ゴールドマン・サックスはApple Card 1契約ごとに350ドルの費用をかけている

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CNBCのレポートで、Appleが現在招待客向けに配布をしている新しいサービスApple Cardの発行銀行である投資銀行のゴールドマン・サックスが、新規顧客獲得のために1顧客につき約350ドルを費やしているとしていて、アナリストはゴールドマン・サックスのApple Cardによる黒字化に最低4年はかかるとみているようです。

Apple-Card

ゴールドマン・サックス、Apple Card開始のために大量の準備金を投入、回収に最低でも4年必要か

ゴールドマン・サックスは、Apple Cardサービスを開始するために、2019年の初めから7月中旬までに、約2億7,500万ドル(約292億円)を含む消費者からの流入に備えて、ローンサービスや一般消費者サービスのために13億ドル(約1380億円)というかなりの金額を費やしたようです。野村総研のアナリストによると、ゴールドマン・サックスはすぐにApple Cardによって利益を得られるとは限らないと分析されています。

CNBCによると、ゴールドマン・サックスは、1人のユーザーを獲得するために350米ドル(約37,000円強)を費やしていると考えられています。野村総研のアナリストは、カードの平均使用量に基づいて、ゴールドマン・サックスが利益を得るために少なくとも4年はかかる計算の支出であると考えています。

ゴールドマン・サックスのApple Card審査承認がユルユルなのも問題に

野村総研は、Apple Cardが同等のカードよりも競争力がある金利範囲であること、比較的大きいキャッシュバック率などのユーザにとっての「利点」が、逆にそのポートフォリオが業界平均に比べて低い収益をもたらすことを指摘。より損失が大きいコンテンツに直面する可能性があると分析しています。

当ブログでもお伝えした通り、ゴールドマンサックスのApple Cardのポリシーは、かつてのいわゆる「サブプライム」で問題になったレベルのクレジットスコアの低い顧客を含め、できるだけ多くの顧客をできるだけ早く承認すること、となっています。これはゴールドマン・サックスの長年にわたる収益獲得能力に反する可能性があります。FICOスコア(信用スコア)が660未満の顧客は、一般に「サブプライム」金融商品の対象レベルと見なされているのですが、プレビュー状態であってもゴールドマン・サックスのApple Cardサービスに受け入れられている事実があります。

不況もあり、ゴールドマン・サックスの先の見通しが不確実に

ゴールドマン・サックスの将来をさらに不確実にするのは今後の不況の見通しであり、ゴールドマン・サックスの潜在的な貸倒損失の増加と利益率の低下による同社株価の急落が警告されています。野村総研のアナリストは、Apple Cardは純チャージオフ(回収できないと判断された借金を、貸した側の損失として処理すること。アメリカの銀行は、借金が180日以上の延滞となったときに、そのカードの残高を回収不能とし、取り扱い銀行が損失として処理している)の増加に「非常に敏感」であり、ゴールドマン・サックスは損失が約8%に達すると考えています。

野村総研は、ゴールドマン・サックスが、Apple Card発行後2年でピーク損失を被る傾向があるとアドバイスしたため、利益を上げるまで最低でも4年かかるとされた期間は大きな問題となります。それでも2〜3年目の損失ピークから4年目に向けて徐々に損失は改善されると考えられますが、実はゴールドマン・サックスには次の手があるようです。

ゴールドマン・サックスとAppleによる「次の手」とは

ゴールドマンとAppleは、将来的にクレジットカードと一緒にデビットカードを提供するのではないかと推測されています。つまりこれが次の手、ということになりそうです。なぜデビットカードを提供すると推測されるかというと、顧客が銀行口座からApple Cardの残高を返済する可能性が高いためです。その場合、同じプラットフォームのデビット口座から支払いが行われる形となります。デビットカードは残高がないと支払いが成立しないため金融サービスにとってはリスクが低いサービスで、2018年だけで米国の銀行に150億ドルの収益をもたらしています。

ゴールドマン・サックスのような投資銀行が、金を損するようなことは絶対やっていないと個人的にも思っていましたが、さすが、次の手を用意しているのですね。まずは敷居の低いクレジットカードでユーザを惹きつけておいて、デビットカードも用意するとは用意周到です。

さて、Apple Cardが日本に登場するのはいつでしょうか。。日本ではクレジットカードの審査をかなり緩くするなどはなかなか難しいと思いますが、その辺の審査やキャッシュバック率などはどうなるでしょうね。気になるところです。

記事は以上です。

(記事情報元:Apple Insider via CNBC

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