3.5mmのイヤホンジャックがiPhoneを薄くするための障害になる、いずれはLightningも?

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

iPhone6_earphone_jack

AppleはなぜBeatsのイヤホンに興味を持ち、今年5月に32億米ドル(約3,800億円)もの巨額な投資でBeatsを買収したのだろうか?Appleはなぜそこまでしてスピーカーやイヤホンの業界に入り込みたかったのだろうか?

AppleがBeatsを買収すると宣言した時に、Appleの上級副社長(シニアヴァイスプレジデント)達の説明は人々を納得させるものではなかった。そして同社の現在までの動きを見る限り、その謎はまだ解明されていない。

2012年、AppleがRetinaディスプレイを搭載したMacBook Proをリリースしたが、AppleはこのデバイスからEthernetケーブルのジャックとFirewire800、そしてSuperDrive(光ディスクドライブ)を取り去った。それはこれらの差込口の厚さが、Appleがこのデバイスを薄く軽くするための障害になったからだ。Appleはこれらのコネクタ類を全部切り捨てた上で、Intel(インテル)と協力して全く新しいコネクタThunderboltを開発し、これらに置き換えた。

携帯電話やスマートフォンが盛んになっている昨今、スマホメーカーはますます薄く、軽い製品を作りたいと考えるようになっている。しかしほとんどのスマートフォンが既にかなり局限まで薄く・軽くを実現している中で、何がその障害となっているのだろう?1つはバッテリー駆動時間との折り合いもあると思われるが、実はその物理的な障壁はイヤホンジャックだといわれている。デバイスがどれだけ薄くなっても、携帯音楽プレイヤーとしての需要が高いスマートフォンには直径3.5mmのイヤホンジャックはつけなければならないからだ。2007年、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)によって初代iPhone(iPhone 2G)がリリース発表された時、Mobile Phone(携帯電話)+iPod(Portable Music Player)+Internet Communicatorの3つのデバイスの統合としてスマートフォンが改めて定義づけられた。その三大機能の1つにiPodがあるため、音楽機能を外すわけにいかないのは明白だ。もちろんAppleはiTunes Music Storeで音源を売っていて、その音源ビジネスも同社の大きな収入源になっていることも忘れてはならない。

今週、中国のメーカーVivoが世界で最も薄いスマートフォンをリリースした。その厚さはわずか4.75mmしかない。このデバイスは、標準のイヤホンジャックを使用することができないことをみれば、イヤホンジャックが障害となっていることは明らかだ。ちなみに従来のイヤホンジャックを使用できるApple iPhone6の厚さは6.9mmだ。それでも薄すぎて曲がるという疑惑が発生したくらいだ。

もしAppleが次世代iPhone(iPhone6s?iPhone7?)でこの薄さの壁を突破しようとするのであれば、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの時に様々なコネクタを取り払ったように、イヤホンジャックを取り去る必要がある。しかしそれと同時に、Thunderboltのような何らかの代替の方法を提案しなければならない。

そこで冒頭のBeatsを買収した理由が浮かび上がってくる。AppleはBeatsと協力することで、Beatsのブランド力を使ってワイヤレスイヤホンの新規格を提唱する可能性がある。AppleはBluetooth 4.1或いは全く新しい非常に電力消費が少ない無線技術によってそれを実現する可能性があり、それによって次世代EarPods(Apple製のイヤホンの名称)を無線化する可能性もある。

また市場には既にLightningコネクタを使ったイヤホンも登場しており、AppleはLightningを使った新しい音楽伝送基準を作る可能性も捨てきれないが、今更有線での新しい基準を作ることはなかなか考えられない。いずれはLightningコネクタの厚ささえもスマホの薄さへの障壁となり、Lightningコネクタを廃止して無線充電・無線データ通信に統一する可能性もなくもないが、すぐには実現しない可能性が高い。

記事は以上。

Visited 48 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人