【クックは月1回】Apple新CEOターナス氏はデザインスタジオに週数回、デザインの最終決定者も兼任か

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Appleの新CEO【ジョン・ターナス】氏が、就任から約1か月でデザイン部門に深く入り込んでいるようです。BloombergのMark Gurman(マーク・ガーマン)氏によると、ターナスCEOは週に数回、多い日は1日に何度もデザインスタジオを訪れているということです。ティム・クック前CEOは多くても月に1回、約1時間だったとのことで、トップのデザインに対する考えが大きく変わったことになります。

Apple(ジョン・ターナスCEOのデザイン・経営体制)

週数回のスタジオ訪問、クック前CEOは多くて月1回

MacRumorsが伝えるマーク・ガーマン氏のニュースレター「Power On」(元のBloomberg記事)によると、ターナスCEOは先月の就任以来、製品デザインを「大きな優先事項」に据えているということです。ハードウェアエンジニアリングの責任者だった頃から、ターナス氏はデザインスタジオと関わっていました。CEO就任後は、製品の外観を作るインダストリアルデザインと、画面の見た目や操作を作るヒューマンインターフェイスの両チームに「没頭している」と伝えられています。

ターナスCEOの「週数回」を仮に週3回とすると月に約13回で、多くても月1回だったクック前CEOの10倍を超えることになります。しかもクック前CEOは1回あたり約1時間だったのに対し、ターナスCEOはスタジオで実際に手を動かして作業に加わっているとのことです。報告を受ける立場から、現場で一緒に決める立場に変わったといえるでしょう。

財務とサプライチェーンは任せ、製品に集中

ガーマン氏によると、ターナスCEOは財務を最高財務責任者(CFO)のケヴァン・パレク氏に、サプライチェーンを最高執行責任者(COO)のサビ・カーン氏にほぼ任せ、自分の時間をエンジニアリングとデザインに振り向けているということです。サプライチェーンの専門家として知られるクック前CEOとは、時間の使い方が正反対ですね。

クック前CEOが自ら見ていたサプライチェーンの中心は中国です。そのクック氏は取締役会のExecutive Chairに移り、当ブログでもお伝えした通り、職務には中国政府との関係が明記されています。中国の製造と調達はカーンCOO、中国政府との関係はクック氏、製品はターナスCEOという分担が見えてきました。

最高デザイン責任者は置かず、ターナスCEOが最終決定

9to5Macが同じ報道から伝えたところでは、Appleはジョニー・アイブ氏の後任にあたる最高デザイン責任者を探していないということです。インダストリアルデザインはモリー・アンダーソン氏、ヒューマンインターフェイスはスティーブ・ルメイ氏がそれぞれ率い、デザイン全体の最終的な決定はターナスCEO自身が下す形になっているようです。ジェフ・ウィリアムズ前COOの退任時、Appleはデザインチームがクック氏の直属になると発表していましたが、実際に見ていたのはターナス氏だったとも伝えられています。

アンダーソン氏とルメイ氏の扱いはApple公式サイトでも確かめられます。Appleの役員紹介ページには現在、アンダーソン氏が「Vice President Industrial Design」、ルメイ氏が「Vice President Human Interface Design」として載っています。当ブログでもお伝えした通り、役員紹介ページは9月1日のCEO就任初日に書き換わり、先頭がターナスCEOになりました。保存版のページと突き合わせたところ、アンダーソン氏とルメイ氏は2026年3月1日時点では載っておらず、8月15日時点では既に載っていました。CEO交代の前から、デザインの責任者を会社の顔として見せる準備が進んでいたわけです。

デザインチームの立て直しも課題です。9to5Macによると、ヒューマンインターフェイスを率いていたアラン・ダイ氏がMetaへ移り、OpenAIにも多くの社員が引き抜かれたため、Appleは若手デザイナーの昇格と外部からの採用で人員を補っているということです。

小龍的にはこう思った

Appleのデザインを誰が決めるかは、時代ごとにはっきり違います。スティーブ・ジョブズ氏の時代は、ジョブズ氏本人が「アイブは自分を除けば社内の誰よりも実行上の力を持っている」と語ったほど、デザイン部門が製品の方向を上から決めていました。クック氏の時代は、ガーマン氏の6月の記事によると、アイブ氏の退社と人材流出でデザイン部門の発言力が弱まり、財務と運営の部門が製品の方向に口を出す場面が増えたということです。そして今回、設計の現場を知るエンジニア出身のCEOが、自分でデザインの最終決定を下す形になりました。

小龍的には、エンジニア出身のCEOがデザインを決める形の利点は決定の速さだと考えます。これまでは、デザインチームが出した案を、作れるかどうかエンジニアリング側が検討し、費用が合うかどうか運営側が検討していました。ターナスCEOはハードウェアの設計を長年率いてきた人ですから、スタジオでデザイン案を見たその場で、作れるかどうかまで判断できます。当ブログでもお伝えした通り、Appleは春と秋の年2回の発表サイクルをやめて製品を随時投入する方針で、中間管理職も減らすと報じられています。調整役を減らすなら、誰かがその場で決めなければ開発は止まります。デザインについては、その役をCEO本人が引き受けたということでしょう。

一方で気になる点もあります。9to5Macも指摘している通り、ターナスCEOはデザイン畑の出身ではありません。作れるかどうかを一番よく知る人が見た目も決めるとなると、作りやすい方向に寄っていく可能性があります。アイブ氏の時代はデザインが先にあり、エンジニアがそれを形にするのに苦労するという順番でした。エンジニアの判断が先に立つAppleから、あの頃のような驚きのある製品が出てくるのかは、デザインを率いるアンダーソン氏とルメイ氏がターナスCEOにどこまで強く提案できるかにかかっています。

ターナス氏はCEO就任前、ガーマン氏の6月の記事の中で「多くのお客様が持っている物の中で最も美しくデザインされた物はApple製品です。これからもそうであり続けるようにします」と語っています。ハードウェアの開発には年単位の時間がかかるので、ターナスCEOがスタジオで決めたことが製品として店頭に並ぶのは、まだ先の話ですね。日本で私たちが手に取る製品は世界共通のデザインですから、数年後のiPhoneやMacの外観と操作画面が良くなったか悪くなったかは、そのままターナスCEO本人の判断の結果として評価されていくことになるでしょう。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors、9to5Mac)

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