グループFaceTimeの盗聴可能なバグを発見した10代の少年が経験を語る

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長い時間放置され、ようやく本日謝罪と対応が発表されたAppleのグループFaceTimeで盗聴可能なバグについては、当ブログでもお伝えした通りです。対応は本来今日明日に行われる予定でしたが、来週に伸びることになりました。それまで、Appleは暫定的にグループFaceTimeをサーバ側で機能をオフにしています。

このバグを発見したのは10代の少年でした。しかしAppleにこの問題を通報しても相手にしてもらえず、最終的に対応してもらえるまでに長い時間がかかったことが問題視されています。メディアとしては初めてのこの問題を報道した9to5Macですが、その渦中の少年とその保護者である母親がMarketWatchのインタビューを受け、その経験を語っています。

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グラント君と母親へのインタビュー

その少年は、米国アリゾナ州ツーソン(Tucson)在住の14歳のグラント・トンプソン(Grant Thompson)君で、高校1年生です。彼は偶然にこのバグを発見したそうです。

「Appleが反応するまで9日かかりました。母はほぼ毎日、電子メール・電話・ファックスで連絡を取っていましたんですよ。」そして彼はジョークも忘れていません。「実はファックスって何なんだかよくわかってないんです。おそらく私より年上ですよね。

グラント君は、1月19日の土曜日に、大人気のゲームFortniteをプレイしていたときに、このバグを実際に発見したということです。

「(FaceTime画面で)上にスワイプして他の人を追加することができるので、私は相手の友人ディエゴ君を追加したんです。ディエゴ君がゲームをプレーしたかったかどうかを確かめたかったので」と彼は言いました。「しかし、私がディエゴを追加するとすぐに、なぜか相手のネイサン君がそれに答えたのです。

皮肉なことに、彼はXboxでFortniteを遊んでいて、ゲームを遊ぶための連絡にFaceTimeを使用していたのでした。グラント君の場合、Xboxでゲームの準備ができたので、友人のネイサン君をFaceTimeで呼び出して、一緒に遊ぼうと誘ったというわけなのです。

グラント君の母親、ミッシェル・トンプソン(Michele Thompson)さんは、ユーザーがこのようなことを報告するためには、「より良いプロセス」が必要だとインタビューで語っています。最終的には、ミッシェルさんはApple Developer(デベロッパ、開発者)としてAppleに登録し、バグ報告を提出しなければなりませんでした。

Appleは初動対応に失敗したことが浮き彫りに

インタビューの内容としては、これまで知られてきていたことをなぞっただけの他愛のないものともいえるかもしれませんが、ここでAppleが初動対応に失敗したということが浮き彫りになったといえます。

Appleはその情報が公開されてから数時間以内にバグを解決し(単にグループFaceTime機能を止めたまでですが)、来週のソフトウェアアップデートを約束したのは反応が早かったのですが、時既に遅し。テック系メディアの後一般メディアまでが騒ぐに至らないと行動に出なかったのは、やはりAppleは初動対応に大失敗したといえるでしょう。

もしグラント君や母のミッシェルさんがもう少し悪い人で、9日もAppleとしつこく連絡を取り続けるという献身的な努力をせず、ブラックハットなハッカーグループに先に連絡していたとしたら、、目も当てられない結果になっていたでしょう。Appleはグラント君とミッシェルさんの母子に感謝すべきなのです。

一部の規制当局がAppleの遅すぎる対応の調査に乗り出す

こんなAppleの失態に対して、一部の規制当局はより多くの情報を求めています。ニューヨーク州検事総長レティシア・ジェームズと知事アンドリュー・クオモは、今週初めに「この問題への対処・対応が遅い」と述べ、アップルについての調査を開始しています。

Appleは大企業病を患っている

Appleは、大企業病を患っているのかもしれません。殿様商売になってしまっていることで、カスタマーサポートがあまりに上から目線な上にユーザサイドに立っていない対応になっている可能性があります。もちろん、日々大量のいたずらの報告も受けているとみられ、対応も取捨選択をしているとは思いますが、14歳の少年が報告したことが全ていたずらとは限りません。狼少年ばかりというわけでもないからです。Appleの担当者は、少なくとも1回は再現するかどうかテストすべきでした。それで再現されなければ、いたずらか或いは個別の端末に特有のケースだと問題の切り分けができたはずです。

Appleは、サポートを更に強化する必要が出たといえます。正直、今までその対応はひどいものでした。

Appleのユーザのことを考えていない失策や遅すぎる対応の代償は高く付くかも

Appleはこれまでにも、勝手な性能低下プログラムの導入という失策もしています。iPhoneのバッテリーにある程度の性能劣化があると本体の性能を落とす、というプログラムをユーザに何の断りもなく、また周知することもなく、iOS 11の途中からこっそり導入したことで非難を浴びました(batterygate)。Appleはその機能をユーザが自分でオフにできるように修正したほか、旧機種に対してこれまでの価格よりは安価なバッテリー交換プログラムを提供しました。その結果、不満はなくなりますが、昨年第四四半期には大きな売上げダウンを招きます。Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは買い替え需要を掘り起こせなかった、大中華圏で失速したと理由を挙げていますが、そもそもバッテリー交換プログラムを提供しなければならなくなったのはAppleのユーザを裏切るような失策が原因でした。

Appleはこれらのまずい対応をすることによって、高いツケを払わされることになるかもしれません。そう、ブランド失墜という、高い代償を。。

記事は以上です。

(記事情報元:9to5MacMarketWatch

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