Apple、フランスではiPhoneのロック解除を拒否すると巨額の罰金と幹部の監獄行きに

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Appleは米国でユーザのiPhoneのロック解除を何度も迫られているが、それを見た他の国も同様の準備を進めている。ところがフランスではなんとまだAppleがFBIと対峙する前から、既にAppleの端末暗号化に対する対策を練っていたようだ。

フランスでテロリスト関連調査への協力が義務化される修正法案が提出

フランス社会党のYann Galut議員が提出した法律改正案では、主な内容として政府(FBIのような調査諜報機関を含む)のテロとの戦いに関する調査に協力しないテック企業はいかに規模が大きくても重罰を科せられるというものだ。

Illustrative photographs of locks, chains, iPhones, and Apple computers to illustrate the theme of "security" in all it's forms. Photographed in New York, U.S., on Thursday, June 18, 2015. Photographer: Craig Warga/Bloomberg *** Local Caption ***
Illustrative photographs of locks, chains, iPhones, and Apple computers to illustrate the theme of “security” in all it’s forms. Photographed in New York, U.S., on Thursday, June 18, 2015. Photographer: Craig Warga/Bloomberg *** Local Caption ***

その修正法案が提出されてから1週間後、この提案に進展があった。ブルームバーグの報道によれば、フランスの行政機関はYann Galut議員が提出した修正法案への支持を発表したのだ。

その法案によれば、どんなテック企業であっても、そう、Appleでもグーグル(Google)でも、政府機関がテロリストに関する調査をする時にロック解除をして暗号化を解除することを要求し、それが拒絶された場合は、テック企業は巨額の罰金を支払わなければならなくなる。しかもそれだけではなく、フランスでは更に懲罰手段として、会社の幹部を監獄送りにすることもできるという厳しい内容も盛り込まれていたのだ。

 

法案は下院を追加、数ヶ月後には施行開始も

フランスの下院が公表した情報によれば、この修正法案は既に下院で審議された後投票にかけられ、その結果は474票が賛成、32票が反対となり、この法案が実際に採用されるまで残すところあと一歩となった。つまり、この後数ヶ月以内にフランス国会の上院でもう一度最終的な投票が行われ、もし賛成票が反対票を上回れば、この修正法案は有効となるということだ。これはAppleのようなユーザのプライバシー保護を掲げてきた企業によって、非常に良くないことに違いない。

 

罰金だけじゃない、幹部監獄送りも!更に、個人にも罰金と懲役も

もしフランスのテロ組織への調査に関する改正法案は施行されれば、Appleなどテック企業は毎回暗号化の解除を拒絶するたびに35万ユーロ(約4,324万円)の罰金を支払わなければならなくなり、そして同社の幹部が最高で5年の服役をしなければならなくなる。

しかもこの方案は企業だけではなく、なんと個人にも適用される。もし個人がテロ組織に関する情報の調査を拒否した場合、最高2年の執行猶予付の懲役に処せられるだけでなく、1.5万ユーロ(約185万円)の罰金を支払わなければならなくなるのだ。

 

テロ対策法案が強化されるフランス、グローバル企業のAppleなどテック企業はどうする?

昨年11月、フランスのパリで発生した同時多発テロ事件で、130人が死亡した。この事件が発生してから、フランスは第二次世界大戦終結後初めて最高レベルでの厳戒態勢に入ったこともあり、「テロ対策」「テロとの戦い」という名目でのありとあらゆる法制度強化が図られている。

Appleもアメリカである程度FBIと折り合えたとしても、グローバル企業になってしまっている以上、他国ではこのような法律ができてしまえば逆らうわけにはいかなくなる。どのような対応をするのかがみものとなる。

 

画蛇添足 One more thing…

なんだか世界中が焦臭くなってきた。

フランスの方案はやがて日本の第二次世界対戦の戦前のような治安維持法のようなものに繋がっていき、特高のような超強力な調査権力を持った機関ができ。。政府が強くなっていくのだろう。

そして「テロとの戦い」という名目で各国に戦争のできる体制が整って第三次世界大戦に繋がらないか、非常に心配なところではある。政府にとっては大義名分をもって権力を強化できるわけで、これ以上のいいことはないと思われるからだ。あとは権力監視機構がどれだけ働くのか。。気になるところだ。

Appleが第二の市場として見ている中国などでは政府に逆らうことなどもってのほかで、しかも権力監視機構が全くなく、三権と軍隊が全て共産党一党に握られているため、基本的には従うしかなくなってしまう。Appleはかなりの裏取引を迫られることになるだろう。

いずれにせよ世界で起こるテロ事件は戦争をしたい連中(大抵は武器屋か資源を握っている人など巨大な権力を持っている人達)がしかけているのではないかと思われるほど、その事件が発生した国の政府が簡単に戦争をできるように変わってしまうのが恐ろしい。

今後世界的に個人のプライバシーが守られるかどうか、Appleやグーグルなど、テック業界の巨頭の動きが注目される。

記事は以上。

(記事情報元:Patently Apple, Bloomberg Business

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