EV業界の先駆者で業界のトップでもあるテスラのイーロン・マスク(Elon Musk)CEOもかつて、Appleが自動車を作ろうとしているのは既に”公然の秘密”としていた。これまで様々な自動車業界からの重要人物のヘッドハンティングを繰り返してきたAppleに対して、自動車の開発をしていることに疑問を挟む余地はないというのがこれまでの見解だった。
“Project Titan”に関する評論
しかし、実態はそれほど単純なものではないようだ。現在業界ではAppleの新型iPhone【iPhone 7】の売れ行きについて騒がれている中、AppleのEV開発のためとされていた極秘プロジェクト”Project Titan”に関する評論がまた登場したのだ。その評論家の名前はTim Bajarin。PC Magazineに寄稿している。
Creative StrategiesのCEOとして、Bajarin氏の発言はテック業界でも影響力を持つ。今回の寄稿で、Bajarin氏はAppleの”Project Titan”は自動車の製造とは一切関係がないという見解を示している。そしてその本当の目的は、自動車市場に用いられるスマート車載システムなのだという。
“Project Titan”は、元Apple ボブ・マンスフィールドSVPのもとで再構築か
これまで多くのメディアでProject Titanのスタッフのリストラ情報が流れていた。そして業界の中では、既にProject Titanは名前だけ残っていて実態はほぼないとされ、Appleは既にこのプロジェクトを諦めているという見方さえあった。しかしBajarinの見解は違うようだ。
「AppleがProject Titanを諦めるという言い方はとてもおかしい。もしAppleがこのプロジェクトを本当に中止していたとしたら、もうほぼ引退されていたとされているボブ・マンスフィールド(Bob Mansfield)を呼び戻して管理させたのだ?彼はもともとハードウェアエンジニアリング部門のトップでSVP(シニア・ヴァイス・プレジデント、上級副社長)だった。逆に、私はマンスフィールドが管理者に復帰したのは、Project Titanのスタッフの質を絞りこんだからではないかとみている。だからこそ、不幸なリストラ事件が発生したのではないか」
“Project Titan”は、もともと自動車開発ではなくソフトウェア開発のためだった?
Project Titanのチーム結成のため、Appleはかなり早い段階から自動車分野に関わる多くの技術的な人材を集めてきた。しかしBajarin氏はAppleの目的は”自動車”そのものではなく、メディアがずっとミスリードをしていると指摘する。彼は「Appleが伝統的な自動車メーカーにプレッシャーをかけることなど殆どあり得ない。私はAppleはこの自動車市場を最大のチャンスととらえ、市場に出ている自動車のためにソフトウェアのシステムを作るだろうと考えている」
Project TitanがCarPlayの延長線上にあるのではないかという論調は以前からあり、当ブログでも紹介していたが、ここまで踏み込んだ権威の評論文は初めてかもしれない。
AppleはAIの分野に入り、自動運転システムなどを開発するのだろうか?今後の動きに注目したい。
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(記事情報元:PC Magazine)