Apple、独立系修理プロバイダプログラムの対象修理製品にMacを追加

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ロイター通信の報道によると、Appleは米国現地時間8月17日(日本時間8月18日)、独立系修理プロバイダプログラム(Independent Repair Provider Program)にMacを包括するように拡張したことを発表しました。この独立系修理プロバイダプログラムは、昨年米国で開始されていましたが、この独立系修理プロバイダプログラムで許可された修理対象は、保証対象外のiPhoneに限定されていました。

Photo by iFixit(2018, MacBook Pro)

Appleの公式Webサイトには、この独立系修理プロバイダプログラムに関する詳細が記載されていますが、まだMacまで範囲が拡大されたことは反映(アップデート)されていません。

独立系修理プロバイダプログラムとは

この独立系修理プロバイダプログラムに参加している修理店には、Apple StoreおよびApple正規サービスプロバイダーと同じApple純正部品、ツール、トレーニング、修理マニュアル、および診断へのアクセスが提供されます。

独立系修理プロバイダプログラムは昨年2019年8月末に米国から始まり、現在はヨーロッパとカナダなどを含む32ヶ国以上で参加可能とされていますが、日本や中国などアジア地区ではこのプログラムの適用はまだまだ先になるかもしれません。

米国では独立系修理プロバイダプログラムへの登録申請は無料でオンラインにて行えますが、技術者がオンラインテストに合格してAppleの認定技術者となり(しかも毎年更新しなければなりません)、修理店舗を構えていることなどが条件となり、しかも店舗は住宅地域ではなく商業地域に出店していることなどが条件となっています。

この独立系修理プロバイダプログラムが日本や中国にも広がれば、恐らくこのブログの読者の大半と思われるこの2国に暮らす人にとってはもう少し便利になるとは思うのですが、中国でこのプログラムを展開してしまうと、様々な不正な手段で独立系修理プロバイダプログラムを取得したり、勝手に譲渡したり、名義貸しがされたりして、正規部品があらぬところに流出するという問題が起きそうな予感もします。

独立系修理プロバイダプログラムはAppleによるポーズに過ぎない?

また、独立系修理プロバイダプログラムにおいても、部品1つ1つの修理が認められているわけでもなく、Apple認定正規サービスプロバイダと同様、例えばiPhoneのロジックボード(メイン基板)上のある一部の部品が壊れていてそれが全体の故障に繋がっている場合でも、ロジックボード全体の交換は認められていますが、部品の交換は認められていません。内蔵ストレージなどもはんだ付けされているので、結局顧客のデータは必ず消去されてしまうという状況になっています。

それに比べ、腕のいい非正規の修理屋さんであれば、ロジックボード上の部品がもし比較的手に入りやすいものであれば、それを交換することで、データを消去することなく修理することができます。しかも、Apple Storeのジーニアスや正規Appleサービスプロバイダに比べてかなり安価で。ただし、腕が悪かったり、悪徳修理業者が暗躍すると、消費者にとって不利益が発生します。

Appleとしては、非正規の修理屋さんが増えることは望んでいませんが、公式に独立系修理プロバイダプログラムを認定した業者に、それぞれの細かい部品レベルまで修理させるようにすることを望んでもいないはずです。なぜなら、そんなことをしたらApple Storeのジーニアスや正規Appleサービスプロバイダで修理する人が全くいなくなるからです。だからこそ、独立系修理プロバイダプログラムに認定されたとしても正規部品の在庫を持つこともできず、修理が依頼された該当の部品が依頼されたら発送される仕組みになっていて、その部品が到着するまで修理ができないため、修理期間に1週間以上を要するという事態になっているのです。また、細かい部品レベルでは発注できず、ある程度のASSY(アッセンブリ)レベルでの発注となるため、単価が高くなります。

つまり、消費者にとっては独立系修理プロバイダプログラムを認定した業者に修理を依頼したとしても、結局Apple StoreやApple認定正規サービスプロバイダと同じかそれ以上の費用を払わされ、更にデータが消えてしまう危険性が非常に高くなるということになります。

更にこの独立系修理プロバイダプログラムの存在自体は、Appleが常に直面している「自分たちの認定したところにしか修理させない」という方針への批判をする人、特に現場や実態がわかっていない政治家などに対しては、Appleはサードパーティに修理をさせるように取り組んでいる、というポーズ(姿勢)を見せるための格好の材料となります。Appleはそれを狙ってこの独立系修理プロバイダプログラムを提供しているに過ぎない可能性もあります。なぜなら、上記の理由から、このプログラムは真に消費者のためを考えて作られている制度とは思えないからです。

Macが独立系修理プロバイダプログラムの対象製品に追加されたことには意義はあるのか

今回はMacが追加されましたが、MacはiPhoneよりも更に部品が一体化しており、ロジックボードなどの全体交換となると、かなりコストがかさみそうな感じがします。しかもデータの消失はiPhoneよりもストレージ容量が大きいだけに被害も大きそうです。更にMacはiPhone等スマートデバイスに比べて使用年数が長いのも問題です。

というわけで、既にこの独立系修理プロバイダプログラム制度が実行されている米国でさえ、このプログラムに何の意味もないという論調さえあります。ただ、街中の多くの場所にApple正規認定の修理業者がいることは確かに、これまでの店舗数が少ないApple Storeや、大手しか認定されない正規サービスプロバイダだけで公式の修理が提供されているよりは便利に、しかも安心して任せられる状況になったといえるのかもしれません(米国・カナダ・欧州各国限定ですが)。

いつか壊れるかもしれないApple端末のバックアップはこまめに、内蔵ストレージもいっぱいまで使わないように!

いずれにせよ、いつか端末は壊れることを念頭に入れ、バックアップは必ず頻繁にとっておくようにしましょう。今はクラウドストレージも安くなってきています(Appleデバイスですと殆どiCloudの方が多いでしょうけれど、他にもいくつもクラウドサービスは存在します)。結局Appleにとってはデータ紛失はお客様の自己責任という扱いです。泣きついても何にもなりません。ぜひバックアップは頻繁に(できれば毎晩寝ているときに自動化)。

そして、できれば内部ストレージを容量いっぱいに使い切らないことです。できれば、少なくとも内部ストレージの規格容量の10%程度は空きを残すようにしてください。それ以上の容量をフルに使った状態だと、復元やアップデートでリンゴループに陥り、初期化しないといけなくなります。データをバックアップしていなければそこでアウトです。iPhoneであれば、少なくとも2〜3GB以上は残すようにしておけばよいようですが、やはり余裕は持っておいた方がいいかと思います。当ブログでは、STOP!リンゴループ活動に賛同しています。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors

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