分解で判明、iPhone SEは部品在庫処理やサプライチェーン管理のための製品?

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AppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)はサプライチェーンマネジメントのプロ中のプロだ。クックがAppleで18年間仕事したその経歴が、彼のその方面の仕事の実力を証明している。ウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の伝記本では、クックはAppleに入社した頃、Appleのコンピュータの製造にかかる時間を4ヶ月から2ヶ月に短縮したという。

このことが、今日【iPhone SE】に我々が思いもよらなかった部品が採用され搭載される原因になっていることをご存じだろうか。

Apple_iPhoneSE_teardown

先週、4インチiPhoneの【iPhone SE】が正式にリリースされ、そして発売後あっという間に分解され、テック系のニュースメディアでもその中身の情報が駆け巡った。そして分解の過程で、iPhone SEの殆どの部品がiPhone 5sやiPhone 6sと似た部品や同じ部品が流用されていることが判明した。例えばiPhone 6sのA9チップ、NFCチップ、LTEモデムなどだ。そしてiPhone 5sの液晶パネル、そして液晶パネルコントローラはクアルコム(Qualcomm)とテキサス・インスツルメンツでこれもiPhone 5sと同じだ。

02-Apple-iPhone-SE-Teardown-Chipworks-Analysis-Internal-back-PCB-hero

しかしいくつかの部品の中は既に相当”時代遅れ”になっているものもある。つまりこれらの部品は過去のiPhoneと全く同じだが、市場での寿命も長い製品ということになろう。Chipworksの分解によってもたらされた情報によれば、iPhone SEの中でいくつかの部品はAppleの在庫として8〜11ヶ月入っていたのもあるという。A9チップは去年8〜9月、メモリは去年12月のものなので、Chipworksは全てのチップセットは今年1月には組み上がっていただろうと推測している。

Chipworksはチップ上に刻印されている日付コードから、それぞれのチップのテスト時間がわかるという。Chipworksの技術競争情報担当ジム・モリソン(Jim Morrison、自殺したあのドアーズのヴォーカルではない。。)副社長は最近取材を受けた時に、彼らは1年以上の時間をかけて分解してきた結果、2010年のiPhone 4の登場以来、Appleはとあるやり方を貫いているという。それは、チップのテスト、梱包、iPhoneへの組み入れから消費者の手に渡るまでの時間を8〜9週間にコントロールしていることだという。

Apple-iPhone-SE

AppleのCOOからCEOになったティム・クックは、冒頭に書いたとおりAppleのサプライチェーンマネジメントのプロで、彼がApple製品の製造スピードを更に速くした。そして新しいテクノロジーが自社製品のデバイスにいち早く採用され、それによってApple社内全体が高効率で運営されているのだ。そんなクックは”在庫は根本的に悪だといえる”と言い切っているほどなのだが、今回何が変わったのだろうか。

「私から見れば、ハードウェアのリサイクルのように見えます。しかし私が更に知りたいのは、iPhone 6sの販売台数が予測よりも低かったかどうかです」とモリソン副社長は言う。「在庫を1ヶ月から2ヶ月短縮できるのであれば、それはクックがそれによって誇りを感じるほどの出来事です。しかしもしチップが去年のものであれば、在庫の増加速度が速まります。これ(iPhone SEのリリース)も、在庫を新発売のデバイスに入れ込むという一種の処理方式なのです」

ご存じの通り、【iPhone SE】はこれまでのiPhoneのアップデートとは異なったものだった。しかし【iPhone SE】はある意味成功した製品といえるだろう。なぜならiPhone SEは4インチスマートフォンで最高の性能を引き出し、そして更に素晴らしく突出したコストパフォーマンスを実現したのだから(しかしあの安さを実現したことは、次のiPhoneからAppleに対するプレッシャーになりそうだ)。

そして特筆すべきは、【iPhone SE】には実はこれまでのiPhoneには見られなかった部品も搭載されているということだ。それらは以下の通りだ。

  • Skyworks SKY77611 PAM(パワーアンプモジュール)
  • テキサス・インスツルメンツ 338S00170 電源管理集積回路モジュール
  • 東芝(TOSHIBA) THGBX5G7D2KLDXG NANDフラッシュ
  • EPCOS D5255 アンテナ切り替えモジュール
  • AAC Technologies 0DALM1 マイク

等々。ということで完全に在庫をさばくための製品というわけでもなさそうだ。一説ではiPhoneの販売時期を2回に分けることで株価の上昇を年に2回に分け、またサプライチェーンマネジメントへの負担も年2回にして年1回よりはインパクトを減らす目的もあるという。

しかしシャーシも含め外観があまりにもiPhone 5sに酷似しているため、新製品としてのインパクトは弱すぎる。実際にどのくらいの台数が売れたのか、気になるところではある。

記事は以上。

(記事情報元:ChipworksWeiPhone

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