かのスティーブ・ジョブズをかつて不安にさせた”Amiga”のドキュメンタリーがiTunesに!

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

KickStarterによってクラウドファンディングで投資され撮影されたドキュメンタリー、『Viva Amiga』が今月頭に、iTunesにアップされた。このドキュメンタリーではかつて人気を誇ったAmigaパソコンの紆余曲折の歴史に焦点が当てられており、監督はZach Weddington。Amigaプロジェクトが1985年にいかに立ち上がったか、そして当時ゲームメーカーとなったこのプラットフォームの開発者がユーザにどんな興奮を与えたのか、その再現に成功している作品といえるだろう。

『Viva Amiga』について

Viva-Amiga_Title

このドキュメンタリームービーでは、当時Amigaプラットフォームを開発した重要なエンジニアと一部のAmigaの熱狂的ユーザ(一部のユーザは何と現在でもまだAmigaを使っている)へのインタビューを行っており、このプラットフォームがかつて数十年の間の浮き沈みを繰り返したその発展の歴史を記録している。

 

Amigaはかつて最先端のゲーム向けコンピュータだった

Amigaコンピュータは高解像度、強力なグラフィック性能、マルチメディアタスクが特徴で、特にゲームに特化して設計されていた。プロセッサはモトローラの680×0系のCPUを使用していた。初代からトゥルーカラーディスプレイを採用していたことも特徴で、独自のAmiga OSを搭載していた。1985年、Commodore Business Machinesで世の中に公開された後、Amigaは高解像度、迅速なユーザサポート、そしてゲームに特化したコンピュータの代名詞となった。

1984年にコモドール(Commodore)社に約3000万米ドルという価格で買収された後、Amigaコンピュータはシリコンバレーで一躍有名となった。なぜなら磨き上げられてきた描画能力と音響ハードウェアがライバルのコンピュータを超越していたからだった。

 

Macintoshより性能がよかったため、ジョブズも不安に

当時Amigaのブームはあのスティーブ・ジョブズさえも不安に陥らせた。なぜならAmigaは当時のMacintosh(マッキントッシュ)と同じCPUを使っていたにも関わらず、4,096色のフルカラーディスプレイを持ち、4チャンネルの立体音響を備え、マルチタスクのUIを先んじて採用していたため、MacintoshはAmigaに比べると明らかに劣っていたからだ。

当時コンピュータ博物館が行っていたイベントで、Amigaへ投資していた投資家のBill Hartが、ジョブズがかつてAmigaに興味を持っていて、また映像によるプレゼンも見たことを明らかにしている。そしてその映像に映っていたものがAmiga 1000となった。Appleは当時買収する意図はなかったわけではないが、ジョブズは真剣にその提案について考えなかった。ジョブズはAmigaのハードウェア特製は好きだったが、そのデバイス上の各種拡張ポートの配置が、彼自身が考えていたクローズドなフレーム構造のシステム理念とは相反するものだったからだ。

 

1990年以降は失速し、1994年に会社が倒産して商業的には終了

その後もAmigaプラットフォームは悪くない業績を残した。例えば1987年にリリースされたAmiga 500ホームコンピュータは欧米で爆発的にヒット。しかしコモドール社はAmiga開発陣が研究開発したコンピュータの真の価値を理解することができなかったため市場での営業もそれほど行われず、創業初期のイノベーションも重視されなかった。その結果1990年以降Amigaはその他のゲーム機やIBMなどのPC/AT互換機、そしてAppleのMacintoshよりも性能が劣るようになって市場を奪われ、更にコモドール社自身のマーケティングや他事業の失敗もあり、同社は1994年に破産宣告。商業的にはAmigaの歴史はそこで終わっている。

 

『Viva Amiga』のトレーラームービーはこちら

冒頭で紹介した『Viva Amiga』のトレーラーはこちらで見ることができる。

『Viva Amiga』は9.99ドルでこちらからiTunesでダウンロードすることができる。ただし、日本のiTunes Storeでは買うことはできないので要注意だ。

 

画蛇添足 One more thing…

現在でもかつてのAmigaをWindows機やMacで動かすエミュレータは存在し、それらで遊んでいるレトロファンは少なからずいる。いずれにせよ、AmigaやAtariは当時は双璧だったが、性能的にMacintoshやPC/AT互換機や、当時のSEGA MEGA DRIVEなどに劣るようになってくると一気に人気が衰えた。しかもAmigaは欧米市場、特にヨーロッパ市場のドイツとイギリスでしか売れていなかったこともマーケティングの失敗を生んだ。

生き馬の目を抜き日進月歩のコンピュータやゲームハードウェア業界で生き残るのは難しい、ということなのだろう。。

ちなみに日本で放送されていたあの「ウゴウゴルーガ」は実はAmigaで作られていたって知ってた?

記事は以上。

(記事情報元:MacRumors

Visited 110 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人