10年前の2004年頃、つまりまだ初代iPhone(iPhone 2G)が登場する3年前、世界はどのような携帯電話やスマホが主流だったのだろうか。ちなみに当時は既にかなりスマホが流行っていた。もちろん日本だけは完全にガラパゴスだったが。。
当時の世界の人気機種を10機種振り返ってみよう。
1. BenQ P50
台湾BenQはLCDディスプレイとデジカメのメーカーだったが、時々不定期にゲストのように携帯電話を製造していた。2004年上半期、同社はP50を販売、これは非常に少ないWindows Mobileシステムを搭載したBenQスマートフォンとなった。Windows Mobile 2003 SE for Pocket PCを搭載し、QWERTYフルキーボード搭載、2.8インチ感圧式タッチパネルディスプレイで、解像度は240×320、Wi-Fiを搭載し、130万画素の背面カメラと、デジタルペンが付属品だった。
同機が採用していたのは416MhzのIntel(インテル)ePXA270というCPUで、内蔵メモリ容量は64MBで、もちろんSDカードで容量を拡張できた。
2. BlackBerry 7730/7750/7780
BlackBerryの77xxシリーズは、同社として初めてカラーディスプレイを採用したモデルで、3インチで解像度は240×240のスマートフォンだ。7730、7750、7780は接続可能な電波バンドの違いだけで、あとは殆ど似通っていた。ちなみに今では信じられないかもしれないが、これらのBlackBerryの内蔵メモリ容量はたったの2MBだった。
3. HP iPAQ h6300シリーズ
2002年、HP(Hewlett Packard、ヒューレット・パッカード)がCompaq(コンパック)を買収したとき、同時にiPAQブランドも買収していた。その後数年間、HPは何台かの違った形のiPAQ携帯デバイスを販売した。そのうち2004年のHP iPAQ h6300シリーズは、Windows Mobile 2003 for Pocket PC Phone Editionを搭載、またシリーズにはh6310, h6315, h6320, h6325, h6340, h6345, h6360, h6365があった。3.5インチディスプレイ、解像度240×320、Wi-Fi、VGA背面カメラ、QWERTYキーボードを搭載し、168MHz TI OMAP 1510というCPUを採用していた。
4. HTC Typhoon
HTC Typhoonはこのブランドで販売されたことはなかった。というのも2004年、HTCはまだ他社のデバイスを製造するOEMメーカーだったからだ。地域やキャリアの違いによって、これらはT-Mobile SDA, i- mate SP3, Orange SPV C500, Qtek 8010, Audiovox SMT5600, Dopod 565と名前を変えていた。HTC TyphoonはWindows Mobile 2003 SEを採用、2.2インチディスプレイで解像度は176×220、CPUは200MHz TI OMAPを採用していた。VGA背面カメラもあった。
この機種の最大の特徴はサイズが108x46x17mmで、重さは100gということ。当時最軽量最小のWindows Mobileスマートフォンだった。
5. Motorola A1000
Motorola A1000は2004年年末にリリースされ、同社としては初めて3G(UMTS)ネットワークに接続できるスマートフォンとなった。OSにはMoto Symbian UIQ、解像度208×320の感圧式タッチパネルディスプレイを搭載し、120万画素の背面カメラとVGAフロントカメラ、そしてマイクロSDカードが使えるようになっていた。
6. Nokia 6630
2004年はNokiaにとって非常に偉大な1年となった。なぜならNokia 6630は当時最も優秀なスマートフォンと評価されたからだ。Symbian OS S60 2nd Editionを採用し、Nokiaとして初めて3G回線に対応した携帯電話となった。それ以外にも、CPUには220MHz TI OMAP、130万画素の背面カメラを搭載。その年で最も優れたカメラを持った携帯としても知られていた。
7. Nokia 9500 Communicator
9500はNokiaのCommunicatorシリーズの4代目にあたるスマートフォンだ。前の3代は9000、9110、9210だった。9500では折りたたみ式のデザインを採用し、中に更にディスプレイがあった。中のディスプレイは4.5インチで、解像度は640×200だった上に、更にQWERTYキーボードを搭載していた。この端末は3Gネットワークは使えなかったが、NokiaとしてはWi-Fiを初めて搭載したスマートフォンとなった。
8. Palm Treo 650
Treo 650は今世紀初頭10年の中期のうち、Palmが最も成功を収めたスマートフォンのうちの1つだ。OSにはPalm OSを採用、先代のTreo 600に比べて様々なところを改善していた。特に更に大きいディスプレイと高解像度(2.7インチ・320×320)、そしてCPUに312MHz Intel PXA270を採用することで処理速度も向上していた。
9. Sony Ericsson P910
Sony Ericssonは、Sonyに最終的に100%買収される数年前から、数種類のSymbian UIQを搭載したスマートフォンを製造していた。そのうちの1つがSony Ericsson P910だ。この端末も多くの人から2004年で最もよいスマートフォンの1つとみなされていた。表側にはテンキー、そしてカバーを開くとQWERTYキーボードを使うことができるようになっていた。他には2.9インチの感圧式タッチディスプレイは解像度が208×320で、タッチペン(スタイラス)が付属し、156MHzのCPUを搭載し、内蔵メモリは64MB、拡張可能メモリも64MBまでだった。VGA背面カメラを搭載し、端末サイズは115x58x26mm。この厚さはiPhone6とSAMSUNG Galaxy AlphaとSony Xperia Z3を重ね合わせても更に5mmも飛び出すほどの厚さだった。
10. SAMSUNG i700
SAMSUNGのSGH-i700/SPH-i700は初めてPocket PC 2002 Phone EditionというOSで動いていた端末で、その後Windows Mobile 2003に切り替えられた。この機種は解像度240×320の感圧式タッチパネルを搭載し、300MHzのCPUを搭載、内蔵メモリは64MB、VGAカメラを搭載していた。なおカメラはフロントにも背面にも使うことができた。
画蛇添足:iPhoneの偉大さがわかる10機種
上記を見れば、当時は各社がいかに百花繚乱だったか、色々な可能性を試しつつ試行錯誤をしていたかがわかる。そして殆どの機種が感圧式ディスプレイとQWERTYキーボードを備えていた。特に後者は、正にそれこそがスマートフォンの条件であるかのように。
しかし3年後のiPhone(初代iPhone)が登場し、静電式タッチパネルと全面ディスプレイを採用した後は、みな判を押したような全面タッチディスプレイの黒いデザインとなり、背面でしか個性を発揮できなくなってしまった。SAMSUNGなんかがいい例である。他のAndroid携帯のうち、どれか1つでも初代iPhoneのデザインをパクっていないと胸を張って言えるメーカーがあるだろうか。
そして当時世界の携帯電話・スマートフォンのシェアのトップを取り合うほど全盛を誇っていたMotorolaやNokiaは全く勢いがなくなり、あっという間に買収されてしまった。
現在はSAMSUNGやHTCとSonyが生き残ったが、単体でAppleにかなうところは1つもない。BlackBerryなどは息も絶え絶えだ。
いかにiPhoneが携帯電話・スマートフォンを変えてしまったかを物語る結果となったのではないだろうか。
さて、これから10年後の2024年には、モバイルデバイスはいったいどうなっているだろう。
もしかしたら、というかかなりの可能性で「スマートフォン」という存在そのものがもうないかもしれない。
当時はあんなにAppleのiPhoneが流行ってたんだね、なんてことにならないようにAppleには今後も頑張ってほしいが。。
記事は以上。