ワイヤレス充電はなぜ普及しないのか?その原因とは

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バッテリーの持ちは現在モバイルデバイス(特にスマートフォン)の最大の問題となっている。現在販売されているどのスマートフォンもかなり頻繁に使用する環境下では1日も持たないのが現状だ。そんなわけでよくスマートフォンを使う人は常にバッテリーのことを気にする必要があり、更にギークになるとモバイルバッテリーを持ち歩く必要があり、ある意味「スマホ版スパゲッティ症候群」に陥る可能性がある(私もそうだ)。

当然充電ケーブルや充電器、モバイルバッテリーを持ち歩くのは苦痛以外の何物でもない。せっかくスマホが薄く軽くなったのに、そんなものを追加で持ち歩かなければならないのは本末転倒だ。
更に、それらを使って充電をするときに、ケーブルがスマホから出ているのはみっともないし、普段の行動にも制限が出る。モバイルバッテリーならいいが、壁のコンセントから電気を取る場合はそこから離れるわけにはいかなくなる。

では、それらを解決する方法はないだろうか?この記事のタイトルになっているワイヤレス充電が最も潜在的で最も容易に実現できる解決方法ではないだろうか。
しかしワイヤレス充電技術はそうとう長い間喧伝されている割には普及していないのはなぜだろうか?一体何がその発展にブレーキをかけているのだろうか?ちょっと分析してみよう。
なお、元ネタはAndroidAuthorityの記事

ワイヤレス充電の原理と歴史

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最も早くワイヤレス充電を実現した製品は何だろう?実は身近なところにある。

答えは電動歯ブラシだ。既に多くの人が使ったことがあるだろう。いわゆる「非接触充電」を実現したのはこの製品からだった。

もう既に20年近く前のことになるが、1990年代には既にワイヤレス充電技術が多くのブランドの電動歯ブラシに使われていた。その原理は非常に簡単で、歯ブラシの底面に近いところとワイヤレス充電器にそれぞれセンサーコイルを設置し、これらが距離的に接近すると充電するというものだ。

当然、この技術の欠点はデバイスと充電器の距離が非常に近くになければならないということだ。この欠点を克服するため、人々はこれを改善するために研究開発を重ね、共鳴周波数を計算することで1m程度のワイヤレス充電の伝達距離を伸ばし、実用性の向上に努めている。

ワイヤレス充電の携帯電話への応用

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ワイヤレス充電が携帯電話の領域まで進出してきたのは、5年前の2009年、PalmがリリースしたTouchstoneワイヤレス充電器だ。その後、雨後の竹の子のように携帯電話の後ろ側に取り付けるレセプタやスマホケース+ワイヤレス充電器(板状の物)というワイヤレス充電セットが次々と現れたが、現在に至るまで普及には至っていない。

ワイヤレス充電が主流にならない原因は2つあった

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市場でこれらが普及しない原因は明らかだ。なぜならたった1つのデバイスの充電をするためだけに、デバイスに余計なものを取り付ける必要があり、また充電の際には充電器と同じ位置に置かなければならないのは苦痛以外の何物でもないからだ。

更に、ワイヤレス充電の規格が統一されていないことも普及が進まない原因の一つだ。マーケティング会社のIHSは、ワイヤレス充電市場は2013年には2.16億米ドル(約216億円)で、2018年には8.15億米ドル(815億円)に成長しているだろうと見積もっている。そんなわけで多くのメーカーが独自規格を乱立し、その市場を独占しようと目論んでいるのだ。

乱立するワイヤレス充電規格

現在、ワイヤレス充電の規格は主にQi、PMA、A4WPの3種類が存在する。そのうちQiが最も多くのメーカーによって使われていて、Sony、SAMSUNG、NOKIA、HTC、LG、ASUS、Qualcomm等の大手によって採用されている。そしてPMA規格も同様に多くのメーカーが採用しており、Qiと重複するメーカーもあるがSony、SAMSUNG、HTC、LG、ASUS、ZTEなどがある。

そのうち、Qiはスターバックス(STARBUCKS COFFEE)やマクドナルド(McDonald’s)と提携を結び、一部の国のチェーン店でワイヤレス充電器を設置しており、またGMやキャデラック(Cadillac)などの一部の自動車もこの規格のワイヤレス充電器を設置しているという点では、他の規格よりも一歩先を行っている。

また対応スマートフォンデバイスの視点から見ても3つの規格の中で最もQiが優勢で、NOKIAのLumiaや、SAMSUNG Galaxyシリーズ、Google Nexus 5/7や、HTC、LGの一部の機種は機体の中にこの技術を埋め込んでいる。しかしスマートフォン全体から見れば、未だに殆どの機種(Apple iPhoneを含む)でワイヤレス充電を実現するためには、ワイヤレス充電機能を備えたケースを取り付けるしかないのが現状だ。

注目に値するのが3つめの規格A4WPの中のRezence規格で、この規格は技術的に最も先進的な磁力共鳴を採用し、最も充電距離を長くすることができ、更に物体通り抜け性能も高く、衣服を間に挟んでも充電が可能だ。そんなわけでこの規格が未来のワイヤレス充電規格になるといわれている。しかしまだこの規格を採用した実際の製品は登場していない。今のところ今年の年末に登場するといわれている。

まとめ:業界内の規格統一がされていないことが普及の障害だった

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現在はまだ最終的にどのワイヤレス充電規格に統一されるかは定かではないが、上記にもあるとおりいくつかのメーカーは規格的には中立の立場を取っていることを考えると、ともかくできるだけ早くワイヤレス充電の規格を統一し、その普及に拍車をかけてもらいたいものだ。

古くはビデオテープがVHSとベータマックスの争いになった後VHSへの統一があり、最近はDVDの後継としてブルーレイディスクとHD DVDの争いになった後ブルーレイへの規格統一があってから、それぞれが爆発的に市場に普及したように、全ての携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、デジタルカメラなどが1種類のワイヤレス充電器で充電できるとしたら、こんなに便利なことはないだろう。

ただ、もう1つの懸念事項として、距離の問題もある。距離が離れていなければ、やはり充電したいデバイスを充電器に近づける必要があるのは苦痛だからだ。それについては既に1m以上の距離をまたいで充電可能な技術「NFMR」が開発されている。ただしワイヤレス充電は電磁波の共鳴による技術のため、人体の健康に対する影響はないかが心配される。その技術については別記事にまとめさせていただいた

記事は以上。

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