AppleとSAMSUNG、停戦から1年。傷ついたのはどっち?

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AppleとSAMSUNGの長年の特許戦争は1年前に終了した。この和解が1年後に両社に与えた影響とは?以下に中国のメディアWeiPhoneがうまくまとめていた記事を日本語で紹介したい。

Apple-iPhone6_SAMSUNG-Galaxy-S6

ちょうど1年前の2014年8月、AppleとSAMSUNGは長い間戦ってきた特許闘争に、1枚の和解協議書によって突然終止符を打った。あれから1年、業界はその和解が双方に大きな影響を与えたと評価している。特にSAMSUNGにおいては、彼らのスマートフォン業務は過去1年間非常に大きな影響を受けたといっていいだろう。AppleとSAMSUNGは互いにライバル関係と認めているが、Appleと比べると、SAMSUNGの方がもっとライバルを必要としているようにみえる。

緊張関係の緩和

1年前のAppleとSAMSUNGの共同声明で、双方共に米国以外の全てのお互いを起訴しあっていた特許訴訟を取り下げることが宣言された。これによってオーストラリア、日本、韓国、ドイツ、オランダ、イギリス、フランスとイタリアの各国での裁判は全てなくなった。双方の和解協議書には特許の授受については含まれておらず、両社は引き続き米国での訴訟案件を続けていくこととなった。AppleとSAMSUNGのスマートフォン業務からすれば、昨年の和解はまるで1つの運命の分かれ道のようなものだった。双方は和解したものの、消費者はSAMSUNGのデバイスには既に全く興味を失っていたのである。

AppleのiPhoneは今でも世界で最も人気があるハイエンドなスマートフォンだが、それに対してSAMSUNGのスマートフォン業務はまるで坂道を転げ落ちるように不景気になっている。2014年、AppleがiPhone 6をリリースする数ヶ月前、消費者は少しずつSAMSUNGから離れていた。なぜならある程度Appleの動向に注目していた人なら、画面の大きいiPhone 6がリリースされることは必至だったからだ。消費者がまだ見ぬiPhone 6に期待し、iOS陣営に身を投じ始めると、SAMSUNGの収益には変化が現れ始めた。現在でもAndroidを捨ててiPhoneに移行するという現象はまだ続いており、特に中国市場でその傾向は顕著だ。

会計年度2015年第三四半期のAppleのiPhoneの販売台数は4,750万台となり、昨年同期比で35%も増加し、4年前の2倍以上となった。AppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)が≪ウォールストリート・ジャーナル≫の取材を受けたときに、「私たちとライバル達の距離はどんどん開いています」と語ったように、その四半期はAndroidからiOSに切り替えた人が最も多かったのだ。

顧客参加度、顧客満足度や営業収入などどんな指標においても、Appleは主要ライバルの数字を超える成績をたたき出していた。2014年の第四四半期のSAMSUNGの販売台数は7,300万台だったが、Appleは7,500万台だった。Canaccord Genuityが発表した数字によれば、2015年第一四半期にAppleは世界のスマートフォン営業収入の92%を手にしたが、SAMSUNGはたったの15%しか得られなかった

独自性の有無

SAMSUNGが成功できなかったのは、自社製品に独特の販売ポイント、つまり独自性を発掘できなかったからだ。会社全体の戦略が「アンチアップル」になってしまっていて、広告宣伝もApple製品やAppleファンを諷刺する内容ばかりで、自分がAndroidエコシステムの中にいて、数多くのライバルが24,093種類ものスマートフォンを作りだしてその地位を虎視眈々と狙っていることを忘れてしまったかのようだった。

Apple製品には独特なデザインがある。このことが、Appleにたった10種類ほどの製品だけでAndroidの1000万を超える大群と戦える力を与えている。これはまさに独自性こそが製品の販売戦略に最も重要だということを表している。AppleはSAMSUNGと国際市場で特許侵害について争わないという選択をしたが、同時にSAMSUNGはAppleに影響を与える機会を失ってしまったといえよう。

SAMSUNGの各地での敗退

国際マーケティング顧問機構のガートナー(Gartner)が今年公表した数字によると、世界のスマートフォン端末の販売台数は2014年の第四四半期に世界新記録を打ち出し、これは昨年同期比の29.9%増となる3億6,850万台となった。SAMSUNGは2014年第四四半期に世界スマートフォン市場でのトップの座を失い、Appleに取って代わられてしまった。SAMSUNGは2012年以来ずっと市場の覇者だったにもかかわらずだ。

2014年第四四半期、SAMSUNGのスマートフォン市場での成績はますますふるわず、市場シェアは10%以下に減ってしまった。SAMSUNGのスマートフォンの市場シェア率は2013年の第三四半期にピークに達し、その後市場シェア率はどんどん下がっている。この下降傾向はSAMSUNGの高利潤なハイエンドスマートフォン市場において巨大な競争圧力がかかったことを如実に示している。

ガートナーの研究総監Roberta Cozza氏は、「Appleはハイエンドスマートフォン市場において圧倒的な優勢を誇っており、更に中国のスマホメーカーが次々とハイスペックながら低価格なスマートフォンをリリースしていることから、SAMSUNGは自らの端末独自のアプリケーションやコンテンツ及びサービスからなる完全なエコシステムによってのみ、ハイエンド市場におけるブランド忠誠度の確保と長期的な差異化を図ることができなくなってしまった」と分析する。

AppleのiPhone 6がすさまじい成功を収めたのも、もうすぐiPhone 6sによって取って代わられるだろう。そしてAppleには新しいデバイスだけではなくそれに付随する各種サービスや周辺機器、例えばApple Music、Apple WatchとApple Payなどが揃っている。最近数週間、スマートフォン市場が少々低迷している現象は、Appleの新しいデバイスを迎えるための少なくとも数百万人にのぼる”アップグレードユーザ”がいることを暗示している。

年末からAndroidユーザにもAppleのサービスが及ぶことに

Appleは恐らく同じような計画で根本的にAndroidエコシステムとの競争のやり方を変えようとしている。今年の終わり頃、Appleのストリーミングミュージックサービス、Apple MusicがAndroidプラットフォームに登場する予定だ。またAppleは米国の公式サイトの人材募集ページで、Androidアプリ開発エンジニアの募集を始め、「興奮するようなモバイル製品をAndroidプラットフォームにもたらす」としている。

そして人材募集ページには更にストリーミング音楽サービスのApple MusicやiCloudのソフトウェアエンジニアを募集していることから、Apple Musicとシステム移行アプリ「Move to iOS」の2種類のアプリが、今後Androidプラットフォームに進出するのではないかとみられている。Appleのこれらの変化によって、ユーザはiOSとAndroidの両プラットフォームをもっと簡単に切り替えて行き来できるようになる。

2003年10月、AppleはWindows版iTunesをリリースし、2007年にはSafariのWindows版もリリースしていた(但し2012年に更新がストップしている)。今回AndroidユーザをAppleのエコシステムに取り込めるかどうかの鍵は、製品・コンテンツそのものがユーザによりよい体験をもたらすかにかかっている。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

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