiriが弱いのは、こういったボイスヘルパーはビッグデータがあればあるほど賢くなるにもかかわらず、Appleがユーザのデータをユーザのプライバシーに考慮するという名目であまりデータを集めることに消極的になっていることが原因とも考えられないでしょうか。その場合は、いくらトップをすげ替えても変わらず、Siriの根本的な仕組みから作り直さなければならないのかもしれません。
Siriの弱さは、HomePodの不振にも繋がっています。今回人事が動いたことで、次世代のiOS 13でのSiriの発展を楽しみにしたいと思います。
記事は以上です。
(記事情報元:The Information)