Appleの新型iPhoneは正式リリースされる前に数ヶ月、またはそれ以上の時間をかけて構想・設計・デザインされ、そしてテストを経てテスト生産、量産という手順を踏んでいくのだが、それはつまり、iPhoneのプロトタイプ(テスト機、デモ機とも呼ばれる)が何段階にも分けられてカリフォルニア州サンフランシスコ、クパチーノにあるAppleの本部と、iPhone生産基地である中国との間でやりとりされている、ということを意味するのだ。
開発中のiPhoneの”プロトタイプ”のやりとりが漏洩の原因に
そんな頻繁なやりとりがあるため、どれかはやはり漏れてしまう。Appleがいくら秘密主義を貫き、箝口令を敷いて様々な秘密漏洩対策を練ったとしても。そして、これまで漏れてきたiPhoneのリーク情報はこういったところから漏れてしまうのだ。
あのSonny Dickson氏が今度はプロトタイプの”プロテクター”ケース写真をリーク
さて今回リークされたのは、MacRumors経由での紹介で、あのお騒がせリーク男Sonny Dickson氏が数日前に公開したiPhoneのプロトタイプを運送する際の保護用に特別に作られた”プロテクター”の画像だ。写真を見る限りものすごくがっちり保護できるようになっているようだ。
この画像を見る限り、この”プロテクター”ではiPhoneのプロトタイプのディスプレイとカメラ以外はほぼ全部覆われるようになっていて、側面には”Security”と書かれた黄色いテープで封がされており、他の人が中身を開けられないようになっている。
iPhoneプロトタイプの”プロテクター”には、”パスポート”がついている
Sonny Dickson氏によれば、このプロテクターには更に文字通り”パスポート”がくっついており、そこで品質保証(QA)と品質管理(QC)のテストが行われて、合格したものだけが文字通り”パス”できるのだという。
Dickson氏によれば、この”パスポート”上のテストは内部関係者によってのみ行われ、そしてテストが終わると該当の項目のところに実行者の苗字の一文字目を記入するといい、そしてテストをクリアしたかしていないかについても記録するという。そしてテスト段階が終了すると、iPhoneのプロトタイプは中国からAppleの本部に送られるのだという。
iPhoneプロトタイプの本体上にもQRコードが
またこの”プロテクター”を外した後、そのデバイス上には更にAppleが追跡可能なようにQRコードが入っている。そして「このデバイスは認証が得られるまでは販売したりリースされることはない」という注意書きも貼られている。
いくら秘密主義を貫いても、やはり完璧な漏洩防止は不可能
しかしこれらのAppleによる厳しい秘密保護対策も完全に新型iPhoneの情報の漏洩を防ぐことはできていない。
例えば、過去にはiPhone 7 Plusのデュアルレンズカメラの部品が2016年3月(販売半年前の段階)にはリークされてしまったこともあり、また2010年にはAppleのエンジニアがApple本部近くのバーにiPhone 4のプロトタイプを置き忘れてしまい、そのプロトタイプがWebメディアのGIZMODO(ギズモード)に買い取られ、外観を含むかなりの情報が漏洩してしまったことがあった。その後スティーブ・ジョブズが激怒してGIZMODOに苦情の電話をかけたエピソードもある(その後GIZMODOはペナルティとして最近までAppleのブラックリストに入り、Appleの新製品発表スペシャルイベントなどには呼ばれなかった)。
他にも、かつてAppleのSVP(シニア・ヴァイス・プレジデント、上級副社長)で、現在はNestが買収されたAlphabet(Google)にいるトニー・ファデル(Tony Fadell)氏が、初代iPhone(iPhone 2G)のプロトタイプをうっかり紛失して、スティーブ・ジョブズから怒られてクビにされることを恐れて必死に探し回ったエピソードもある。詳細は当ブログ記事参照。
画蛇添足 One more thing…
気になるQRコードの中身とは?
なお、上の写真には1枚目のプロテクターの裏、2枚目のPassportに2つ、そして3枚目のプロトタイプの背面に1つQRコードがあって、それを読み取ってみたらどうなるか気になるのではないだろうか?
私は気になったので読み取ってみた。。
しかし結果は、単に”YOU WISH!!!”と表示されるだけだった。
よく見ると、後者の3つともQRコードが同じになっている(1枚目の写真は解像度が低く、目視でも違いが読み取れないほか、QRコードリーダーでも読み取れなかった)。もしかしたら、その”YOU WISH!!!”が合い言葉で、それらが全部揃うということが重要なことなのかもしれない。
なお、Sonny Dickson氏がどのようにこのプロトタイプの画像、或いは現物を手に入れたかはよくわからないが、結局MacRumorsに情報を買い取ってもらったのだろう。中国深圳の世界最大の電子機器市場、華強北市場の私の友人達の談によれば、Dickson氏は彼らによく連絡してきて、金で買い取るから何か新しいネタはないか、と聞き回って煙たがられているらしい。。笑
記事は以上。
(記事情報元:MacRumors)