台湾のテック系メディアDigitimesによると、最近台湾の世界最大の半導体メーカー(ファウンダリ)のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は、慎重な事業計画と全体的なチップ業界の見通しについて発表しています。それによれば、同社は今年も依然としてAppleのiPhone/iPadシリーズに使用されているSoC、Aシリーズチップの独占的サプライヤーの地位を保つようです。
上記の通り、TSMCは、今年2019年秋にリリースされると考えられる新型iPhoneに搭載予定のA13チップ(順当にいけばこの名称になるでしょう)、つまりApple独自のカスタムデザインチップの独占サプライヤーになるでしょう。TSMCは2019年第2四半期に、EUVの拡張バージョンを含む7nmプロセステクノロジを使用して製造されたチップの量産を開始する予定です。
TSMC CC Wei CEOは1月の同社の投資家会議で、7nmプロセス技術による売上が今年の企業収益の25%以上を占めると予測していると語っていました。Wei CEOは、HPC(高性能演算、high-performance computing)や自動車などのアプリケーション向けのチップ設計が増えるにつれて、同社の7nmチップを購買するクライアントのポートフォリオはますます「大きくなっている」と付け加えています。
7nmプロセスチップの販売については楽観的であるにもかかわらず、TSMCはファウンドリの全体的な事業についてマクロレベルの要因を挙げて懸念事項を表明しています。同社は、2019年がその事業と世界のチップセクターにとって「スローな年」になると予想しています。それはファウンダリ部門がゼロ成長になるという見込みを織り込んでの見解と思われます。
Digitimesはこれ以上細かい情報は出していませんが、今年のAppleはiPhone 3機種以外にAirPods 2、新型iPad、新型iPad mini、新型Apple Watchなどをリリースし、更にMacBookのアップデートもあるとみられています。ただ、MacBookの販売台数は2018年よりもやや減少するという予測が一般的です。また、AirPods 2については、Digitimesが以前伝えたところによると、今年の上半期に販売され、ヘルスケア関連機能を新たにサポートし、防水となり、白と黒の2色になるとされています。
しかし世界中の一桁nmプロセスチップがほぼTSMCに集約されていき、他のファウンダリが対抗できなくなってくると、寡占が発生し、技術の進歩が遅れ、また価格競争もなくなる可能性があります。Appleもそろそろ、1社単独購買をやめる時期に来ているかもしれません。とはいえ、個人的にもサムスン半導体だけには頼って欲しくないところですが。。
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(記事情報元:Digitimes)