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米中貿易摩擦で、米国から槍玉に挙げられている中国の巨頭テック企業HUAWEI（ファーウェイ、華為技術）。最近のニュースで、Googleと米国の主要なチップメーカーが、HUAWEIが米国政府のブラックリストに入ったため、重要なソフトウェアとハードウェアコンポーネントのHUAWEIへの提供を停止していることが報道されました。事実、GoogleはHUAWEIとの間でハードウェア、ソフトウェア、および技術サービスの譲渡を必要とする業務を停止しています（オープンソースライセンスを介して公開されているものは除きます）。
それによって、HUAWEIは今後販売される機種のGoogleのAndroid OS、Google Play Store、Gmail、YoutubeなどのGoogleが作っていてライセンスが発生するアプリケーションのアップデートができなくなるということを意味します。これは、GoogleのスマートフォンやタブレットなどGoogleのアプリケーションを使用している中国大陸外の世界での販売に大きく影響します（中国国内はそもそもGoogle系サービスが通常は利用できないので影響は殆どないとみられています）。
そしてGoogleがAndroidを含むサービスをHUAWEIに対して一時停止したというニュースからわずか4日後に、HUAWEIが2つの新しい商標をEUで出願しました。HUAWEIがこの事態を予測し、抜かりなく準備してきた様子がうかがえます。
HUAWEIは、ヨーロッパで「HUAWEI ARK OS」および「HUAWEI ARK」という2つの商標を下記の部分で提示しました。ただ興味深いことに、これらの商標は香港ではまだ出願されていないことです。
HUAWEIは、以下のように同じ2つの国際商標分類に基づいて上記2つの商標を申請しました。
０９：コンパイラソフトウェア。電子機器用のオペレーティングシステム。
４２：電子機器用のコンパイラソフトウェアおよびオペレーティングシステムの設計および開発。コンパイラソフトウェアを搭載した携帯電話アプリケーションの設計と開発。コンパイラソフトウェアを特徴とするサービスとしてのソフトウェア（Saas）。
SCMP（South China Morning Post）によると、HUAWEIは実は3月の時点で既に米国との緊張の高まりによりGoogleのAndroid使用制限があることを予測し、独自OSの構築をしていることが、HUAWEIのモバイル担当チーフRichard Yu Chengdong氏によって語られています。「私たちは独自のオペレーティングシステムを用意しています。結果的にAndroidのシステムを使用できなくなったら、代替の”B計画”の準備は整っています」
HUAWEIは、米国との貿易戦争によって強制された場合にのみ、新しいOSを使用すると発表していました。そしてその日は、恐らく彼らが望んでいたよりも明らかに現実的に近づいているといえるでしょう。
ここからは私個人の見解となりますが、今回の米国の行動は、かつて日本がバッシングされていたときの日本の自動車メーカー締め出しなどの措置と全く同じだと捉えています。HUAWEIは特に5Gの分野において突出した技術を持っており、それが米国内部の企業の派遣を脅かしたため、排除の動きになっているのでしょう。
各国の政府はそれぞれの国の内部の企業を守るために（もちろんそれは国内企業のロビー活動や選挙への影響を考えてのことです）、様々な施策を行うのは当然ではありますが、米国が中国と真正面から覇権争いをすることは当事者の米国と中国両国にとってそして何より世界経済にとってもいいことではないと思います。基本的に自由貿易こそが世界の経済を発展させるという理念のもとにWTOが存在するのですが、今や米国自らが自由貿易の仕組みを否定し高い関税を課したことから、かつて米国など西欧諸国が中国に参加を強制的に迫ったはずのWTOの存在は形骸化してしまっています。もしこの勢いが進むと今後は米国は石油、中国はレアアースという資源による覇権争いに発展しそうな勢いですが、本格的にそうなったらかつての太平洋戦争の米国と日本の構図になってしまい、のっぴきならないところまでいく気がします。米国と中国はどこかで妥協点を見つけなければならないと思います。
個人的にはHUAWEIは好きな会社です。当ブログでも採り上げましたが、もしかしたらGoogle Android OSを搭載した最後のHUAWEI端末となるかもしれないP30 Proを買っています。この機種のカメラの性能はスマートフォンとしては間違いなく世界最高で、しかもAppleのiPhoneの3分の2か半分くらいの売価で販売されています。HUAWEIの技術は尊敬に値すると思います。それを潰そうとするのは、人類全体にとっても大きな損失になるのではないでしょうか。
記事は以上です。
（記事情報元：Patently Apple）