Appleが、中国の旧正月(春節、旧暦=農暦の新年)向けのギフト紹介ページを公開しています。そして、大中華圏の中でも中国大陸、香港、台湾ではそれぞれ違う文言になっています。
そのうち本命と思われる中国大陸版において、Appleは冒頭で、以下のような文言を書いています(拙訳では以下の通りです)。
団らん、それはプライスレスな心遣い。
この新春(春節のこと)では、団らんが最もいいプレゼントです。団らんの時間に更に美しいシーンを追加するために、そしてご家族の団らんがもっと温かいものになるように、友達との再会がもっと最大限に満足できるものになるように、これらは私たちがあなたに送る新年のプレゼントです。
ちなみに、台湾ではこちら。ほぼ同じような意味ですが、私たちからのプレゼント、というような言い方ではなくなっています。
香港では英語しかないようです。。
一番最後に新春特別版のBeats Solo3 Wirelessが登場
そしてもろもろの製品の紹介の最後に、Beats Solo3 Wirelessヘッドホンの旧正月スペシャルバージョンが紹介されています。シルバー+翼のデザインで、中国で新年によくありがちな赤+金という陳腐なデザインではなく、銀をメインにした洗煉されたデザインとなっています。中国大陸・香港・台湾でそれぞれ販売されています。また、それぞれに付随するキャッチコピーも異なっています。
この3つのバージョンの中で、キャッチコピーが最もよくできているのは台湾版でしょうね。韻と運、中国語ではどちらもyunと読むのですが、それをヘッドフォンの音=韻とかけていてナイスな感じですね。統一すればいいのに、とは思いますが、それぞれ担当が違うのでしょう。もちろん、大陸の中国語と香港の広東語、台湾の國語は言葉のニュアンスが微妙に異なり、キャッチコピーのニュアンスも異なってくるのです。しかしそれを差し引いても、今回は台湾の圧勝ですね。
さて肝心のこのBeats Solo3 Wireless特別版、コレクターな方はちょっと気になるのではないでしょうか。
その他に値引などはなく、単に製品紹介に留まる。果たして中国人のハートに響くのか?
しかし上記のBeats Solo3 Wireless新春スペシャルバージョン以外には、特に値引も何もなく、ページでは春節を祝う文言以外はほぼ単なる製品紹介に留まっています。中国人は非常に現実的なものの考え方をします。上記のヘッドフォンの買い替え需要がない人に、果たしてこれだけで響くでしょうか?
Appleは昨日、営業不振により異例の業績下方修正を行いました。その理由をティム・クック(Tim Cook)CEO自ら、主に大中華圏におけるiPhoneの売上げが下がったこと、買い替え需要が掘り起こせなかったことが原因とし、それが米中貿易戦争による中国の需要の冷え込みが影響しているとしました。正直、こんなAppleのこんな他人のせいにした言い訳は見苦しいと思います。そして大中華圏でこれから戦略を練り直さなければならない段階において、中華圏の春節(旧正月)というビッグイベントで、こんなページを作ったくらいで果たして中国人は購買に動くでしょうか?
私は難しいと思います。日本でさえ初売りセールを行い、ギフト券を出したくらいなので、中国でも一部の機種に限定してもいいので、思い切って同様のことを行った方がいいのではないかと思います。
ただ、Appleとしてはこれまで基本的に自らは値下げ販売はしてきませんでした。それによってブランド価値を築いてきたのです。今回業績が悪くなったことで値下げ販売に踏み切ると、これからは際限なく値下げをしていかなければならなくなります。そんなわけで、Appleはジレンマに陥っているのではないかと思います。
Appleはノキアの二の舞にならないように、どんな策を打つのか?
個人的にはApple製品、特に最近のiPhone XS/XS Maxは価格が高すぎ、iPhone XRも中流階級を惹きつけるほどの値段ではなかったたことが売れなかった原因なのは明らかです。しかしiPhoneは1年に1回のリリースなので、新機種で挽回しようにもチャンスはまだまだ先になってしまいます。その間の株価はどうやって保つのでしょう。
Appleはかつて携帯電話の覇者だったにもかかわらずその後凋落してしまったノキア(NOKIA)の二の舞にならないように、どんな策を打ってくるのでしょうか?少なくとも、今回の中国旧正月ギフトガイドは正直失敗なのではないかと思います。
記事は以上です。