最近、Bloombergが中国版Twitter「Weibo(微博)」上で行ったアンケートで、95%の中国ユーザが、WeChatがもしApp Storeから削除され使用できなくなったら、iPhoneの使用を諦めるという回答をしていたことがわかりました。WeChatが中国のApp Storeから削除されたら、Appleは一気に中国大陸のユーザ殆ど全てを失うことになります。
そして先日、トランプ大統領による大統領令でもし世界中のAppleのiOS App StoreからWeChatがダウンロードできなくなったら、世界中でiPhoneの売上げが25〜30%減少するというアナリストの予測があることについて当ブログでお知らせしたとおりです。
もしこれがWeChatが米国のApp Storeから削除されるだけだったら、その売上げの減少幅は3〜6%に収まるとの予測もあります。
いずれにせよ、トランプ大統領による中国企業、特にTikTokを運営するバイトダンス(Bytedance)やWeChatを運営するテンセント(Tencent、腾讯)、ファーウェイ(HUAWEI)との取引を禁止する決定は、様々な方面に影響を与えています。
本日ニュースやSNS上で非常に話題になっている、EPICのゲーム、Fortnite(フォートナイト)がiOS上での課金問題に関して、AppleがiOS App StoreからFortniteを削除した問題で、その後EPICがAppleが「1984」で用いた広告をオマージュしたような動画を出して、Appleがかつて諷刺したBig BrotherをAppleに見立てて批判しました。
Quand Fortnite dénonce le monopole d'Apple en parodiant sa fameuse pub 1984, c'est un gros coup marketing prémédité. Énorme 🤯 #FreeFortnite
Montage vidéo : @stephane_bidart pic.twitter.com/pSnUluSVke— Camilo (@CamiloooGz) August 13, 2020
詳細は、MiyatakeさんがNoteでわかりやすくまとめてくれています。もしくは、Twitterのこの解説スレッドで。
Epic Games vs Apple/Googleの解説スレッド
1/ EpicはApple/Googleがアプリ内での購入に対して30%の手数料を取ることについて批判していた
Fortnite内でApp Store経由で払うかEpic Gamesに直接払うオプションを提示。
Epicは手数料分は取らなく、ユーザーがコストカットできるように見せている。 pic.twitter.com/iWvB3IKlEe
— Tetsuro Miyatake (@tmiyatake1) August 14, 2020
確かに、AppleがApp Storeで「ショバ代」を売上げの30%もとっている、30%は893も真っ青の数字(日本の893のみかじめ料はだいたい売上げの5%程度といわれています)、という皆さんのツッコミはあながち間違ってはいないとは思います。しかもiOSにアップしているアプリは必ずiOSを通して課金すること、とされていることもあります。また、Macに関しては必ずMac App Storeを通じた課金を義務化していないのにもかかわらず、iOSだけはそうなっているのはおかしい、という主張もわかります。更に、iOSアプリでも一部のアプリは他で課金されても問題ないことになっていることも、差別があるといわれるとそれまでです。
しかしこのニュースを追っていくと不思議なことに気付きます。なぜならGoogle Play Store外での決済に関して、iOS App Storeほど厳しいルールとなっていないGoogle Play StoreからもFortniteが削除されているからです(私もHUAWEI P30 ProのPlay Storeで探してみましたが、ダウンロードできなくなっています)。
なぜそんなことになったのか。。それは、EPICの40%の株主が中国のテンセントだからです(2012年6月に取得)。つまり、これも米中経済戦争の一環とみなすことができそうです。それが証拠に、HUAWEIなどの中国国産メーカーのカスタムUIのアプリストアでは、今でもFortnite(中国版は”堡垒之夜”)がダウンロードができる状態になっているからです(ただし記事更新現在は「事前予約」となっています)。
テンセントは多くのグローバル企業に出資しており、そことの取引を禁止にしたりすると、ゲーム業界やネット業界だけではなく、様々な業界で一気に大混乱となります。
というわけで、Appleはテンセント絡みで2つの大きな問題を抱えたことになります。
トランプ大統領による特定中国企業との取引禁止の政策が、もし行きすぎると最終的には自分で自分の首を絞めるような結果になることは目に見えています。現在アメリカは振り上げた手を下ろせなくなっているような状況になっていると思われますが、一体どうするつもりなのでしょうか。。この動きをもう少し見守っていきたいと思います。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors、Bloomberg、Twitter)