Apple Music独占配信のアーティストPVはなんとApple自身が制作!?

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Apple Music

Jimmy Iovine(元Beats CEO、現Apple)がWWDC 2015のステージで、イノベーティブな音楽サービスを始める他、全天候オールタイムでワールドワイドなラジオを作り、またファンとアーティストがインタラクティブに交流が可能になるプラットフォームを作ると発表した。しかもそれだけではなく、Apple Musicでは加入ユーザに大量の広告なしのPV(プロモーションビデオ)を提供することも発表したのを覚えているだろうか。

Apple MusicによるアーティストPVの独占配信開始、制作はApple内部制作チームによるもの

Apple Musicのサービスは7月1日に始まったが、海外メディアの9to5Macが Pitchfork の情報を引用した上で、一部のPVがApple Musicのみで独占配信されており、しかもそれらがApple内部の制作チームによって制作されたことを報じている。

噂では、Apple自身が制作したPVはPharrell William(ファレル・ウィリアム)の《Freedom》Drake(ドレイク)の《Energy》、そしてEminem(エミネム)《Phenomenal》といわれている。Youtubeでこれらを検索しても、3つのシングルのPVは検索できず、Apple Musicへの動画リンクが貼られている。つまりApple Musicに加入しないと見られないということになる。本日、Apple Musicでは更に独占的にM.I.A. 《Matahdatah Scroll 01 Broader Than a Border》を配信開始したが、これもPVはAppleによって制作されたといわれている。

Apple MusicはPVストリーミングの領域でYoutube(Google)に挑戦状

Apple Musicは正にPVの領域でもかなりメジャーなストリーミングサービスを占めていたYoutube(=運営会社のGoogle)に挑戦状をたたきつけたことになる。Apple Musicは最初の3ヶ月無料であるということ以外にも、独占配信のPVが見られるという長所も、多くのユーザがApple Musicに加入するきっかけとなるだろう。

そしてアーティストにとっても、Youtubeのような超大手のストリーミングメディアと収入を分け合うのは理想的ではない。もしApple Musicがアーティストに対してもっと分厚く、そして透明な収入をもたらすとしたら、これは音楽制作の面で大きなサポートとなるし、ミュージシャンのレーベルへの依存度もある程度減らすことも可能になり、Apple Musicプラットフォームへの好感度も増すだろう。以前、Appleのエディ・キュー(Eddie Cue)上級副社長がテイラー・スウィフトの3ヶ月間無料期間にアーティストに費用が払われないのはおかしいという抗議に対して、あっさりと支払うと方向転換し、Appleのミュージシャンに対する真剣な姿勢を見せた(ただ小龍個人としてはあれはメディアに注目してもらうための茶番だったのではないかと感じているが)。

今後はアーティストPVがテック業界巨頭達の戦場に、Facebookも参戦か

ストリーミングメディア内での音楽PV市場は巨頭達の戦場となるのは避けられない。Facebookもこの領域にどのように踏み込むか模索しているようで、レコード会社を通じて入り込もうとしているようだ。ニューヨーク・タイムズに、とある人物からFacebookがメジャーなレコード会社と最近商談に入ったというタレコミがあった。そのタレコミによると、FacebookはアーティストのPVをFacebookのタイムラインに流す可能性を探っているという。Facebookはレコード会社に、レーベルが厳選したPVをタイムラインに表示することで広告収入を分けよう、という提案をしたとのことだ。

 

画蛇添足 One more thing…

AppleがBeatsを買収したことで、音楽業界により深く入り込んでいくことは予想できていたが、PVの領域でまさか自分で制作して独占配信するとは思わなかった。Apple MusicはWindowsプラットフォームはiTunesソフトウェアを通じて利用可能で、更にAndroidアプリもリリースされている。全てのプラットフォーム上で、Apple Musicは音楽のあり方、聴き方、そしてPVの見方を変えようとしているのかもしれない。

音楽そのものは月たったの1,000円以下でユーザにとっては聴き放題になった。これまで1つのアルバムが千円以上で売られていて、iTunes Music Storeでも一曲150円だった音楽は、単価的にはほとんど価値がなくなるほど下がってしまったと言ってもいいかもしれない。しかしAppleはそこでPVに目をつけたわけだ。PVは非常に制作費がかかるもので、しかもアーティストにとっては自分で制作するのは大変なことだ(本職の音楽ではないわけだから)。そこをAppleが出す代わりに独占配信だよ、とする取引なのだろう。

Youtubeは音楽専用メディアではないし、FacebookはあくまでSNSで、レコード会社を通す必要があるため手続きも煩雑だし、アーティストの利益はそれほど大きくない。Appleはそれらに比べハードウェアもソフトウェアも持っており、Apple Musicサービス利用者も増え続けている。そのうえ、AppleはMacintoshの時代からレコーディングスタジオやプロのアーティスト御用達で音楽プロユースのイメージがあり、更に近年のiPod・iTunesの大ヒットで音楽業界との親和性も非常に高い。もちろん資金も潤沢にある上に、Jimmy Iovineのような世界的に有名で影響力を持つ敏腕プロデューサーも抱えている。YoutubeやFacebookより圧倒的に有利だろう。

Appleは既存のメジャーなレコード会社に代わる、巨大なレーベルになろうとしているのかもしれない。

記事は以上。

(記事情報元:iFanr

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