世界のトップデザイナーの目に映ったApple WatchとiPhone6/6 Plusのデザイン

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やはり専門家にもウケがよくなかったか。。

有名な工業デザイナーで、NewDealDesignの創始者Gadi Amitが先日、デザイナーという立場と角度からAppleの三種類の新製品であるiPhone6、iPhone6 PlusとApple Watchについて評論を展開している。

gadi_amit_portrait

その文章によれば、上記の三種類の新製品のデザインには失望しているというものだった。2種類の新型iPhoneについてはAppleが突然デザインのスタイルを変更し、iPhoneシリーズのデザイン理念に一貫性がなくなり、ディスプレイの巨大化はユーザエクスペリエンスに多大な影響を与えることが指摘されている。またApple Watchに関してはその立ち位置が曖昧で、丸形ではなく四角いデザインになっており、機能を十分に活かすにはスマートフォンに頼らなくてはならず、独特の個性がないとこきおろされている。

以下がGadi Amitの評論の翻訳だ。

iPhone6、iPhone6 Plus、Apple Watchの3種類の新型デバイスに失望、工業デザインで失敗

iPhone6、iPhone6 Plus、Apple Watchの三種類の製品は工業デザイナーとして世界でも最も先端を行く人達の手でデザインされ、卓越した製品でなければならなかったはずだ。
そしてこれまで通り、Appleのソフトウェアデザインはイノベーティブで、機能とデバイスの親和性とユーザエクスペリエンスの面では明らかに他の会社よりも勝っている。しかし同社の工業デザインはやはりiPhone6、iPhone6 Plus、Apple Watchの3つの製品が発表される前の最大のポイントだったはずだ。Appleの工業デザインの真髄は、同社の共同創業者のスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の遺産だ。正に肩を並べるもののいない工業デザインがAppleのブランドの統率力を発揮し、PRのテーマであり、人々に強大な影響力を及ぼしてきた。

しかしiPhone6、iPhone6 Plus、Apple Watchの3種類の新製品においては、Appleはその強みであるはずの工業デザインでどうやら失敗をしてしまったようだ。

iPhone6、iPhone6 Plus:一貫性を失い使いにくく

iPhone6_iPhone6-Plus

2種類の新型iPhoneの問題はApple Watchよりも重大なようだ。なぜなら多くの面で過去の同シリーズの製品”iPhone”にかなわないからだ。”4″と”5″の2世代のiPhoneに比べ、”6″のデザインのスタイルが”柔らかく”なってしまっている。iPhoneファミリーのこれまでのデザインの変遷を覚えているだろうか。最初は柔らかく、その後鋭く尖り、また柔らかいものに戻ってしまった。これは一体どういうことだろう?現在のAppleのデザインの原則とは一体何なのだろうか?

卓越したブランドというのは、そのデザインの中に非常にはっきりとした方向性と一貫性を持っているものだ。例えば一流の自動車メーカーは、モデルカーによって彼らの製品ラインナップのデザインの変化がコントロール範囲内であることを人々に伝達するものだ。デザインスタイルの突然の変化は、Appleの決定が少し気ままになっていることを表している。

しかし、デザインスタイルの変更は大型ディスプレイの新型iPhoneにとっては小さい問題に過ぎない。この2つの新製品の根本的な問題は使いやすさにある。この問題は人々に製品に対して初めての物理的体験をもたらす。つまりかなり無理をしないと握ることができない物体は、人の手のサイズに合わず、使用する時に不便さをもたらすということだ。”ポケットに入れられない”ということもこのサイズのデバイスの人々が認識している問題であり、特に女性ユーザにとってはそうだろう。Appleはもともとユーザインターフェイスを調整してより大きいディスプレイにあわせるのが得意で、ディスプレイ周りを改善したデバイスの外観上でも抜きん出た能力を発揮していた。しかしiPhone6とiPhone6 Plusは、それらが実現できていない。2種類の新型iPhoneはデザイン的に全く平凡で、Appleはどうやらテクノロジーやストラテジー的なデザイン案を採用したのではないだろうか。

Appleはこれからもブームを引っ張っていきたいのか、それともブームを引っ張るのを拒絶したのだろうか?SAMSUNGとLGはディスプレイを改良することでユーザエクスペリエンスの改善に努力している。SHARPはAquos Crystalによってベゼルのないスマートフォンを生み出した。

Appleはどうしてそのような方向の努力をしないのだろうか?

Apple Watch:立ち位置が曖昧なファッションウォッチに

Apple_Watch

Appleの腕時計は非常にデザインが難しい製品だ。Apple Watchは、製品の好みと腕のサイズと日常での使用習慣など、趣向の異なる多くの人達に必ず同時に迎合しなければいけないことを知る必要がある。そしてこの製品は全く新しく、まだ明確な文化が形成されていない市場に向き合わなければならない(つまりこの市場は非常にビッグチャンスだということだ)。単一的なデザインではこれらのデザインの課題をいっぺんに解決するのは殆ど不可能だということは否定できない。しかし、Appleは”戦略をテストする”という選択をしたようだ。

Appleが最終的に作り出してきたのは、精巧で優雅な製品で、数種類のカラーバリエーションがあるが、実質的には同じものである。Apple Watchは人を惹き付ける新しいインタラクティブの模範となるもので、人々を興奮させるようなUIを持っている。しかしこのファッショナブルで優雅な製品の存在は根本的な問題を抱えている。一体どんな人達に売るのだろう?

Apple_Watch_Edition_Gold

ファッションウォッチは人々の品格の体現でもある。Apple Watchはある程度Appleのデザインのスタイルを体現している。しかし最先端のファッションの達人の要求を満たしているとはいえないようだ。そして中流階級にも合っていない。一部の男性にとっては柔らかすぎるデザインに感じられ、一部の女性にとってはあまりに明るく強いデザインに感じられてしまうだろう。

Apple Watchが採用したのは四角で、丸ではなかった。そんなわけでこれは正確にいえば腕時計とはいえないものになったといえる。つまり多くの場合、腕の上に載っかった小型端末ということになるのだろう。しかし、あなたのポケットの中にはもう1つの端末がある。。あなたの携帯とあなたの”スマート”ウォッチが具体的にどのようにタスクを分け合うのだろうか?Appleはもともとこの問題を巡る回答についてもっと力を入れることができたはずで、全く独立したデバイスでもってAndroid Wearなどとは違ったジャンルを作れたはずだ。しかしAppleはそのようにしなかった。それどころか、腕時計と携帯の融合というあいまいな道を選択してしまったのだ。

Apple_Watch_rear

Appleはもしかしたら、ウェアラブルデバイスの立ち位置という大問題の解決を大衆文化に委ねられると考えたのかもしれない。しかしなぜ同社はまず独特なデジタルテクノロジーで人々の興味を刺激しなかったのだろうか?もし特別なディスプレイサイズや外観、湾曲ディスプレイ、バンドにまで延びたディスプレイ、ノンディスプレイ、腕の動きによるコントロール、ワイヤレス充電などが実現したら?これらのアイデアは多くのテクノロジーブログメディアの様々なところで見ることができ、そのようなコンセプト画像は絶えることなく流れていた。

人々がもともと期待していたのは全てをひっくり返すような製品であったが、Appleがもたらしたのはただのとても優雅で美しいスマートウォッチだった。2種類の新型iPhoneとApple Watchは確かに競合製品よりも一歩先に進んだものかもしれない。しかし少し登場が遅すぎたようだ。既に大型ディスプレイのスマートフォンはメジャーなものになっているし、スマートウォッチはとっくにウェアラブルデバイスの中でも最もホットな製品傾向となっている。Appleの3種類の新製品は、全て”作りの精巧さ”は抜きん出ているが、”デザイン”面では他を圧倒したり、イノベーティブだったりするものは1つもなかった。

翻訳は以上だ。

画蛇添足:iPhone6/6 Plusのデザインは事前のリーク段階から賞賛する人はいなかった

Gadi Amitにぼろぼろにデザインをこき下ろされている今回のAppleの3種類の新製品。

私自身も新製品スペシャルイベントでがっかりした人の1人だったのだが、もしかしてそんなことを思ってるのは私だけ?と思っていた。だがやはりどうやらそんなことはなかったようでちょっと安心している。記事の冒頭の言葉にはそんな私の思いが込められている。

以下は更なる私個人の意見だが、iPhone6、iPhone6 Plusについては事前のリーク情報で実機まで出てきてしまっていたが、そのデザインを賞賛する人は一人もいなかったと思う。
そしてApple Watchはほとんど事前にリークせずに発表された形になったが、驚きの声もあがらず、発表イベントのApple Watch映像や機能の発表を見ることが非常に苦痛になるほどのできだった。

今世の中に溢れるAppleの提灯メディアによる提灯記事でも、経営者やデザイナーを賞賛する人はいても、今回の3種類の新製品そのもののデザインを賞賛する人は殆どいないように思える。

もし賞賛する人がいたら、私はあのiPhone6/iPhone6 Plusの裏のラインやでっぱったカメラは本当にいいと思っているのか、またあの丸っこい外観は以前はAppleよりも遙かに工業デザイン力で劣っていたはずの安っぽいSAMSUNG Galaxy Noteに酷似していることに気づいていないのか、そしてApple Watchに関しては平凡な外観とあのバランスの悪いどでかいリューズなど、あれらを本当に美しく心躍るデザインだと心から思っているのか、聞いてみたいところだ。

記事は以上。

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