先月末に公開されたマーケティング会社Gartnerの最新のレポートで、昨年1年間でのモバイル市場での半導体の供給と購買市場のまとめが公開された。2位はAppleだったが、1位は意外にもあの会社だった(とはいえ、5年連続で1〜2位は変わらないのだが)。
ということで、特筆すべきは、サムスン(SAMSUNG)とAppleの2大トップメーカーが5年連続で1位と2位に入ったこと、そしてこの2社で世界の半導体業務の17.7%を占め、その価値は590億ドル(約6兆8928億円)にも及ぶということだ。
Appleの半導体チップの購買の大部分はiPhoneとiPadとMacに使われる。また昨年のAppleのチップの発注のうち、多くはSAMSUNGがOEMをしているA9チップだった。Appleの購買傾向としてはチップのバラ買いが多く、なぜならそれぞれの部品を複数社から購買して競争させることによって、よりよい部品購買単価をキープできるという目的があるからだ。
ガートナー・ジャパン(Gartner Japan)の山地正恒氏(リサーチ部門 テクノロジ& サービス・プロバイダー 半導体/エレクトロニクス・グループ 主席アナリスト)によると、AppleはiOSモバイルデバイスやMacのためのチップを大量購買して在庫にするようなことはしないという。なぜなら、Appleは基本的により多くの金銭リソースをチップの研究や開発に使いたいと考えているからだ。そんなわけで、マーケットの追随者は、少量の投資で研究開発をするだけで、イノベーティブな製品のコピーを作ることができるというわけだ。他にも、製品の代替わりが加速されていることで、すぐにチップを切り替えるメーカーはその購買量を減少させる傾向にあり、半導体市場全体としては世界的に1.9%の縮小となっている。しかしAppleとファーウェイ(HUAWEI)のチップ発注数量は増加しており、Appleの成長率は7.1%、ファーウェイの成長率は16.2%となった。
Gartnerのレポートでは更に、2015年の世界で3位のチップ購買数となっているのはレノボ(Lenovo)だったとのことで、デル(Dell)を抜いて昨年の4位から順位を1つあげている。なお、PCメーカーとしてはデルとhpがそれぞれ4位と5位を占めている。なお、他にもファーウェイ、ソニー、HPE、LG、シスコ(Cisco)等が名を連ねており、2015年の世界10大半導体チップ購買企業は合計で1230億ドル(約14兆3698億円)を支払ったことになる。
※ちなみにhpはコンシューマー向け(hp Inc.)と企業=エンタープライズ向け(Hewlett Packard Enterprise)で昨年から会社が分かれており、もしこの2社を同じhpとみなせば、レノボを超えて3位に踊り出ることになる。
世界10大半導体チップの購買金額のうち、Appleとサムスンの2社だけでほぼ半分を占めていることになる。やはり寡占が起こりやすい業界なのだろう。なお、サムスンは昨年比-3.6%とマイナス成長で、Appleがこのまま成長を続け、サムスンが続落すると、今年はAppleとサムスンは順位が逆転するかもしれない。
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(記事情報元:Gartner)