米国や日本では7月1日に既に始まっているApple Musicサービス。しかし海賊版問題を抱える中国では、そのサービスはまだ始まっていない。
中国政府の国家版権局が海賊版の取り締まりを強化
そんな中、中国国家版権局が数日前、全てのネットミュージックサービス企業に対し、版権のないデジタルミュージックコンテンツをネット上の配信をやめるように要求した。版権局は更に、今年8月より前に、全ての海賊版の音楽コンテンツをネット上から削除することも要求している。
中国国内の普通の消費者にとって、この通達は殆ど影響がないかもしれない。というのも中国国内のいくつかの主流の音楽プラットフォームは既に版権問題をクリアしているからだ(中国ではない海外の音楽について全て版権問題をクリアしているかどうかは不明だが)。
しかしAppleにとって、この中国国家版権局からの通告は正にいい知らせとなったかもしれない。そのおかげで、Apple Musicが中国市場に入れるかもしれないからだ。
Appleの音楽系サービスはこれまで中国市場でスタートすらできなかった
AppleのiTunesのダウンロードサービスやiTunes Matchのサービスは中国を除いた国では長らく流行してきたメジャーなサービスだ。
しかし今に至ってもAppleの音楽サービスは中国大陸に入り込めずにいる。いうまでもなく、中国国内での海賊版の横行が主な原因だ。ただここにきて国家版権局が海賊版音楽コンテンツの取り締まりに力を入れることで、iTunes MusicやApple Musicが中国大陸に入り込む絶好のチャンスになるかもしれない。
Apple Musicの中国市場での成功の鍵は”中国ローカル化”をやりきれるかどうか
ただ、過去数年の間、多くの海外のインターネットサービスが中国大陸市場で失敗を繰り返してきた。その原因は「中国ローカル化」ができなかったからだといわれている。もしApple Musicが中国大陸に入ってくるとしたら、その競争力はどれほどのものになるだろうか?
画蛇添足 One more thing…
私自身も日本のApple Musicサービスを使っているが、これがともかく楽で気持ちいい。For Youではなかなか気の利いたリストを紹介してくれるし、Beats 1のラジオもなかなか選曲がいい。最近のAppleのハードウェアには、Apple Watchを含めあまり感心していないのだが、このApple MusicはAppleにとっても近年まれに見るイノベーティブで革命的だといってもいいくらいのサービスかもしれない。そしてApple Musicのすごいところはそれらのレコメンドやリスト化を人力で行っていることだ。
Apple Musicが中国に入っていくには、中国大陸地区はもちろん、その周辺の香港・台湾・シンガポール・マレーシア等の全ての華人の中国語による音楽のレコメンドを人力・手動で作る必要があるだろう。中国にとってまだまだ人力・手動の労働力は強い分野だ。しかもQQ音楽や酷狗など先発のサービスもあり、それらが中国ローカル化の参考になる。Appleの金銭的・人的リソースをもってしてそれらの背景を利用することで、あっという間にApple Musicの中国大陸市場進出への準備が整うような気がする。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)