ETNewsの報道によると、LG DisplayがAppleのiPhoneに使用されるとみられる有機ELディスプレイ(OLED)パネルの量産を始めるということです。そして最初のロット40万枚が、12月から納品される予定とのことです。
LG Displayは先月の10月から有機ELディスプレイパネルの材料と部品の購入を開始しており、11月にロット生産に入り、12月から納品を始めるということです。現在は既にLGの韓国パジュ(坡州、Paju)のE-6工場に部品や材料が到着しており、受注通り量産が始まっていて、12月中旬より前に納品が始められるように、LGの生産キャパは少しずつ拡張されていくとのことです。
AppleとLG Displayの有機ELディスプレイの受発注やサプライヤー契約内容については明らかになっていませんが、業界内部からの情報では、LGは40万枚の有機ELディスプレイを受注したということで、Appleの購買価格は1枚あたり10万韓国ウォン(約1万154円)ほどで、従って40万枚受注したLG Displayの全体の受注金額は400億韓国ウォン(約40億6170万円)にのぼるとみられています。
LG Displayは既にApple Watch用の有機ELディスプレイを納品していますが、iPhoneの有機ELディスプレイはサムスンディスプレイ(SAMSUNG Display)がほぼ独占受注している状態です。今年7月に、Appleは2018年のiPhoneからLG Displayより有機ELディスプレイと液晶ディスプレイ(LCD)を購入する予定というニュースが流れました。当ブログでもお伝えしたとおりです。
ただ、その後LG Displayは生産キャパ不足からAppleの需要を満足することができず、2018年モデルの3機種の最新iPhone(iPhone XS/iPhone XS Max/iPhone XR)のスタートには間に合いませんでした。
ただ、今後Appleはサムスングループとは完成品において競合関係にある上に、特許裁判を抱えているため、iPhone/iPadなどiDeviceのAシリーズチップの発注をサムスンから引き上げ台湾TSMCに一本化したことから証明されるように、サムスンとの取引関係や依存関係をできるだけ薄めていきたいのは山々だと思われることから、LG Displayの品質・納期・価格がよければ、今後は発注が増えていく傾向にあるのではないかと思われます。しかし両方とも韓国企業ですね。日本企業の集合体、ジャパンディスプレイ(JDI、ソニー・東芝・日立のディスプレイ事業を統合した会社)の製品はかつてはiPhoneにも採用されていたのですが、今は使われていません。日本人としては、Apple製品用のディスプレイを韓国企業に独占させてないで、いつかはまた日本企業に返り咲いてほしいところなのですが。。
iPhoneへの有機ELディスプレイは昨年のiPhone Xから始まり、現在のラインナップではiPhone XS/iPhone XS Max/iPhone X(iPhone Xのみ新規販売は終了)の3機種で有機ELディスプレイが使用されています。
なお、来月Appleへの出荷が始まるとみられるLG DisplayのE-6工場があるパジュ市は、韓国と北朝鮮の軍事境界線や著名な臨津江(イムジンガン、イムジン河)に接した、韓国の中では唯一市域に非武装地帯がある最前線の街です。そのあたりの政治・戦争リスクは見込んでいないのか、少し気になるところではあります。
記事は以上です。
(記事情報元:ETNews via Apple Insider)