フォックスコン、アメリカでApple等主要顧客と共に約8000億円規模のディスプレイ工場を新設か

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ホンハイ(Hon Hai、鴻海)グループのトップ、テリー・ゴウ(郭台銘)はかつて、その傘下のフォックスコン(Foxconn、富士康)の工場は中国からは撤退せず、引き続き中国を中心に事業を発展させていくと語っていた。しかしその時、テリー・ゴウ氏は他国や他地域で工場を建設するという噂について明確に否定もしなかった。

ホンハイのテリー・ゴウ氏、アメリカで新しい生産ラインを立ち上げることを表明

そして台湾のメディアによると、テリー・ゴウ氏は先日、今年の旧正月前の記者会見の際にアメリカで新しい生産ラインを作るつもりであることを明らかにしたが、全ては就任したばかりのアメリカのトランプ大統領による今後の政策の変化がいかに変化するかによる、と語ったことを伝えている。

Guo-TaiMing_HonHai_Foxconn

アメリカ新工場はiPhoneの組立工場ではない

なお、今回テリー・ゴウ氏が言及した新たにアメリカで作る生産ラインは、iPhoneの組立工場ではなく、ディスプレイ加工ラインのことだ。日本のソフトバンクグループのトップ、孫正義氏が昨年12月にとある文書の中で、フォックスコンがソフトバンクと共にアメリカに500億ドル(約5兆6,800億円)を投資することを暴露してしまったことがあった。今回の記者会見で、テリー・ゴウ氏は孫正義氏の文書の内容を事実として認めたことになる。ただ、ゴウ氏本人はフォックスコンはまだ最終的な決定をしたわけではなく、全ては評価見積の結果による、としている。

 

シャープのコア技術を活かした工場に、今後Appleのディスプレイも製造か

フォックスコンは昨年、日本のディスプレイメーカーのシャープ(SHARP)の買収を完了した。このシャープの技術が、同社がアメリカに工場を建設する時の基礎となるのは間違いない。テリー・ゴウ氏は、現在シャープは核心となるテクノロジーを握っており、また同社はガラスメーカーのコーニング社(ゴリラガラスで世界的に有名、iPhoneにも用いられている)とも提携関係を結んでいることを指摘している。またAppleを含む主要顧客も、ディスプレイに対する需要が非常に大きいことから、フォックスコンと共にアメリカの工場に投資することに前向きであるとも語っている。となれば、今後AppleのiPhoneやiPad等のディスプレイパネルもフォックスコンが内製化していく可能性もある。

 

アメリカ新工場の規模は約8,000億円、雇用も最大5万人生み出すかも

もしフォックスコンが最終的にアメリカにディスプレイ加工工場を作るとしたら、その規模は70億ドル(約8,000億円)を超えるだろうといわれていて、かなりの自動化を進めるとはいえアメリカに新たに30,000〜50,000人の雇用を生み出すとも見積もられている。

 

iPhoneの組立工場のアメリカ移転については不明

なお、iPhoneの組立加工工場をアメリカに移転するかどうかについては、テリー・ゴウ氏は記者会見では言及しなかった。

 

画蛇添足 One more thing…

ゴウ氏はiPhoneの組立工場をアメリカに移転するかについては言及しなかったが、ディスプレイ工場の規模が70億ドルということは金額だけを見てみると、ソフトバンクの孫正義氏の文書で暴露された投資規模500億ドルと比べるとかなり小さいということになる。恐らくもっと大きな規模、或いはもっと多くのジャンルの工場をアメリカに移転する計画があるのだろう。

ただ、iPhoneの組立をアメリカに移転するのは当然ながら中国で製造するよりコストの向上に繋がる。その上iPhoneは殆どの部品をアジアのサプライヤーから調達しており、組立工場を遠いアメリカに移してしまえばその品質管理がやりにくくなる上に、輸送コストも上昇するだろう。そもそも資本主義経済の基本から見ても、家賃や人件費の高い最先進国アメリカでモノを生産するのは賢いやり方ではない。ただでさえ単価が高いiPhoneが、これ以上単価があがることはAppleにとってもいいことではないと思われるのだが。。

もちろん、上記のテリー・ゴウ氏のインタビューで語った内容は最終決定ではなく、全ては評価見積の結果次第とされていることから、とりあえず今回はゴウ氏による新任のトランプ大統領に対する何らかのリップサービスであった可能性もある。政治家と経済界のトップ同士で裏で何らかの取引が行われているのか、それは不明だが、そのしわ寄せを消費者が被ることになるのは避けていただきたいところ。

記事は以上。

(記事情報元:9to5Mac

 

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