Appleは巨大なサプライチェーンを構築し、様々な部品を世界各地から購買しています。大部分はアジア、そして日本と台湾が多かったのですが、最近は中国大陸のサプライヤーも増えています。Appleは今回、更にMac等の金属筐体(ケース、主にアルミ製)のサプライヤーとして、中国大陸の会社をまた1つ追加しました。
Digitimesの報道によると、2017年に台湾の瑞声科技(AAC Technologies)と中国大陸の深圳長盈精密技術(深圳长盈精密技术、Everwin Precision Technologies、300115/SZ)がAppleのサプライヤー認証を通過していたということで、この2社が最近、AppleのMacBookのアルミケース(シャーシ)を製造を開始したようです。
「Macbook」「iPhone」「iPad」の金属ケースサプライヤーは、これまで台湾資本の鴻準精密工業(2354/TW、鴻海グループ、組立で有名なフォックスコン=富士康と同系列)、可成科技(Catcher、2474/TW)、鎧勝控股(Casetek、5264/TW)、そして米EMS(電子機器の受託生産)大手のジェイビルに独占されてきたのですが、今回上記の2社が追加されたことで、Appleのサプライチェーン構造にも変化が訪れそうです(もちろん、それぞれのサプライヤーの株価にも影響があるでしょう)。
ただ、現在のところどのサプライヤーがどの程度のApple製品製造シェアを持っているかについては明らかになっていません。
ちなみに長盈精密がAppleの認証を勝ち得たのは、生産過程自動化を推進したことによる、加工能力の向上と良品率大幅改善を同時に実現したからということです。労働集約型ではなく、スマートな工場になっているということですね。長盈精密はApple以外にも既にサムスン電子(SAMSUNG)、ファーウェイ(HUAWEI、華為技術)、OPPO、vivoなどのスマートフォン大手メーカーとも取引をしています。年間金型生産能力(キャパ)は5000個以上で、精密部品加工能力は300万点以上とかなりの規模になっているそうですが、スマートフォン向けのシャーシのような比較的小型な製品と、MacBookのアルミ金属ケースのような大きな製品を同時に扱えるのは素晴らしいことだと思います。
長盈精密は昨年2017年4月に日本の安川電機と共に合弁企業”広東天機機器人有限公司(广东天机机器人有限公司)”を設立し、生産自動化用ロボットの開発と製造も行っています。壹讀の報道によると、この合弁企業の資本金は5000万元で、その出資比率は長盈精密が65%(3250万元)、安川電機が25%(1250万元)、安川通商が10%(500万元)となっています。
なお、Appleがこれまで発注した2018年第1 弾サプライヤーは、中国全体で27 社となっていて、ここに上記の深圳長盈精密が加わることになります。中国の勢いはまだまだ留まることを知らないようですね。
記事は以上です。
(記事情報元:Digitimes)