当ブログ記事でも詳細に解説したとおり、iPhone 12やiPhone 12Proシリーズでは、新たに加わった電磁石による位置固定ワイヤレス充電システム「MagSafe for iPhone」では最大充電効率15Wで充電可能です。しかし11月6日から予約開始、13日から発売予定のiPhone 12 miniでは、なんとその「MagSafe」での充電効率は15Wに上がらず、最大12Wの制限がかかっていることがわかりました。
Apple英語版の公式サポートページ内の「MagSafe」項目内で、iPhone 12やiPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxは最大充電効率は15Wとされていますが、iPhone 12 miniに関しては「ピーク電力供給は12Wまで」と明記されているのです。
更に上記のページでは、12Wを実現するための最小要件が、MagSafeを15Wで実行するために必要な要件とわずかに異なることもアドバイスされています。15Wバージョンには9V / 2.22A以上で動作する充電器が必要ですが、12Wには代わりに9V /2.03以上が必要です。
iPhone 12 miniのMagSafeでは、上記の電圧と電流の条件をクリアできない、例えば5V / 2.4Aなどの最小12Wを提供する充電器でも機能しますが、12Wの充電効率とはならず、結果的に充電が遅くなります。
iPhone 12 miniは容積も小さく、発熱の懸念があるため、安全の観点から充電効率を15Wまであげられないのだと思います。ちなみにiPhone 11までのワイヤレス充電効率はQi規格で7.5Wまでだったので、それよりは速くなるとは思いますが、やはりユーザにとってはちょっと納得がいかない結果ですね。
結局、Appleは本来はLightningケーブルを廃止してUSB-Cを導入し、急速充電を達成するべきですが、それを行わない代わりに、なぜか特に珍しくもなく、既に他社は2年も前に最大充電効率15Wを達成しているワイヤレス充電を採用しました。しかもその実現条件はなかなかに厳しいのです。
できるだけ急速に充電したいのであれば、MagSafeではなくUSB-C to LightningケーブルでACアダプタに直挿しすることをお勧めします。MagSafeはワイヤレス充電とはいえ、ペタッと貼り付ける必要があります。Lightningケーブルも、手間的にはそんなに変わりません。その上、MagSafeの充電パッドを買う必要がないので余計な出費をしないで済みます。ACアダプタだけはiPhone 12シリーズには一切付属していないので、20W以上のものを買えば大丈夫です(iPhoneのLightningケーブルを通じた最大充電効率は18W〜20W程度ですが、MagSafeの最大充電効率12〜15Wより高いのでお勧めです)。
MagSafeはもっと充電効率が上がらないと、恐らく感圧タッチ機能と同様、またAppleの黒歴史として姿を消す機能になるのではないかと私は危惧しています。
記事は以上です。