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ディズニーのトップであるボブ・アイガー（Bob Iger）CEOは、来週から予約注文が始まる自著の回顧録で、かつてディズニーがAppleの共同創業者のスティーブ・ジョブズ（Steve Jobs）が保有していたPixar（ピクサー）を買収し吸収したときのように、もしジョブズが生きていたとしたら、Appleとディズニーの合併もあったかもしれないと振り返っていることがわかりました。
アイガーCEOの著書でVanity Fairから出版される「ザ・ライド・オブ・ア・ライフタイム：ウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOとしての15年間から学んだ教訓（The Ride of A Lifetime: Lessons Learned from 15 Years as CEO of the Walt Disney Company）」において、アイガーCEOはジョブズと共に過ごした日々についての記憶を記しています。
かつてアイガーCEOの前任だったマイケル・アイズナー前CEOに苦しめられたディズニーとピクサーとの関係の修復から、そのピクサーススタジオの74億ドル以上での買収まで、アイガーCEOはジョブズがディズニーに与えた影響の舞台裏のストーリーを語っています。
アイガーCEOの記述の多くは、これまでの多くのインタビューやニュース記事などで既に知られている内容ですが、その中でもとりわけ、ジョブズがまだ生きていれば、ディズニーとAppleの合併話がまだテーブル上にあったとするアイガーCEOの信念が語られているのが印象的といえます。
「スティーブが亡くなって以来、会社は成功を収めていましたが、私はどの瞬間も興奮のまっただ中に常にいる感覚があります。スティーブがそのためにここにいればいいのにと思います。頭の中で彼と会話することはできないし、リアルな世界で彼と話したいのです」とアイガーCEOは書いています。「そしてもしスティーブが生きていたら、私たちは会社を統合しているか、或いはその可能性について非常に真剣に話し合っていただろうと思います」
アイガーCEOは、ジョブズとの関係を詳細に説明しています。ジョブズとはディズニーによるPixar買収の前から、ディズニーの現代史における多くの重要な決定について相談するほど、2人の関係は強い個人的な絆に成長していきました。
Pixarの買収によって、ジョブズは「重要な部外者」から「ディズニーの最大の個人的利害関係者」にレベルアップしました。その役割において、またディズニー理事会メンバーとして、ジョブズは、ディズニーとマーベル（MARVEL）との提携を含む、さまざまな主要な決議についてアイガーCEOから相談を受け、その決定に大きな役割を果たしたとされています。
当ブログでもお伝えしているとおり、アイガーCEOは先週、 Appleの取締役会を辞任しました。
これはこの秋、Appleとディズニーが提供を始めるビデオストリーミングサービスが競合してしまうためです。Appleは11月1日に「Apple TV +」の提供を開始しますが、ディズニーは11月12日に「Disney +」のデビューを予定しています。なお、Disney ＋では、かつてスティーブ・ジョブズが創業者だったピクサーのコンテンツが完備されています。それらのコンテンツがAppleからリリースされないのは、ボブ・アイガーCEOとティム・クックCEOが、かつてのスティーブ・ジョブズほどの関係を築けなかったことに原因があると思われます。Appleはとてつもない大量のコンテンツを自社の傘下に収める千載一遇のチャンスを逃したことになりそうです。ただ、ディズニーにとってはAppleと組むことのメリットは何があったのかと考えると、本当にアイガーCEOが合併を真剣に考えていたかどうかについては疑問を感じざるを得ません。ジョブズとなら何か新しいことができる、と考えているのでしょうか。
なお、「ザ・ライド・オブ・ア・ライフタイム：ウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOとしての15年間から学んだ教訓（The Ride of A Lifetime: Lessons Learned from 15 Years as CEO of the Walt Disney Company）」は9月23日にリリースされ、Amazon.comで19.60ドルで予約注文が開始される予定です（英語版）。
記事は以上です。
（記事情報元：Apple Insider）