Appleが米国でサービスを開始したApple Card。基本的にはiPhone/iPad/Apple WatchなどのWalletアプリを使って、非接触型支払いが可能なシステムではありますが、それができない店舗で使用するために、無償で物理的なチタン製Apple Cardを申請することができます。そしてそのチタン製物理Apple Cardが米国のユーザに届き始めていることが、Twitter上で散見される報告で明らかになっています。
Apple Cardは他のクレジットカードに比べてかなり分厚い
The VergeのNilay Patel氏も、TwitterでApple Card本体の写真をツイートしていて、他の金属やプラスチックで作られているクレジットカードよりも分厚いことを明らかにしています。
Physical Apple Card has arrived. I have surprisingly strong feelings about having a Goldman Sachs logo in my life? Anyway, you can see how much thicker it is than my plastic or metal cards. pic.twitter.com/hXi3q4ijoJ
— nilay patel (@reckless) August 9, 2019
確かにゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のロゴが入ったカードを持つ機会は人生には他に殆どないかもしれませんし、ちょっと戦闘力が高まった感じはするかもしれませんね。なんといってもゴールドマンですからね。笑
Apple Cardの重量は以前のリークと同じ、約14.75g
なおTechCrunchのMatthew Panzarino編集長のツイートによって、Apple Cardの重量は約14.75グラムで、以前リークした14.74gという重量とほぼ同じになっています。Chase Sapphire Reserveのクレジットカードよりも若干重く、American Express Platinumよりも軽くなっています。あれだけ小さくて15g近いと結構ずっしりした重さを感じるかと思います。さすがチタン製。しかしさすがTechCrunchの編集長ともなると、アメックスプラチナを持っているのですね。出張も多そうなので、チェース・サファイア・プリファードで賢くポイントを貯めているのでしょう(個人的にはどうしても他に持っているクレジットカードの方が気になります。笑)。
Card weights from my crappy kitchen scale (ignore coffee detritus)
1. Apple Card 14.7g (quoted is 14.8 so probably rounded up)
2. AMEX platinum 18.4g
3. Chase Sapphire Preferred 12.2g pic.twitter.com/bCZMpmUhNN— Matthew Panzarino (@panzer) August 7, 2019
開封の儀も動画で公開、カードやパッケージデザインも以前のリークと同じ
またもう一人のアーリーアダプターであるプロの自動車レース写真家のAaron Andino氏は、YouTubeでApple Cardのいわゆる「開封の儀」動画をアップしていて、そこでApple Cardのパッケージの詳細が確認できます。ただ、カードとパッケージの外観は以前リークしたものと完全に一致していますのであまり驚きはありません。
チタン製の物理Apple Cardは、Appleロゴ、MasterCardロゴ、ゴールドマン・サックスロゴ、ICチップ、名前だけがついた、すっきりとしたデザインが特徴です。Apple Cardには通常のクレジットカードには存在するカード番号や有効期限はなく、裏面にはCVVやサイン欄もありません。その代わりに、これらの詳細はiPhone等のWalletアプリに保存され、カードが紛失または盗難に遭った場合でもセキュリティが保たれるということになります(逆にiPhone等を落として簡単にロック解除できる状態になっていると危険ということにもなりますが)。
Apple Cardの背面には、ゴールドマン・サックスとマスターカードのロゴがエンボス加工され、マグストライプが付いたミニマルなデザインです。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)はApple Cardの発行銀行という扱いになっていて、クレジットカードとしてはMastercardのペイメントネットワークに依存しています。
Apple Card上の名前”Marisa Robertson”って誰?
ところでApple CardのApple公式画像や映像に出てくるApple Card上に刻まれた名前”Marisa Robertson”って誰?と思ったら、どうやらAppleの幹部社員の名前のようですね。Linked Inによると、戦略のトップだそうで。
以前Apple製品の広告内で個人名が出てくるといえば、John AppleSeed(日本でいう山田太郎的な)で決まりだったんですけどね。。この辺りでも女性、しかも社内のスタッフの名前を使うなど、Appleは伝統を変えつつあるといえます。当ブログ記事でもだいぶ前にJohn AppleSeedについて触れていますので、ご興味があればどうぞご参照ください。
物理Apple Cardは無料、アクティベーションも驚くほど簡単
チタン製の物理Apple Cardは無料で出荷され、出荷時にiPhoneには通知が送信されます。現在のところ、届くまでの所要時間は数日ということです。また届いた後はiPhoneに近づけてFace IDかTouch IDで認証するだけで簡単にアクティベーションが可能です。本当に驚くべき簡単さです。私が使っている香港HSBC法人口座のクレジットカードとはえらい違いです(電話をかけてオペレーターと話して、身分情報などをいくつかアクティベーションをしないといけないというとても煩雑な仕組み)。
Zach Honig氏がTwitterでその驚くほど簡単なアクティベーションの様子を動画でアップしています。
Coolest credit card activation ever 🤓 pic.twitter.com/3Cf3sQJbKl
— Zach Honig (@ZachHonig) August 7, 2019
ゴールドマン・サックスによるApple Card審査基準はかなり緩め
7月後半から、Appleは18歳以上の米国居住者全員を対象にカードの申請を許可しています。CNBCとiMoreによると、これまでのところ、一部の600ドル台のクレジットスコア(信用格付け)の顧客でも承認されたことを報告しているため、Apple CardはAPRが高いにもかかわらず信用限度が低いといえ、ゴールドマン・サックスはApple Cardの審査承認に関しては非常に寛容だと言わざるを得ません。iCloudで不良な記録がないことも条件ですが、「iPhoneを持っている人、いつも問題なくiCloudを使っている人」というだけで信用度が高いということになるのかもしれません。マスターカードもよくそれで承認できるなと思いますが、ゴールドマン・サックスが承認すればいい仕組みになっているのでしょう。
もちろん、Apple Cardは信用限度を下げることでリスクを下げているともいえます。信用限度600ドル程度では、Apple Cardでは主要なApple製品も買えないということになりますが。。
Apple Cardは手数料無料、キャッシュバックなどもあり
米国のiPhoneユーザはWalletアプリで数分でApple Cardを申し込むことができ、手数料無料のApple Cardで1〜3%のキャッシュバックがあり、Walletアプリでの支出の概要を色分けで確認できるようになります。なおApple Cardリリース直前に、APR(Annual Percentage Rate、クレジット年利)の範囲が以前発表されていた13.24%〜24.24%から12.99〜23.99%に引き下げられました。
Apple Cardの詳細や他のクレジットカードとの比較に関する情報は当ブログの記事をご参照ください。
日本でのApple Cardサービス開始は未定
残念ながら現時点では日本でのApple Cardのサービス開始日は未定です。日本上陸の際に、上記のAPRやキャッシュバックがそのまま入ってくるかについてもわかりません。これまでの既得権益の勢力からは大反発をくらいそうな内容なだけに、実現できるかはわかりませんね。ゴールドマン・サックスが日本で出すとも思えないですし、日本ではどこかのメガバンクが発行銀行になるのでしょうか。
私の住んでいる中国でも、既にQRコード決済が普及しているため、Apple Payでさえ苦戦している中でなかなか難しいと思われます。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)