先週、Epic Games社のゲーム「Fortnite(フォートナイト)」がApp Storeから削除されたタイミングで、Epic Games社はAppleがかつてMacintoshの広告として制作した「1984」と同じ内容で、そのディストピアのビッグブラザーとしてIBMではなくApple自身を描いた壮大なパロディ作品をアップしたことは当ブログでもお伝えした通りです。
パロディの元となったAppleの「1984」は、ジョージ・オーウェルの小説「1984」を題材としたもので、1984年1月22日の第18回スーパーボウルのテレビコマーシャルとして初放映されました。エイリアン、ブレードランナー、ブラック・レイン、ブラックホーク・ダウンなどの映画の監督で知られるリドリー・スコットによる作品で、大ハンマー投げが特徴で、当時の広告賞を総なめにしました。
しかし実は「Fortnite」がパロディをするまで、この広告の画像や動画を他の企業がパロディに使ったのはこれまで少なくとも5回あった、とCult of Macが記事にしているので、意訳なども挟みつつ紹介したいと思います。
まずは、Fortnite(Epic Games)がほぼ完全に「1984」の内容に沿って制作したパロディ動画をご覧ください。
なかなかに強烈な諷刺ですよね。さて、では他はどうだったのでしょうか。見ていきましょう。
Futurama(フューチュラマ)
このパロディは、2002年3月のFuturamaのエピソード「Future Stock」からのものです。1980年代にウォールストリートの幹部が解任され、Planet ExpressのCEOに昇格した後、彼は会社に1980年代のブランド変更を行い、年齢に応じた広告を掲載するよう要求します。そこで、「1984」のパロディが現れます。
巨大なビュー画面がハンマーではなく爆薬のようなもので粉砕された後、「そう、私たちはそれを見ていた!」と目が覚めた観客が叫びます。
Ben & Jerry’s(ベン&ジェリーズ)
Ben & Jerry’sはアメリカでも有名なアイスクリームブランドの1つです。そのBen & Jerry’sがアイスクリームがいっぱい入ったブリトーをどうやって売るのか?というときに、この広告が出てきます。
退屈な昔ながらのアイスクリームバーのコマーシャルにぼーっとしている男達の部屋に、アイスクリームを販売する制服を着た女性が走って入ってきて、そのアイスクリームがいっぱい入ったブリトーを投げつけることで部屋の中の人達が目覚めます。。
「4月20日、Ben&Jerry’sはBRRR-ito(ブ・リトー)を紹介します」と広告の最後にナレーションが入ります。「そして、4.20が「4.20」とまったく同じになる理由がわかります。」
Half-Life 2(半減期2)
2010年5月に、Valve社はOS X版Half-Life 2の短いティーザー広告をリリースしました。
洗脳された大衆がCity 17の市民に、ビッグブラザーはゲーム中のDr. Wallace Breenに、そしてハンマーはバールに置き換えられています。
KOHLERの “Koohl Toilet(クールトイレ)”
便器に座っている姿がマヌケだって?
このKOHLERブランドの便器では、前向きに座り、腕をタンクの上にかける、クールな座り方をすることができます。。だそうです。洗脳されている人達もみんな普通に便器に座っているのがいいですね。
LeTV(乐视)のスマートフォン
中国のテレビメーカーLeTV(乐视)が2015年にスマートフォンを作った時、「1984」から「2015」へということで、「1984」をオマージュした広告が打たれました。
違うのは、台上にビッグブラザーではなく、そこには青リンゴがあること、そしてそれを走ってきた若者が囓ること。そして「役者が変わった、時代が変わった」として、LeTVのブランドが紹介されていることです。最後には、リンゴは芯だけを残されて食べられてしまっていました。
結果的に、LeTVのスマートフォンは最初は成功するのですが、本業のテレビ本体の事業がうまくいかず、2020年5月に深圳証券取引所から上場廃止となっています。彼らの主張するプレイヤーチェンジまではいけませんでしたね。。
いずれにせよ、前の4つはビッグブラザーを別のものに置き換えていましたが、LeTVとFortnite(Epic Games)は明らかにAppleをビッグブラザーとして諷刺しているのが他と異なる点ですね。
オリジナルはこれだ
さて、少なくとも6つの会社にオマージュ(パロディ化)されたAppleのオリジナル「1984」はこれです。
やはりリドリー・スコット監督っぽさがそこかしこに出ていて素晴らしいですよね。最後の「1984年1月24日、Apple ComputerはMacintoshを発表します。そして今年1984年が、小説『1984年』に描かれているような年にならない理由がわかるでしょう…」というナレーションも秀逸でした。
ちなみにこの「1984」でのビッグブラザーは言わずもがな「IBM」なんですが、現在はAppleとIBMは主に企業向けサービスでパートナー関係にあります。それこそ、時代は変わった、といえる出来事ではないでしょうか。
というわけで、素晴らしい広告や製品はパクられたりオマージュされたりしがち、、ということがよくわかる例ではないでしょうか。
記事は以上です。
(記事情報元:Cult of Mac)