AppleのiPhone用5Gモデム開発リーダーが最近離職、複雑化する5Gを巡る情勢

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平成最後の日の記事にしてはあまり景気の良くない話で申し訳ないですが、Appleのワイヤレステクノロジにおいて、ハードウェアエンジニアリングの責任者でVP(副社長)だったルーベン・カバレロ(Rubén Caballero)氏が離職したことをThe Informationが報じています。

5G

Appleがクアルコムとの訴訟について世界的規模で全面和解を発表し、クアルコムが2020年のiPhoneに搭載されるとみられる5Gチップを含む将来のAppleデバイス用のチップを供給する契約を結んだ直後に、このカバレロ氏の離職が発生したのです。ここまでピッタリだと、偶然のタイミングというわけではなさそうですね。。

Ruben Caballero氏。LinkedInのプロフィールより。

カバレロ氏は14年前の2005年にAppleに入社しました。彼の名前は、ワイヤレステクノロジに関連する何百ものAppleの特許の発明者として刻まれていることから、Appleの内部でもこの分野での責任者として重要な役割を果たしていたことがわかります。なお、このカバレロ氏は、Appleのアンテナエンジニアリンググループのよく知られた、あのiPhone 4のアンテナ線を指で塞ぐと電波の掴みが弱くなるということで一躍注目を浴びた”アンテナゲート(Antennagate)”事件の時期にもそのグループにいたことで知られています。

カバレロ氏のAppleでの仕事について近しく精通している人物はThe Informationに対し、彼が「Appleを5Gに突入させる」ことに責任を持っていたと語っています。なお、カバレロ氏のAppleでのメールアドレスや電話番号はもう有効ではなく、そしてAppleの内部ディレクトリ(社員データベース)から姿を消しているということです。

カバレロ氏が会社を辞めた理由については何ともいえませんが、Appleは内部チップ開発チームを再編していることが知られています。Appleのベースバンドモデムエンジニアリング部門は、チップ開発のトップでもあるジョニー・スルージSVP(上級副社長)の所属となっています。なお、カバレロ氏とAppleの双方とも、The Informationの取材に対してコメントを差し控えています。

Appleは2020年に最初の5G対応iPhoneを発売する予定であるとされています。そしてAppleは新型iPhoneが発売されて1年以内既に将来(2世代以上先)のデバイスの開発に取り組むことが知られていて、早めに取り組むことで技術的な課題を解決していくスタイルとなっています。

上記の通り、Appleは最初の5G対応iPhoneにクアルコムの5Gベースバンドモデムチップを使用する予定で、サムスンからも一部チップを調達するのではないかともいわれています。将来的にAppleは独自のカスタム設計のベースバンドモデムモデムチップを開発しiPhoneに使用することを計画はしていますが、今回ルーベン・カバレロ氏が抜けたことも影響して、Apple設計のモデムチップはまだあと数年は準備ができないのではないかと思われます。

なお、当ブログでも昨日お伝えした通り、インテルの元取締役で、5GモデムチップエンジニアのトップだったUmashankar Thyagarajan氏を引き抜いたことも、ルーベン・カバレロの離職の原因の1つになった可能性もあります。なお、以下の記事ではそのAppleによるインテル5Gモデムチップに関する重要人物の引き抜きと、5Gモデムチップを巡るAppleとクアルコムとインテルの確執についてまとめていますのでご覧ください。

ちなみに、LinkedInでのRubén Caballero氏のプロフィールでは、彼はまだAppleのVP(Vice President、副社長)で、エンジニアリング担当となっています。

記事は以上です。

(記事情報元:The Information via MacRumors

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