最近、Appleの今年秋に発売されるとみられる次世代iPhone【iPhone 7】から3.5mmのイヤホンジャックがなくなるという噂が流れ、噂ベースであるにもかかわらず海外の20万人のAppleファンやユーザが署名を集めてAppleに抗議をしているという。
しかしここ数年、Appleが何らかの接続コネクタやポート、ひいてはOSやソフトウェア上の機能を”削減”するたびに、ほとんど毎回同様の反応がある。例えばAppleがMacBook AirでCDドライブを取り去ったり、iPhoneがAdobe Flashをサポートしなかったり、12インチMacBookではUSB-Cポートとイヤホン以外の全てのポートをなくすなど、枚挙に暇がない。
しかし、それでもAppleは果断に”余分な”機能の削減を行ってきた。そして時代は逆にそれについてきており、Appleの判断によって逆に業界が発展してきたことも、時間がそれを証明しているのではないだろうか。
では、もしAppleが民主的で、全てのユーザのいうことを聞いて、全てのユーザが欲しがる機能を搭載したらどうだろう?もしユーザやファンが逆にAppleを支配し、iPhoneを作ったらどうなるだろう?
Geekcultureに掲載されているThe Joy of Techという漫画コーナーでは、冒頭で紹介した抗議行動を皮肉って、”ユーザが求める”全ての機能を搭載したと仮定した【iPhone 7】の画像が描かれている。
もちろんこれはジョークだが、さすがにすさまじいものになってしまっている。フロッピードライブやパンチカードリーダー、RCAジャックや8トラックプレイヤー、ラジオまで必要かどうかはさすがに疑問だが、確かにいわゆる”民意”に従ってものを作るとこんな感じになってしまうのだろう。
さて、これがAppleらしいプロダクトかどうかは、皆さんに判断していただきたいが。。こんなものが欲しいかどうかは、まあ私がいうまでもないだろう。なんとなく、民主主義が衆愚政治に陥ったなれの果てを見るようだ。スマートなものを作るにはやはり必要なものと必要でないものを判断するリーダーが必要なのだろう。
そしてもちろんこれには当然ながら「薄く軽く」や、「防水」などの要望は反映されていないような気がするが、バッテリーへのスペースは大きく割けるのでバッテリーの持ちは相当良さそうだが。。いらない。
かのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)も、「消費者が何が本当に欲しいかというのは消費者自身は実は気づいておらず、目の前に示されて初めて気づくのだ」としている。もちろん綿密なマーケティングと現在と近未来のテクノロジーに明るくないと判断できないことではあるし、実際にAppleはそのようにしてきた。何か新しいものを作ると何か古いものを捨てなければならない。その時に一部の人の反対や反感を買うのはある意味仕方がないことなのかもしれない。そうやって人類や科学技術は進化してきたのだから。
今回のイヤホンジャックの件で騒ぐ人は、かつてAppleのiPodやiTunesが音楽の売り方そのものも変えてしまったことを忘れたのだろうか。それに比べれば今回のイヤホンジャックがなくなる件は格段大きいことではない。Bluetoothタイプのイヤホンに切り換えれば済むことだからだ(なお、iPhone 7からはBluetoothタイプのイヤホンが同梱されるという情報もある)。
ちなみに私はとっくに以下のBeatsのBluetoothタイプのイヤホンに切り替えている。線を取り回さなくていい分、非常に楽になる。特に運動したりする際にはピッタリだ。電源の管理が一つ増えるのが面倒だが、そこまで頻繁に充電しなくてもいい。有線の音質に拘る人は、まずiPhoneで音楽を聴くこと自体を諦めた方がいい(もともとiPodやiPhoneに究極の音質を求めること自体が間違いだ)。
しかし上の画像を見ると、ちょっと前の日本のガラケーを思い出さないだろうか?
記事は以上。
(記事情報元:The Joy of Tech)